猗窩座(あかざ)は最後誰に倒された?無限列車編から繋がる意外な結末とは

十二鬼月
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

上弦の参・猗窩座(あかざ)、無限列車編では異次元の強さを見せつけ、鬼殺隊最強の剣士のひとり、炎柱・煉獄杏寿郎を・・・(言いたくない・・・)

しかし、やはり悪役は、いずれ倒されるのです、猗窩座も例外ではありません。

今回は、その圧倒的な強さを持つ猗窩座を、誰がどうやって倒したのか、そして最後はどのように散っていったのかを詳しく解説します。

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猗窩座の最後の相手は誰?

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猗窩座が最後に戦ったのは、竈門炭治郎水柱・冨岡義勇です。

『鬼滅の刃』において物語の核となる二人の剣士と戦っていることから、猗窩座というキャラクターが「鬼」の中でひときわ特別な存在として描かれていることがわかりますね。

炭治郎へ恨みを持っていた猗窩座

無惨の逆鱗に触れた「無限列車編での不始末」

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第8巻

猗窩座は鬼舞辻無惨からの指令を受けて無限列車の場所へ向かい、炎柱・煉獄杏寿郎を倒しています。

そして『柱』という重要人物をひとり始末したことを鬼舞辻無惨に報告しに行きました。

ところが無惨は、他の鬼狩り3人(炭治郎・善逸・伊之助)を始末し損ねたことを激怒しています。

武道家のプライドがズタズタに

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第8巻

炭治郎から最後に一撃を食らった猗窩座は、そのことを無惨に咎められます。

無惨
無惨

お前には失望した。まさか柱でもない剣士から一撃を受けるとは。『上弦の参』も墜ちたものだな。

これは猗窩座にとって、ものすごい屈辱でした。

しかし無惨は、お気に入りの部下・猗窩座の性格をよくわかったうえで、敢えてこのような仕打ちをしたのかもしれません。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第8巻

そしてその目論みどおり、猗窩座は炭治郎への復讐を誓ったのでした。

尚、なぜあの夜、猗窩座は無限列車の近くにいたのか、そしてなぜ物語の序盤にこれほど強い鬼をいきなり登場させたのかにつきましては、こちらで詳しく解説&考察していますので、是非ご覧ください。

無限城での再会

鬼舞辻無惨は、部下の鳴女(なきめ)の血鬼術を使ってあらかじめ鬼殺隊士たちの位置を把握していました。

そしてついにお館様の前に姿を現すと、鎹烏(かすがいがらす)から連絡を受けた柱たちが産屋敷邸に集結、そのタイミングで他の鬼殺隊士たち、そして部下の上弦の鬼たちを無限城へ落としています。

そこでの上弦の鬼たちの役目は、鬼殺隊士たち(特に『柱』)を「皆殺しにすること」でした。

再び炭治郎の前に現れた猗窩座

炭治郎は無限城へ落とされた直後から冨岡義勇と行動を共にしていました。

途中で上弦の鬼に遭遇することも警戒しつつ、できるだけ早く鬼舞辻無惨のところへ行こうとしていたときに、天井を破って上から突然現れたのが猗窩座です。

久しいなあ。よく生きていたものだ、お前のような弱者が。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻
©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

猗窩座の狙いは『柱』ではなく炭治郎

無限列車編で煉獄さんとの戦いを楽しんでいたことからもわかるように、猗窩座はとにかく強い者が大好きです。

しかし、このときの猗窩座は柱の義勇には目もくれず、真っ直ぐ炭治郎の方へ向かっていきました。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

この場面での猗窩座の目的は戦いを楽しむことではなく、炭治郎を殺すことだったからです。

想像以上に強くなっていた炭治郎

ところが、炭治郎は猗窩座の攻撃を二度もかわし、反対に炭治郎の攻撃は二回とも猗窩座に届いて深い傷を負わせています(すぐに治りますが)。

以前よりもはるかに強くなっている炭治郎を見て、猗窩座は驚きました。

また、『上弦の参』と立派にやり合っている炭治郎を見た冨岡義勇も驚きを隠せません。

「この少年は弱くない、侮辱するな」、杏寿郎の言葉は正しかったと認めよう。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

