「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」、北米での上映が2021年4月23日から始まりました。
そして外国映画としての「公開初週末の興行収入第1位」を獲得。
たくさんのファンが公開を待ち望んでいたことが証明された形となりました。
ここでは、YouTubeやTwitterに上がっているファンの声、ジャーナリストの記事などを紹介していきます。
そして、メインキャラクターの声優さんたちが、それぞれ英語版と中国語版の吹替えを担当した声優さんたちと共に登場する動画も紹介します(同じ空間にはいませんが)。
映画『鬼滅の刃』海外の反応(SNS)
実際に映画を見たファンの反応(YouTube)
いずれも、元々「鬼滅の刃大好き! 日本のアニメ大好き!!」な人たちの感想です。
この作品の素晴らしさを伝えたい!
興奮冷めやらぬファンに、劇場で突撃インタビュー
『#Mugentrain』
「無限列車」は、そのまま「Mugen Train」と呼ばれています。
英語版公式Twitter
Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba (English) 公式
FUNimation
こういったところにすでに集まってきているのは、元々、原作マンガやテレビアニメを見て作品の面白さを十分にわかっている人たちですので、「Amazing!(とっても素晴らしかった)」「Excited!(早く見たい)」と、わかりやすいリアクションを取っています。
一方で、「自分の街の映画館ではやってくれない/映画館自体がコロナの影響で閉まっているから見られない(泣)」といった残念がる声もありました。
ただ、6月22日に「on Digital」となっていますので、オンラインで見れる日も近いということですね。
日本でのブルーレイとDVDの発売日が6月16日ですので、さすがにそれよりは少し後にしたのでしょう。
FunimationのTwitterに上がっているファンの声
「見てきた~! 2回目、行ってきま~す😀」
「テレビアニメ見てないんだけど、、、見ておくべき???」
「見ておくべき! アニメの続きだからね」
「泣いたー😢 マスクしてて良かったよ、もうグショグショ😭 いい歳した大人もいっぱいいてびっくり。そういう私も、いい歳した大人ですが😅」
「悔し~い! 俺だって早く見たいのに、でもイギリスでは5月26日まで待たなきゃいけないんだよ・・・」
「もう少しの辛抱だ。きっと『待った甲斐があった!』って思えるよ👍」
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」に関する記事
LA在住・日本人ジャーナリストの記事「全米2位発進、批評家の声は?」
ロサンゼルス在住の日本人ジャーナリストの記事で、アメリカでの公開状況や批評家の感想などを紹介しています。(Yahoo掲載の記事はこちら)
記事内に出て来る批評家のうち、3人のレポートを概訳にて紹介いたします。
Variety(エンタメ産業専門の業界紙)2021年4月18日付
日本人記者が触れている「Variety」のピーター・デブリュージ(予備知識あり)の記事です。
日本最高興収を記録した「無限列車編」は人気アニメシリーズの続き。初心者には敷居が高い
この「無限列車編」は、テレビアニメ第2期への単なる「つなぎ」ではない。家族を失った炭治郎、木箱に入って背負われている炭治郎の妹・禰豆子、女の子が大好きな善逸、上半身裸で猪の頭をかぶっている変なヤツ・伊之助、この4人のメインキャラクターの成長ぶりが描かれている重要なパートなのだ。
この4人組は「自分たちは頑張っている」と思って(うぬぼれて)いるようだが、大したことのない鬼たちに何度も殺されそうになっている。しかし、劇中では「十二鬼月」と呼ばれる最強の鬼が1体ではなく2体も登場。十二鬼月の存在はかなり前から触れられてきたが、テレビアニメ第1期の終盤まではその姿を現すことはなかった。(しかも上弦の鬼は未だに登場していない)
だからこそ、劇場版での強者が際立つ。炭治郎たち4人が、『柱』である煉獄杏寿郎のような先輩がいなければ「結局何もできない未熟者」として描かれてきたのは、この劇場版を盛り上げるための布石。炭治郎たちが繰り広げる小競り合いをこれまで何度も見せられていた(うんざり気味だった)ファンは、双方(鬼殺隊と鬼)のトップレベル同志の戦いぶりを見ることで、ようやく満足できるだろう。
