週刊少年ジャンプで2016年から連載が開始し、物語が進むにつれて人気を集めていた鬼滅の刃。
2019年にテレビアニメが放送されると瞬く間に大人気作品の仲間入りを果たし、書店からはコミックスがなくなるなどの社会現象が起きました。
人気絶頂であった2020年に惜しまれつつも連載は終了しますが、連載が終了した現在でもアニメの注目度は高く、多くの人々から愛される作品です。
コミックスの累計発行部数も1億冊を突破しており、たくさんの人が鬼滅の刃に夢中になりました。
そんな鬼滅の刃ですが、作品のテーマとはいったい何だったのでしょうか?
今回の記事では、鬼滅の刃のテーマや作品が伝えたかったメッセージについて考察していきたいと思います!
- 鬼滅の刃の作品テーマは?
- 読者に伝えたかったこととは?
などが気になった人は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
鬼滅の刃とは
鬼滅の刃は、2016年から2020年まで週刊少年ジャンプから連載されていました。
少しずつ人気を獲得していき2019年のアニメ化をきっかけに大ヒットし、1~23巻までの累計発行部数は1億5000万部を突破しています。
2020年には無限列車編が映画化され、興行収入は404億円を突破しました。
この記録は日本のランキング1位となり、鬼滅の刃の人気に拍車をかけることになったのです。
2024年の春には柱稽古編のアニメ放送が決定しており、大きな話題になりました。
連載はすでに終了していますが、人気の高さが分かりますね。
鬼滅の刃のあらすじ
鬼滅の刃は大正時代を舞台としており、竈門家の長男で炭焼きを家業としている竈門炭治郎が物語の主人公です。
貧しいながらも家族と幸せな日々を過ごしていましたが、炭治郎が家を留守にしていた日に家族は鬼によって惨殺されていました。
唯一生き残った妹・禰豆子は人間から鬼へと変えられており、炭治郎は家族を殺した鬼を倒し、妹の禰豆子を人間に戻すため、旅に出るという物語です。
作者は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)
鬼滅の刃の作者は、吾峠呼世晴のさんです。
2014年から漫画家として活動しており、驚くことに初めての連載作品となったのが鬼滅の刃でした。
ファンからは「ワニ先生」と呼ばれていますが、それは自画像が眼鏡をかけたワニとなっているのが理由です。
鬼滅の刃の初代担当者からは「セリフの力が圧倒的」と言われており、鬼滅の刃のキャラクターたちが魅力的に見えるのは、吾峠さんのキャラクター造形の才能が素晴らしいからと絶賛されています。
コミックスのコメントなどには色々な人へ向けた感謝の言葉が含まれていることが多く、思いやりにあふれた人柄がうかがえます。
作品のテーマを考察
それでは鬼滅の刃のテーマを考察していきましょう。
鬼滅の刃の舞台は大正時代ですが、無惨と鬼殺隊との戦いは約1000年続いております。
戦国時代には始まりの剣士である継国縁壱が圧倒的な力で無惨を追い詰めますが、無惨に分裂して逃げられてしまい倒すことはできませんでした。
しかし縁壱が残した日の呼吸がヒノカミ神楽として竈門家に伝わり、竈門家の長男である炭治郎が継承し、他の隊士たちと共に戦い無惨を倒すことができました。
こういったことから、鬼滅の刃の作品テーマは”つなぐ”というものが最も近いと感じました。
鬼殺隊をまとめており産屋敷当主の耀哉が、無惨と対峙した際にこのように言っていました。
永遠というのは人の想いだ
©吾峠呼世晴/集英社 コミック16巻
人の想いこそが永遠であり不滅なんだよ
耀哉の言葉を無惨はくだらないと否定しましたが、最後は耀哉の言葉通り「無惨を倒す」という昔からの人たちの強い想いがつながり、無惨を倒すことができました。
このことから、鬼滅の刃のテーマは”つなぐ”であると思います。
柱が直接指導している隊士の名称も”継子(つぐこ)”と呼ばれています。こういった名称にも鬼滅の刃のテーマ性が出ていると感じますよね。
人から人へ想いをつなぐ
物語の中には、想いをつなぐと感じるシーンが多く描かれていますよね。
印象的だったシーンをいくつか解説していきます。
煉獄から炭治郎たちへ
無限列車での戦いで、炭治郎たちは炎柱である煉獄杏寿郎と協力して魘夢を倒すことに成功します。
しかしその後に上弦の参・猗窩座が現れ、煉獄と一騎打ちに。
煉獄は猗窩座を追い詰めましたが、日の出から猗窩座が逃亡してしまい、首を斬ることはできませんでした。
煉獄は猗窩座によって致命傷を負わされており、自身も自分はもう死ぬと理解した上で炭治郎たちへ自分の想いを伝えます。
もっともっと成長しろ
©吾峠呼世晴/集英社 コミック8巻
そして今後は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ
俺は信じる
レベルの高さから、炭治郎たちは猗窩座と煉獄の戦いに入ることはできませんでした。
戦いを目の前で見ていた炭治郎と伊之助は、自分たちの力不足を痛感します。
しかし煉獄から「信じる」と言われ、それに応えるためにもっと強くなろうとさらに努力を重ねました。
