入隊して2か月で柱になった天才剣士、霞柱・時透無一郎。
作中、記憶障害を克服する前と後で、違った性格を見せる無一郎ですが、それはある人物が深く関係しています。
今回は、無一郎の性格を、記憶障害の時の性格、記憶を取り戻してからの性格、そして記憶障害になる前の本来の性格の3視点から分析していきたいと思います。
時透無一郎の性格・記憶障害の時
ぼんやりとして、心ここにあらず
柱合裁判での初登場時に、他の柱が、炭治郎と禰豆子について論ずる中、雲をぼんやり眺め、”あれは何て言うんだっけ”などと、心ここにあらずな様子の無一郎。
意見を求められても、すぐに忘れるからどちらでもいいと言いました。
自分のことも他人のことも無関心であると同時に、何も感じないようにあえて努めているような感じにも受けとめられます。
冷酷で暴力的、そして口も悪い、性悪状態
炭治郎がお館様の話を遮る無礼を働くと、それを止める手段として、無表情で素早く小石を飛ばし、黙らせる冷徹な一面を見せます。
刀鍛冶の里での炭治郎との久々の再会では、無一郎が刀鍛冶の少年・小鉄に唐突に手拳を食らわせ、炭治郎が止めに入ります。
柱の時間と君たちの時間は全く価値が違う
少し考えればわかるよね?
刀鍛冶は戦えない 人の命を救えない 武器を作るしか能がないから
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第12巻 第102話
炭治郎曰く、悪意の匂いはしないものの、かなり暴力的で圧力的な様子が伺えます。
さらに、言葉でも、全く思いやりの欠片も配慮もない暴言を吐き捨てる無一郎。
この頃の性格や言動は、無一郎と深い関わりのある人物の影響が強いと後にわかります。
時透無一郎の性格・霞が晴れ始めた時
弱き者を助ける正義感を思い出す
”人のためにすることは巡り巡って自分のために”という炭治郎の言葉を思い返し、一度は見捨てようと思った小鉄を助けに戻る無一郎。
まだまだ、毒舌全開ですが、少しずつ無一郎の心に変化が現れてきます。
口の悪い無一郎のシーンですが、表情も含め、言動全般にある人物の影響がさらに強く出てきています。
自分を犠牲にし、身を挺して守る
上弦の伍・玉壺から、刀鍛冶の鉄穴森と小鉄を守る無一郎は、鬼の放つ毒針から身を挺して二人を守りました。
無一郎自身、自分の行動に疑問を持ちつつ、記憶の断片も少しずつ現れ、困惑しながらも弱き者を助ける心が芽生え始めました。
時透無一郎の性格・記憶を取り戻した後
感謝の気持ちを素直に伝えられる
刀鍛冶は戦えないと蔑んでいた無一郎が、本来の自分を取り戻し、鉄穴森に対し感謝の意を表すシーン。
記憶に霞がかかっていた時には、”鉄穴森って刀鍛冶知らない?”などと言っていた無一郎。
鉄穴森に対し、さん付けをし、刀鍛冶の仕事に対して敬意を払う様子で、無一郎の変化がわかりますね。
ユーモアが含まれた毒舌ぶり
玉壺との戦いの最中に様々な記憶を取り戻していく無一郎は、玉壺に対して卑劣な毒舌を放つのですが、所々に無一郎らしいユーモアが感じられます。
玉壺との毒舌合戦中には、無一郎は本来は面白くてユーモアがあるのではと思える言い回しがあり、思わずクスっと笑える場面も…。
素直で優しい
玉壺を討伐し、自分が助けられず死んでしまったと思っていた小鉄が、炎柱・煉獄杏寿郎の鍔に守られ助かったことを知り、涙する無一郎。
柱となった日に、杏寿郎からかけられた言葉を思い出して泣いています。
素直で優しい心を持つ、純粋な14歳の少年の本来の姿ですね!