言い方ひどいだろ・・・
下弦の壱・魘夢の血鬼術により眠らされた炭治郎が見た夢は、家族が鬼に襲われなければこうなっていたのではないか、という幻想を描いたもので、最も心を揺さぶられた場面だった。しかし何かがおかしいことに気づいた炭治郎は、妹の禰豆子を助けるために覚醒し、他のメンバーにも覚醒を促した。
好戦的な少年の伊之助は、炭治郎と共に『下弦の壱』の頸を探ろうとするが、それは簡単なことではなかった。『下弦の壱』は列車と同化し、CG触手や催眠目玉で列車を覆っていたためだ。何を言っているのか意味が分からなくてもご心配なく、映画を見ればわかるので。
そして「上弦の鬼と対峙して生き残った者はいない」、このことを心に留め、次に訪れる煉獄杏寿郎と秘密のキャラクターとの戦いも楽しんでほしい。そのためにも、予習はしておいた方がいいと言っておこう。
「好戦的な少年の伊之助」と訳した部分は、原文ではこう書かれています。
”Inosuke never met a living creature he didn’t want to fight”
直訳しますと「伊之助は戦いたいと思ったことがない生き物に出会ったことがない」、つまり「誰にでも戦いを挑む」。記事内では違う訳を当てましたが、原文は登場当初の伊之助の性格をよく現していますよね。
Deadline(エンタメ情報中心のオンラインマガジン)2021年4月19日付
こちらも日本人記者の記事に出てくる「Deadline」のアナ・スミス(予備知識あり)の記事です。
アナ・スミスによる「日本で大ヒットの映画『鬼滅の刃』について」
この外崎晴雄監督の作品は、その前のストーリーを知らずに飛び込んでしまうと、理解するのが相当困難でしょう。鬼殺隊士の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助の4人は、鬼殺隊階級上位の煉獄杏寿郎とともに「無限列車」に乗り込みます。目的は、先に乗り込んでいた鬼殺隊士たちを襲った鬼を見つけること。乗客たちは、車掌が切符を切ると眠りに落ちてしまうのですが、炭治郎たちも同じように眠らされてしまいます。
それぞれが見ている「幸せな夢」から、キャラクターたちの心の中が浮かび上がります。炭治郎は、殺された家族が生きていたら・・・という夢、そして伊之助は洞窟の中でシュールな体験をする夢。この夢のシーンは、物語の背景を知らない人にはインパクトが弱いかも知れませんが、それでも魅力的な場面には感じられると思います。
物語では、夢と現実との境が曖昧で混乱する様子が描かれていて、夢の中で自分を殺すことへの戸惑いや、現実世界への影響を考えるシーンもあります。これは穏やかでない場面ですが、(鬼の術によって)夢に落ちることの恐ろしさを効果的に現していると言えるでしょう。
夢を見させている鬼・魘夢は、そこまで深みのあるキャラクターではありません。また、映画の悪役は、自分の悪行の目的を説明するのが恒例ですが、彼も「幸せな夢を見させた後で、悪夢を見せてやるのが好きなんだ」と語っています。
後半の戦いはちょっと長引きますが(アベンジャーズほどではないものの)、それでも、最後はファンを感動させてくれます。
この作品はテレビシリーズで確立されたスタイルを貫いていて、必ずしも大スクリーンで見なければいけないほどのものではありません。しかし、いつもとは違った空間でキャラクターたちを見られる良い機会です。そして何より、この作品を愛する人たちと一緒に見られるという楽しみがあります。
San Francisco Chronicle(アメリカの日刊新聞)2021年4月21日付
こちらも日本人記者の記事内で紹介されたもので「San Francisco Chronicle」のアレン・ジョンソンの記事(予備知識なし)です。
無限列車編よりも前のストーリーを知らない状態で書かれたもののため、勘違いしているところもいくつかありました。
日本で最高興行収入を記録した「鬼滅の刃・無限列車編」はアニメならではの面白さ
私はマンガを読んでいないし、テレビアニメも見ていないが、何の問題もなかった。ストーリーはいたって単純。舞台は20世紀初めの日本、恐ろしい鬼から200人の乗客を守るために、夜の闇を疾走する列車に鬼狩りの少年たちが集結。「鬼殺隊」と呼ばれる鬼狩りの少年たちを率いているのは、鬼にされてしまった妹の禰豆子を助けようとしている13歳の少年・炭治郎だ。
15歳です。禰豆子が鬼にされてしまったときは13歳でしたが、そこから2年修行して鬼殺隊に入ったので、無限列車編の時は15歳になっています。