そして想いを託された炭治郎たちは、最後には柱たちと共に無惨を追い詰め、鬼殺隊を支える存在にまで成長したのです。
姉の蔦子と親友の錆兎たちから義勇へ
義勇は水柱でありながら、自分は柱になっていい人物ではないと自分を卑下しています。
自分を命がけで鬼から助けてくれた姉や多くの人々を助けて亡くなった親友の錆兎を失い、そんな中で自分だけが生きていることに後ろめたさを感じていました。
しかし炭治郎との会話がきっかけとなり、義勇は錆兎から言われた言葉を思い出します。
翌日に祝言を挙げるはずだったお前の姉も
そんなことは承知の上で鬼からお前を隠して守っているんだ他の誰でもないお前が…お前の姉を冒涜するな
お前は絶対死ぬんじゃない
©吾峠呼世晴/集英社 コミック15巻
姉が命をかけて繋いでくれた命を託された未来を
お前も繋ぐんだ 義勇
助けてもらったことを後ろめたく感じていた義勇ですが、錆兎とのやり取りを思い出し、義勇は水柱として最後まで戦い抜くことを心に決めました。
自分のことは水柱じゃないと言っていた義勇でしたが、最終決戦では自分のことを水柱と言っているシーンがあります。錆兎とのやり取りを思い出したことがきっかけとなり、柱の1人として責務を果たそうという気持ちが分かる伝わります。
日の呼吸も”つなぐ”ことで完成する
始まりの呼吸であり、無惨を追い詰めた継国縁壱が使用していた日の呼吸。
日の呼吸には12まで型が存在しますが、実は拾参ノ型が存在すると判明しました。
その正体は、壱~拾弐の型を連続して出し続けることで完成します。
型の名前は連載が終了した今もはっきりと分かっていませんが、多くの呼吸がある中で型をつなげることで新しい型となる呼吸は、日の呼吸のみとなっています。
鬼に勝つために情報をつなぐ
鬼殺隊には鬼の情報を伝えるために、指文字を使う隊士が多く存在します。
言葉で伝えようとすると、鬼にも意図が分かってしまうため指文字になっていると考えられます。
この指文字は鬼滅の刃では2つ登場しています。
そしてその情報が勝利のきっかけとなり、鬼を倒すことができました。
しのぶからカナヲへ
1つ目は胡蝶しのぶから栗花落カナヲに当てたもの。
しのぶは姉・カナエの仇を討つために上弦の弐の童磨と戦いますが、童磨に致命傷を負わされます。
遅れてカナヲがしのぶの元へ駆けつけようとすると、しのぶはカナヲに指文字を使って童磨の能力を伝えました。
童磨は指文字を使ったしのぶを殺害してそのまましのぶを吸収したのです。
しのぶもこうなることは承知の上で、カナヲが童磨と戦うときに少しでも戦況を有利になるように、命がけで情報を伝えたのです。
同期の隊士から煉獄へ
2つ目は、煉獄の同期たちが煉獄に伝えたものです。
煉獄は最終選別を受けた際に、2人の隊士を救っています。
しかし、煉獄の初めて任務で向かった場所では最終選別で助けた煉獄の同期がすでに鬼によって殺されていました。
煉獄は殺された仲間たちが指文字で鬼の能力を伝えていたことに気づき、鬼の攻撃をかわし首を斬ることができました。
唯一生き残った子供を守ることができたのは、隊士たちが必死で命がけで戦い、煉獄に能力を伝えたことができたからです。
煉獄は心の中で亡くなった仲間たちに感謝を伝えていました。
コミックスの作者コメント欄からも考察
鬼滅の刃のコミックスには背表紙に作者コメント欄が設けられています。
そこには吾峠先生のコメントが書かれているのですが、最終巻である23巻には吾峠先生が読者に伝えたかったとも思えるあとがきが書かれていました。
もうだめだ、と思った瞬間こそが、道を踏み外さないように踏ん張る時です。
©吾峠呼世晴/集英社 コミック23巻
困難な状況や苦しい境遇に負けないで欲しいです。
鬼滅の刃で鬼殺隊に入隊を決意した人たちはほとんどが大切な人を鬼に殺されて、立ち上がれないほどの苦しい状況に立たされています。
でも、苦しい境遇を耐えて最後まで負けないで戦い続けていました。
吾峠先生は鬼滅の刃を通して、苦しいときでも道を踏み外さないで踏ん張って頑張ってほしいという事を読者に伝えたかったのかもしれません。
あとがきにはが”頑張りすぎもよくないから適度にダラダラしましょう”と吾峠先生らしい優しい言葉もありました。
まとめ
鬼滅の刃のテーマについて考察しました。まとめると…
・全体のテーマは”つなぐ”となっている
・人から人へ想いが繋がり、苦しいときでも立ち上がろうとしている姿が描かれている
・無惨を追い詰めた呼吸である日の呼吸の拾参ノ型がすべての型をつなげると出現する
・情報をつなぐことで、1人では勝てない強敵に打ち勝っている
・「苦しいときでも道を踏み外さず、負けないで欲しい」というのが作者の想い
苦しいときでも立ち上がり、無惨を倒したいという全員の想いがつながって勝利をつかむことができました。
失ったものも多いけれど、その想いにこたえるためにも戦い続けることの大切さが分かる作品ですよね。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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