時透無一郎の性格に影響を与えた人物・兄の時透有一郎
刀鍛冶の少年・小鉄が自分の命を危険に晒しながら、無一郎を救おうと懸命になる姿を見た無一郎は父の言葉を思い出し、記憶を取り戻しました。
自分には双子の兄・有一郎がおり、”情けは人のためならず 誰かのために何かしてもろくなことにならない”と冷たく言い放ちます。
兄は言葉のきつい人だった
記憶のない時の僕は何だか兄に似ていた気がする
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第14巻 第118話
無一郎の無は”無能”の”無” 無一郎の無は”無意味”の”無”などと言い、かなり毒舌な有一郎。
無一郎自身、自分の記憶のない時期は有一郎に似ていたと回想しています。
記憶をなくしていた間の自分の言動が兄に似ていたことは、兄が守っていてくれたように思えて嬉しかったそうです。
(周りの人は毒舌炸裂がちょっとしんどかったかもしれませんが)。
©吾峠呼世晴/集英社 公式ファンブック・鬼殺隊見聞録・弐
毒舌無一郎のことを、本人は有一郎が守ってくれるようで嬉しかったと公式ファンブックに記載がありました。
同じような表情をしながら毒舌を炸裂する無一郎は有一郎の分身のようでもあり、無意識に有一郎のように振る舞うことで自分を守っていたようにも思えます。
ある日鬼に兄を襲撃され、激しい怒りが湧きおこり、無我夢中で戦った無一郎。
鬼が朝日で塵となり、有一郎の元に戻ると、死の間際に、本心を話す有一郎の姿がありました。
以前は無能や無意味の無だと言っていましたが、本当はずっと無限の無だということを誰よりも知っていた有一郎。
自分が守らなければという使命感からの厳しい言動だったこともわかりました。
言葉はきついですが実は繊細な兄よりも、ぼんやりとしている自分の方がしたたかで神経が図太いという自覚はあった様子。
時透君は鬼殺隊に入る前から、嵐が来ようが雷が落ちようがどこでもぐうぐう眠れましたし、食欲がなくなるということもありませんでした。
©吾峠呼世晴/集英社 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐
有一郎の毒舌も、実は、弟の身を案じての心配の裏返しでした。
そして、誰よりも無一郎を理解し、その能力に気が付いていました。
無一郎も有一郎の冷たい態度に傷つきながらも、大好きで大切に思っていました。
無一郎にとって、双子の兄・有一郎の存在はとても大きく、兄を失ったことで記憶を失ってしまうほどの影響力の強さでした。
本来の無一郎
柱稽古の様子で、本来の無一郎の姿を垣間見ることができます。
気を許す仲となった年も近い炭治郎に対して屈託のない笑顔で接する無一郎。
それに引き換え、稽古のできていない他の鬼殺隊士に対しては、物凄い落差のある毒舌で淡々と接しています(笑)
14歳本来の屈託のない明るい様子も見られますが、毒舌無一郎も健在です!
無一郎は、無限城で上弦の壱・黒死牟と戦いました。
左腕、左足を失う中、不死川実弥と悲鳴嶼行冥の援護の為、決死の覚悟で、攻撃の内側に特攻していきます。
諦めない信念を持ち、仲間の為に自らの命をかけ前に進む勇姿は、14歳とは思えないほどの芯の強さと仲間を思うやる優しい心を感じさせます。
まとめ
今回は、無一郎の性格を、記憶障害の時の性格、記憶を取り戻してからの性格、そして記憶障害になる前の本来の性格の3視点から分析してきましたが、いかがでしたでしょうか。
まとめると
- 記憶障害の時は、何事にも無関心でありながら、冷酷で暴力的、そして言動も性悪な様子だった
- 霞が晴れ始めると、弱き者を助ける正義感を思い出し、身を挺して守る責任感の強さも出てきました
- 記憶を取り戻した後は、感謝の気持ちや感情を素直に表現できるようになり、毒舌の中にもユーモアが含まれるようになった
- 無一郎の性格に影響を与えた人物は双子の兄・有一郎だった
- 本来の無一郎の性格は、明るくユーモアもあり、毒舌な一面も健在だった
14歳という若さで命を落とす無一郎。
仲間の為、懸命に鬼に立ち向かう姿が健気で、その奥にある優しさも感じられ、胸が痛みます。
鬼のいない世界になって、友達や仲間との平和で幸せな時間を過ごすことが叶わなかったのが本当に残念で仕方ありません。
しかし、記憶を取り戻してからの短い時間でしたが、炭治郎や仲間たちと分かち合えた時間はかけがえのないものとなりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続き鬼滅の刃をお楽しみください。
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