強い者を素直に認めるところは潔いですね。

そこからは炭治郎に対し「ただ殺すのではなく、しばし戦いを楽しもう」と切り替えたようでした。

そしてそこに義勇も加わり、1対2の戦いになったのです。

炭治郎を怒らせたことで、よみがえり始める過去

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

当然、炭治郎はこの言葉に激怒しています。

煉獄さんと猗窩座が戦ったあの日、あの場所にいた炭治郎だからこそ、絶対に許せない言葉でした。

師匠と同じだった炭治郎の言葉

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

「弱い者が淘汰されるのは自然の摂理だ」と言う猗窩座に「それは間違っている」と説く炭治郎。

そのとき、猗窩座は「ある人」に言われた言葉を思い出します。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

それは、猗窩座が人間だったときに「素流(そりゅう・素手のみで戦うスタイル)」を教えてくれた師匠の慶蔵でした。

しかし、このときの猗窩座は慶蔵のことを覚えておらず、ただ「自分の感情を逆なでする不快なヤツ」としか思っていませんでした。

そして同じ発言をした炭治郎に対しても、その不快な感情をぶつけています。

『術式展開 破壊殺 羅針』

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

猗窩座の攻撃は、雪の結晶の形をしたこの羅針盤が中心になっています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

なぜ猗窩座は敵の攻撃に対して正確に対応できるのか、攻撃の羅針盤は何に反応しているのか、炭治郎は戦いの中で必死に考えました。

見破られた「闘気」の存在

炭治郎だったから気づけた猗窩座の攻撃の特性

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

炭治郎は、猗窩座が煉獄さんと戦っていたときに発した「闘気」という言葉の意味を考えました。

そしてそのヒントになったのは、「伊之助との会話」と「父親の熊退治」でした。

ヒリヒリすんだよな、敵が狙ってくる所は。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

伊之助は「殺気を出さずに近づくことができれば、倒せない相手はいない」と炭治郎に話していたのです。

でもそのときの炭治郎は「殺気を出さずに相手を倒すことは無理だ」と思っていました。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

しかし、かつて父の炭十郎が大きな熊を倒したとき、父親の殺気が全く感じられなかったことを思い出し、「殺気を出さずに相手を攻撃する方法」があることに気づいたのです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

炭治郎を探知できなかった羅針盤

猗窩座は、冨岡義勇のみぞおち(煉獄さんのときと同じ場所・・・)を狙ってとどめを刺そうとしたとき、それまで自分が探知していた「闘気」を発していなかった炭治郎に手首から先を切り落とされました。

そして炭治郎に対し、「コイツには何か異変が起こった、今すぐ殺さなければ危険だ」と感じています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

しかし、闘気を発していない炭治郎の前で、完璧だったはずの猗窩座の羅針盤に狂いが生じます

いや「狂いが生じた」のではなく「予想外のことが起こって探知できなかった」という言い方が正しいでしょう。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

最後は己との戦い

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

相手が放つ「闘気」により、その動きや位置を把握していた猗窩座。

そのため、闘気を放たない「無」の状態の炭治郎の攻撃をかわすことができなかったのです。

それでも諦めないのが上弦の上位たる所以(ゆえん)

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

猗窩座は斬られた頸を繋げようとしています。

しかし、今度は義勇の刀で頭部を落とされ、ついにその頭部は崩壊・消滅したのでした。

ところが、体の方の崩壊が始まらず、不気味さを覚えた炭治郎と義勇の前で、

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

何と頭部のない状態でまだ攻撃を続けようとしたのです。

猗窩座を止めたのは最愛の人

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

この女性は恋雪(こゆき)、猗窩座が人間だった頃の婚約者で、「狛治(はくじ)」というのは猗窩座の人間時代の名前です。

この瞬間の猗窩座は恋雪のことを覚えていませんでしたが、戦いを続けていく中で、だんだんと「狛治だった頃」のことを思い出します。

また、猗窩座の術式展開の羅針盤は、恋雪のつけていたこの「雪の結晶の髪飾り」が基になっていて、自覚はなくても心の中には恋雪がいたことを感じさせますね。

大事な人たちを守れなかった過去

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

狛治が何度も捕まっていたのは、病気の父親の薬を買うために盗みを働いていたからでした。

そして自分のために息子が罪を犯してしまうことに耐えられず、父親は自殺してしまったのです。

それは「自分がいなくなれば、狛治は罪を犯さなくてすむ。これからは真っ当な道を歩んでほしい」という親心からでした。

猗窩座の体に模様のような線が入っているのは、罪人の証である入墨の名残です。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

