鬼滅の刃『遊郭編』の次に描かれる『刀鍛冶の里編』。
ここでは霞柱・時透無一郎が本格始動します。
そしてもうひとり、これまでは無惨の記憶の中で、ほぼシルエットの状態でしか見られなかった継国縁壱が、はっきりと顔を出した姿で登場。
今回は共通点の多いこの二人について、その「共通点」を中心に紹介いたします。
時透無一郎と継国縁壱の共通点とは?
この二人の共通点は3つあります。
- 血の繋がりがあること
- 双子の弟の方であること
- 剣の才能に恵まれたこと
では、無一郎と縁壱について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
継国家の末裔にあたる時透家
時透無一郎は、自分たちが剣士の子孫であることを、鬼殺隊当主(お館様)の妻・あまね様から伝えられていました。
それも、歴代の鬼殺隊士たちが使う「全ての呼吸の基」となる「始まりの呼吸」を編み出したすごい剣士の子孫だというのです。
そしてその「始まりの呼吸を使う凄い剣士」が継国縁壱でした。
ただし縁壱には子供がいなかったため、無一郎たち時透家の人間は、縁壱の兄・巌勝(みちかつ)の子供から繋がる子孫にあたります。
その縁壱の兄・巌勝は、後に『上弦の壱・黒死牟』となり、奇しくも自分の末裔である時透無一郎と無限城で対戦することになります。
黒死牟は鬼の特性のひとつである「血を嗅ぎ分ける能力」により、対面した瞬間に無一郎が自分の子孫であることを認識。
さらに、その剣技と精神力の高さを評価し、無一郎を鬼にしようとしますが、無一郎がそれを承諾することはありませんでした。
双子の弟の方だった二人
兄を鬼に殺された時透無一郎
無一郎は、鬼殺隊士になったときにはすでに家族がいませんでした。
しかし、かつては両親と双子の兄・有一郎がいたのです。
同じ日に事故と病気で亡くなった両親
ある嵐の日、風邪をこじらせてしまった妻のため、家の外へ薬草を探しにいった父親。
無一郎の父親は木こりをしていましたので、山には慣れていたはずですが、嵐で視界も足元も悪かったせいか、このとき崖から落ちて亡くなってしまいます。
そして母親も、そのまま肺炎で亡くなってしまいました。
弟に敢えて厳しく接した兄・有一郎
兄の有一郎は、ぼんやりとした性格の弟・無一郎を守るために、敢えて厳しい口調で接していました。
それは、二人で生き抜いていくための兄の覚悟でもあったのですが、それが理解できず、兄と一緒にいることを苦しく思っていた無一郎。
もし二人がもう少し大人だったなら、また違った会話がなされていたのかもしれません。
しかし、両親が亡くなったとき、有一郎・無一郎兄弟はまだ10歳。
兄の方もまだまだ子供で、気持ちに余裕がなかったのです。
鬼に襲われたのは11歳のとき
家の中に鬼が入って来たとき、弟を守ろうとして大きな怪我を負った兄・有一郎。
そのとき初めて、自分の弟への思いを口にします。
しかし、無一郎は鬼に襲われたショックもあって記憶障害のような状態に陥り、以後しばらくの間、過去のことを忘れてしまっていました。
また、最近のことでもすぐ忘れてしまい、柱合会議の前に問われた炭治郎の処遇(認めるか処罰するか)について「僕はどちらでも。すぐ忘れるので」と言っていたことから、自覚もあったようです。
ただ、お館様はそのことを全て受け入れ、無一郎が自分を取り戻すことができると信じて励まし、見守っていてくれたのでした。
兄が鬼になってしまった継国縁壱
継国兄弟が生まれたのは戦国時代で、跡継ぎを巡って兄弟が争うことは日常茶飯事でした。
父親は跡目争いが起こるのを危惧し、弟の方をすぐに殺そうとしましたが、母親がそれを許さず、弟だった縁壱は「10歳になったら寺に行かせる」という約束で生かされていました。
一方、兄の巌勝は継国家の跡継ぎにふさわしい教育を受けながら育っています。
弟に優しかった兄
父親から「弟には会うな」と言われていたにもかかわらず、自分とは明らかに差をつけられて暮らしている弟を不憫に思い、ときどき弟に会いに行っていた兄・巌勝。
縁壱はそのことが嬉しくて、このとき兄からもらった笛は、80歳を過ぎて寿命が尽きるまでずっと大切に持っていました。
この「継国兄弟の笛」につきましては、こちらの記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
鬼になったのは弟への嫉妬心から
巌勝は、幼少の頃に縁壱の剣さばきを見てその才能に気づき、嫉妬していました。
跡継ぎは自分ではなく縁壱になるのだと思った時期もありました。
しかし縁壱は7歳の時に家を出て、その後消息不明になったため、跡継ぎはそのまま巌勝となり、しばらくは平穏に暮らしていたのです。
その平穏が崩れたのは、部下と野営中に鬼に襲われたときでした。
巌勝を鬼から救ってくれたのは、幼い頃に生き別れになっていた弟の縁壱でした。
その剣の腕に再び嫉妬した巌勝は、妻も子供も捨てて自身も鬼狩りの道を歩み始めます。