列車内で、金色の髪をした鬼殺隊の最強剣士のひとり・煉獄と合流した炭治郎は、自分を弟子にしてほしいと煉獄に頼んでいる。
いや、あの「おいらを弟子に」のセリフは、俺が実際に言ったわけでは・・・
劇中で、煉獄は炭治郎たちに対し、「剣術の腕を磨いて更に精進するためには、内面的な強さ、精神面の鍛錬が必要だ」と説いている。
そしてこの映画は、人間と鬼との戦いを描くと同時に、キャラクターの成長を描いた物語でもある。煉獄は後輩たちに、恐怖に身を縮めるのではなく、恐怖に立ち向かうために必要な方法を身につけるよう教えている。
そうだ! 心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け。竈門少年、猪頭少年、黄色い少年、もっともっと成長しろ。
この記者は予備知識がなかったおかげで、多少解釈のズレはあるものの、映画の中のひとつひとつのセリフや場面を純粋な気持ちで見られたのかも知れませんね。
AMC Scene(北米12大映画館チェーンの1つ)2021年4月21日付
映画『鬼滅の刃』は「劇場で観るのが最高だ!」と思う4つの理由
1.息を呑む「アニメーションの映像美」
複雑な背景から生き生きとしたアクションシーンまで、ufotableの描く美しいアニメーションを大きなスクリーンで見られる貴重な機会です。
2.命を張った危険なアクションシーン
鬼殺隊士たちは自分たちの命だけでなく、行方不明になった40人の乗客も守るために大スクリーンで戦いを繰り広げます。また、9人の『柱』のひとり、炎柱・煉獄杏寿郎の活躍も必見です。
3.続いていく壮大な戦い
「無限列車編」はテレビアニメ第1期からの続きになっています。そしてすでに放送が発表されている第2期へと続いていく物語であり、鬼殺隊士たちの戦いを見守っていくのに欠かせない部分になります。
4.待ち望んだファン
この1年間はファン同士が集える機会がありませんでしたが、劇場では安全に交流することができます。最高のコスプレをして、グッズを持って、皆で「鬼滅の刃」の最新版を楽しみましょう。善逸と伊之助のやりとりでは、少なくとも1回は会場が笑いに包まれると思います。
AMCシアターズ は、アメリカ合衆国のAMC Entertainment Inc. 社が運営する映画館チェーンである。北米で収益トップ50の映画館を擁し、12大映画館チェーンの中で2001-2002年の不況を生き残った4チェーンの1つでもある 。
Wikipedia
The Mary Sue(「オタク女子」目線の情報サイト)2021年4月23日付
このサイトは「オタク女子」が作っているそうなので、内容も「女子目線」が感じられて、表現や解釈も独特です。
「ネタバレなし」と謳っていますが、予告編から読み取れる内容は含んでいます。
また、間違った解釈には途中で突っ込みを入れさせてもらっています。
ネタバレなしのこの記事を読んで、無限列車に乗り込もう!
映画はテレビアニメの第1期からの続きで、無限列車に乗り込むところから始まります。無限列車では鬼殺隊員を含む乗客の何人かがすでに殺されていました。
いえいえ、殺されていません。
アニメ映画は、本編とは別のストーリーとして制作されることが多いのですが、この「無限列車編」は物語の中の一部分に当たります。映画の中ではテレビアニメで描かれた内容について説明している部分はほとんどありませんが、映画だけで理解が難しいところは劇中で補ってくれています。
完全に『鬼滅の刃』の予備知識がある前提で作られているよね。
炭治郎がどうやって「善逸と伊之助」という問題児たちとうまくやっているのかだけは謎のままですが、おそらく、弟や妹の面倒を見ていた経験がいきているのでしょう。エナジードリンクのような(熱い性格の)煉獄さんと、シナモンロールのような(優しい性格の)炭治郎は良い組み合わせなのだと思います。
予告編で炭治郎の家族が出てきたときは、ちょっと胸にくるものがありました。本編では家族はすぐに殺されてしまいましたが、この「無限列車編」で、炭治郎が兄弟たちや母親と過ごすシーンをたくさん見られます。そしてこの後に続いていく物語に期待を持たせた終わり方をしているのも素晴らしいと思いました。
なお、「劇中で自死の描写がある」、このことだけは、ここでネタバラしさせておいてください。
欧米の感覚からすると、ここは日本人が感じるよりも更にショッキングなシーンに映るのでしょうね。(と、俺に語らせていいのか?!)