父親の死後、真っ当な道を歩むどころか更に荒れて手が付けられない状態だった狛治を立ち直らせてくれた恩人が、師匠の慶蔵とその娘・恋雪でした。

しかし、その恩人の二人は井戸にこっそり入れられていた毒を飲んで亡くなってしまいます。

毒を入れたのは、慶蔵と狛治を逆恨みしている隣の道場の者たちで、後に狛治に皆殺しにされています。

ひたすら強さを求めたのは一途な想いから

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

猗窩座がひたすら強くなることに執着していたのは「大事な人を守りたい」という、純粋で一途な人間時代の想いを、鬼になってからも持ち続けてきたからでした。

猗窩座本人にその自覚はありませんでしたが、恋雪を思い出し、狛治だった頃を思い出し、狛治の心を取り戻したのです。

自分自身でつけた決着

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

猗窩座は弱者を極端に嫌っていました。

しかしこの瞬間、かつて戦った煉獄杏寿郎のこの言葉を無意識に感じていたのではないでしょうか。

強さというものは、肉体に対してのみ使う言葉ではない。

弱い「自分」を攻撃

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻
©吾峠呼世晴/集英社 コミック第巻

父親が自殺したときも、慶蔵と恋雪が殺されたときも、大事な人を失った悲しみと怒りを抑えることができず、感情のまま暴力を振るっていた狛治。

特に、慶蔵と恋雪の件では、毒を入れた人とその関係者全員を殺してしまうという衝撃の事件を起こし、結果的にはそれが鬼舞辻無惨と出遭うきっかけになってしまったのです。

そしてそれはすべて「自分の心が弱かったからだ」と思い出した猗窩座。

大嫌いな「弱い者」、それは自分自身だったということですね。

狛治へと戻った猗窩座

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

大抵の鬼は、「なぜあんなヤツに斬られなければならないんだ?!」と、最後まで負けを認めずに悔しさいっぱいで消えていきます。

しかし、猗窩座の「強い者は潔く認める」、その姿勢は最後まで一貫していました。

猗窩座は、いや狛治は、本当の武道家の心を持った青年だったのでしょう。

狛治を許してくれた大事な人たち

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

他人から見れば「盗みを働く悪いヤツ」でしたが、父親にとっては、親思いの優しい息子でした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

鬼になっても自分の教えた「素流」を貫いていた狛治を見て、慶蔵さんは嬉しかったのではないでしょうか。

もちろん、それで人間を殺していたことは、許されることではありませんが・・・

迎えに来てくれた最愛の人

そして猗窩座が最後に帰ったのは、やはり恋雪のところでした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

その気になれば、おそらく猗窩座は頭部を完全に再生できていたでしょう。

しかし、そんなことをしてももう何の意味もないことを思い出し、猗窩座は「狛治」として恋雪のところへ戻ったのです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

そして最後は自分で再生を拒んだのでした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

その後、狛治と恋雪はどうなった?

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

二人が再び会えたことはとても良かったのですが、この後、二人はどうなったのでしょう?

狛治は地獄へ行かねばなりませんが、そこへ最愛の恋雪を連れて行くとは思えませんよね。

お互いを想いつつ、天国と地獄に分かれてしまったのでしょうか。

その答えは、公式ファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』で明らかになっています。

©吾峠呼世晴/集英社 公式ファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』

これは、隠(かくし)の後藤さんが地獄へ行った鬼たちに「各呼吸の斬られ心地」をインタビューしているところで、狛治は煉獄さんの「炎の呼吸」について答えています。

そしてこの画の左端から狛治を見つめている女性、恋雪ですね。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第18巻

生きているときには果たせなかった恋雪へのこの約束を、狛治はここで守り続けているのでしょう。

「狛治と恋雪の馴れ初め」や「恋雪の狛治への想い」は、こちらの記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。

まとめ

猗窩座は、炭治郎と義勇によって倒されましたが、決して彼らに「殺された」わけではありませんでした。

最後は自分自身を攻撃し、再生を拒んで散っていった猗窩座。

その姿は、無限列車編で炭治郎が叫んだ「卑怯者!」という言葉とは、むしろ対極にあったように思います

『鬼滅の刃』に出てくるたくさんの鬼の中で、猗窩座がダントツ人気なのは、誰もが持っている心の弱さに共感できるのと、その一途さと最期の潔さに惹かれるからなのではないでしょうか。

・・・俺がほとんど出てこなかったんだが?

すみません、、冨岡義勇から見た猗窩座戦に関しましては、こちらをご覧ください。

今回は猗窩座の心の中に焦点を当てて解説したため、実際の戦いぶりや技についてはお伝えできませんでした。

猗窩座がこの戦いで披露した、「恋雪との思い出の花火」が名前の由来となった技は、こちらの記事ですべて紹介していますので、是非ご覧ください。

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