しかし、どれだけ鍛錬を重ねても縁壱には追いつけず、そこを鬼舞辻無惨につけ込まれた挙げ句、鬼に堕ちてしまったのでした。
剣の才能に恵まれた二人
2ヶ月で『柱』に上り詰めた時透無一郎
時透無一郎には類い稀なる剣の才能がありました。
それは「剣を握り始めてからたった2か月で柱に上り詰める」という異常なまでの出世速度が証明しています。
例えば、炭治郎は剣を握り始めてから2年間修行した後に最終選別に挑んでいます。
共に、本格的な修行を始めるまでは剣を握ったことがなかった二人ですが、違いは歴然ですね。
もちろん、炭治郎が劣っていたわけではありません、無一郎の方が「超異例」なのです。
修行内容も過酷だった
かつて無一郎の日輪刀を打ってくれていた刀鍛冶の鉄井戸(てついど)さんは、無一郎のことをとても心配していました。
自分の打った刀を短期間でボロボロにしてくる無一郎が、どれほど過酷な修行を積んでいるのか、そこまで自分を追い込んでしまう心の状態がいかほどか、これまで担当した鬼殺隊士とは明らかに違うことを感じていたからだと思います。
無一郎が短期間で柱にまで上り詰めることができたのは、もちろん持って生まれた剣の才能のおかげもあるでしょう。
しかし、人並み外れた厳しい修行を自分に課していたこともまた事実なのです。
戦いの最中に思い出した兄の言葉
刀鍛冶の里で、人間たちを無慈悲に襲う上弦の伍・玉壺と戦っているうちに、無一郎は過去を思い出していきます。
そして里に住んでいる少年・小鉄君が、命を顧みず自分のことを助けてくれようとしている姿を見て、兄から言われた「お前は自分ではない誰かのために、無限の力を出せる選ばれた人間」という言葉をはっきりと思い出しました。
これまで鬼殺隊の柱として誰かを救ったことは何度もあったはずですが、命がけで自分を救おうとしてくれている人間を見たのは、兄以外では初めてだったかもしれません。
そしてこのことがきっかけとなり、無一郎は過去の記憶も感情も取り戻しています。
一人で鬼舞辻無惨を追い詰めた継国縁壱
継国縁壱は、戦国時代に生まれた鬼殺隊史上最強の剣士でした。
あの鬼舞辻無惨を死の淵に追い詰めたのはこの縁壱だけです、それもたったひとりで。
自分の才能に気づいた幼少期
縁壱は、誰からの指導も受けることなく、初めて持たせてもらった袋竹刀で大人を失神させています。
それも、相手は武士だった父親の輩下で、兄・巌勝の剣術指導をしてくれていた人物ですので、素人ではありません。
縁壱自身、自分に剣の才能があることを知ったのは、このときが初めてでした。
しかし、自分から「やってみたい」と言い出したものの、実際に人を打ち付ける感触を不快に思った縁壱は、これ以降、剣を持とうとはしませんでした、青年期になるまでは。
再び剣を手にすることになったきっかけは妻の死
縁壱は7歳のとき、自分を気にかけてくれていた母親の死を機に継国家を出ています。
その後、一人の少女と出会い、10年後に結婚。
しかし、その幸せは突如終わりを告げます。
臨月だった縁壱の妻「うた」は、縁壱が産婆を呼びにいっている間に、お腹の子もとろも鬼に殺されてしまったのです。
家族と静かに暮らすことだけを望んでいた縁壱でしたが、それさえ叶わないことに絶望。
そして自分の夢を奪い、これからも誰かの夢を奪い続ける鬼を滅するために鬼狩りとなりました。
与えられた才能の意味を理解した青年期
鬼狩りの剣士となった縁壱は、自分だけが使っていた「呼吸」というものを他の剣士にも教え、鬼殺隊の底上げに貢献しています。
そしてある日、鬼の始祖である鬼舞辻無惨と遭遇。
なぜ人を攻撃することを好まない自分に剣の才能が与えられたのか、縁壱はその理由をこのとき瞬時に理解したのです。
ところが、縁壱に勝てないことを悟った無惨は体を分裂させて逃亡してしまい、縁壱は無惨の細胞を完全に滅ぼすことができませんでした。
ただ、縁壱に恐れをなした無惨は、この後、縁壱が生涯を終えるまで姿を隠しています。
無惨にここまでの恐怖を与えたのは、千年の生涯で縁壱ただひとりでした。
まとめ
時透無一郎と継国縁壱、生きた時代は400年もの隔たりがあった二人ですが、いずれも鬼殺隊史上に残る天才剣士でした。
しかし、それは決して彼ら自身が望んで得られた称号ではありません。
無一郎は元々は木こりの家の生まれですので、鬼に遭遇さえしなければ、そのうち兄とも理解し合える仲になり、平穏な暮らしが待っていたのではないでしょうか。
一方の縁壱も、生まれこそ武士の家系でしたが、次男であったために跡継ぎにはならず、妻を鬼に殺されなければ、剣を持つこともない平和な暮らしが続いていたはずです。
彼らのような天才剣士の存在が最後の無惨討伐につながっていったのは事実ですが、それでも、二人が鬼狩りの剣士となった理由が「家族を鬼に殺されたから」だったのは、やはりとても悲しいことだと思いました。
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