IndieWire(映画業界レビューWebサイト)2021年4月23日付
原作もテレビアニメも見ずに、いきなり映画を見に行った映画評論家の記事です。
「そんなふうに感じるんだ」と新鮮に思う部分のほか、公開当初の日本での反応とかぶるところもあって面白かったので、多めにご紹介します(これでもかなり端折っていますが)。
アニメ映画の大ヒット作『鬼滅の刃』が全米で公開されたが大きな問題がひとつ、予備知識が必要
私はこの記事を「この作品の初心者」という立場から、この映画を「ジブリ映画のような独立した劇場版」と思い込んでいる人たちに向けたアドバイスとして書かせてもらう。
この映画は初心者には非常にハードルが高い。ストーリーをざっくり説明するとこうだ。
4人の少年・少女たちが、他人の夢を操る術を使う鬼・魘夢(えんむ)を退治すべく、魘夢が乗っ取った列車に乗り込む。そこで経験豊富な炎柱・煉獄杏寿郎と合流して魘夢を倒そうと奮闘する。列車の上で戦い、客車の中で戦い、列車の前方でも戦う。そしておぞましいシーンの後(※炭治郎が自決を繰り返すシーンを指していると思われます)、敵の能力を見切ってその場所で鬼を倒すことに成功。終わり。
駅を出発した列車は、新しい乗客を乗せるための減速など全く行わず、行き先さえよくわからないままひたすら走り続ける。この展開は原作やテレビアニメからのファンとっては満足なのかも知れないが、新参者には疑問でしかない。
疑問はまだまだある。
- 冒頭で登場する病気の老人の正体は?(※「老人に見えるんだ?」と軽く衝撃)
- 炭治郎が妹を木箱に入れて運んでいるのはなぜ?
- 「鬼による被害が7件報告されている」・・・で、その詳細は???
- なぜ伊之助はシャツを着ずに猪の頭の皮をかぶっているのか?
全く何の説明もなし。
そして更なる謎は、魘夢によって見せられる夢のくだり。私たちは「鬼と鬼狩りが戦う物語」を見に行っているのに、登場人物の中にいる内なる悪と戦うシーン(※これも、炭治郎が覚醒するために自決するシーンを指しているのでしょう)を何度も見せられるのは非常にストレスがたまる。
ただ、「頸を斬ったのにどうして死なないのか教えてほしいよね」という魘夢の不気味な囁きはちょっと捨てがたい。この映画の吹替え版のセリフは平坦な感じなので、見るなら字幕版をお勧めしたいが、英語版・魘夢役のランドン・マクドナルドは明らかに楽しんで演じていて、彼の囁くような声には、退屈の淵からよみがえらせるような中毒性がある。
なお、「R指定」ではあるが、そこまでのバイオレンスシーンは含まれないので、子供に見せて良いかどうか悩んでいる親御さんには安心してもらいたい。あの「となりのトトロ」にさえ『内容注意』のシールを貼っていたほど、アニメ自体をタブー視してきた長い歴史、および外国嫌いという背景がそうさせているだけだ。
ただし、主人公が夢から覚醒するためにとった方法だけは、子供たちには不適切だと思われる。
原作を読み込んだ人なら、この映画も深く理解できるのだろうが、そうでない人は、安易に飛びつかない方がいいかも知れない。
英語版PV
劇場版英語吹替えPV
「吹替版」のPVをご紹介します。
テレビアニメ用PV
テレビアニメ用PV(字幕)
hulu用PV(字幕)
声優ワールド対談「VOICE ASK!!!」
各国(日・米・中)声優さんたちによるキャラクター解説や、共通のセリフを他の国の言葉でチャレンジするなどの内容で、全編に英語字幕がついています。
英語と中国語、それぞれの声優(俳優)さんたちが、日本語オリジナルの声優さんたちの世界をとてもリスペクトしているのが伝わってくる内容でした。
いずれも30分を少し超える長さですので、お時間のあるときにじっくりどうぞ。
竈門炭治郎役・花江夏樹さん
竈門禰豆子役・鬼頭明里さん
嘴平伊之助役・松岡禎丞さん
我妻善逸役・下野紘さん
善逸の英語吹替えは、PVではかなり声が低くて「イメージが違う」と思われた方もいると思いますが、他の場面ではそうでもなく、下野さん自身が「俺に似てる!」と思わず言ってしまうほどの場面もありました(映画ではなくテレビアニメのシーンです)。
煉獄杏寿郎役・日野聡さん
まとめ
日本とは違う反応だと思ったのは「炭治郎の自決シーンは配慮が必要だ」と言っている記事がいくつかあったことと、Twitterで「早くオンラインで見れるようにしてほしい」という声が上がっていることでした。
オンラインでの配信は、劇場の閉鎖などで映画館では見られない人、あるいはコロナ渦で自粛している人にとって、待ち切れないものでしょう。
本来であれば、一人でも多くの人に劇場で楽しんでいただきたい作品ですが、このような状況下では、なかなかそれも難しいのかも知れませんね。
そして北米に続き、5月26日からはイギリスとアイルランドでも公開されました。
いろんな国で、たくさんの人に見てもらえると嬉しいですね。
なお、2021年3月まで(日本での公開からアカデミー賞候補発表まで)の「海外の反応」につきましては、こちらの記事で紹介しています。
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