無限列車編で猗窩座が煉獄杏寿郎を誘ったときの「お前も鬼にならないか?」。
これは『鬼滅の刃』において鬼が人間をスカウトする場面の中で、いちばん有名なセリフです。
でもあまりに単刀直入すぎで、良い返事をもらえるとは到底思えない誘い方でした。
ところが、戦いが進むにつれ、猗窩座の誘いはどんどん本気度を増していきます。
そこで、今回は煉獄さんに対する猗窩座の本気度を数値化してみました。
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「お前も鬼にならないか?」に始まる猗窩座から煉獄杏寿郎への誘いの本気度
①「お前も鬼にならないか?」本気度:65%
このときから結構本気だったとは思いますが、それでもまだ「鬼にさせることができれば儲けもの」ぐらいの気持ちだったでしょうか。
過去の「柱スカウト全敗」の経験上、鬼殺隊の『柱』が、そうあっさり承諾するわけがないことを十分わかっていましたからね。
そしてまだこの段階では「強い『柱』を鬼にしたい」、ただそれだけで、煉獄さん個人にそこまで興味があったわけではなさそうです。
「鬼にならないなら殺す」は本気ではない
この場面、原作を読んでいる時点では額面どおりに受け取っていましたが、アニメーションでの猗窩座の表情、そして石田彰さんのアフレコからは「本気で殺そうとしているわけではなさそうだ」と感じました。
石田さんが「ならば鬼になりたいと思わせてやる、わからせてやる」、猗窩座の気持ちをそう受け取って演じられていたからだと思います。
「死んでくれ杏寿郎、若く強いまま」も本音ではない
このセリフでの猗窩座の本音は「死んでくれ杏寿郎」のところではなく、前半の方です。
つまり「素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく。俺はつらい、耐えられない。だからお前は鬼になって若く強いままでいてくれ」、それが本音だったのではないでしょうか。
②「鬼になれ、杏寿郎」本気度:80%
このセリフのシーンはアニメーションのオリジナルです。
原作では、このすぐ後に煉獄さんが「炎の呼吸・伍ノ型『炎虎』」を出していますが、アニメーションではそこに行き着くまでにいくつかのシーンが追加されていました。
戦いを続ける中で、猗窩座はどんどん煉獄さんに惚れ込み、上から目線で誘っているのです。
鬼になれ、杏寿郎。そして俺とどこまでも戦い、高め合おう。その資格がお前にはある!
断る。もう一度言うが、俺は君が嫌いだ。俺は鬼にはならない!
③「死ぬな、杏寿郎」本気度:90%
原作では「杏寿郎、死ぬな」ですが、アニメーションでは「もっと戦おう。死ぬな、杏寿郎」でした。
「本当は殺したくない。俺にお前を殺させないでくれ」という思いがこめられているように感じます。
しかし、「じゃあ殺すのをやめればいいのに」というのは人間の発想。
目の前の鬼狩りを殺さない鬼は、鬼舞辻無惨に粛清されてしまうからです。
猗窩座は無惨に非常に忠実な鬼ですので、そこを覆すことはあり得ません。
無惨に忠実じゃない鬼なんていたっけ?
俺の知る限りでは、無惨に支配されていない珠世さんと愈史郎さん、そして禰豆子の3人だけだな。
④「俺と永遠に戦い続けよう」本気度:100%
片目を潰されても、肋骨を砕かれても、煉獄さんは諦めませんでした。
「俺は俺の責務を全うする!ここにいる者は誰も死なせない!」
煉獄さんは命を賭けて皆を守ろうとしているのに、猗窩座は「やはりお前は鬼になれ」と、的外れな誘いを繰り返しています。
しかしそこには猗窩座なりの、本当に純粋な、煉獄さんへの想いが溢れていました。
自分が思っていたよりもはるかに高い剣技と、何よりも強い精神力を持つ煉獄さんを見て、嬉しくてたまらなかったのだと思います。
自分が心から夢中になれるものに初めて出会った子供のような、そんな気持ちだったのではないでしょうか。
このミニキャラの無邪気っぽい感じが、煉獄さんと戦えて喜んでいる猗窩座のイメージです、私の中では。
⑤「鬼になれ!鬼になると言え!」本気度:120%
どれだけ誘っても絶対に首を縦に振ってもらえず、猗窩座はとうとう煉獄さんのみぞおちを拳で貫きます。
しかし、ここでも猗窩座は煉獄さんを殺そうとしていたのではありません。
「鬼になる」と言わせるためには、もう致命傷を与えるしかないと思ったのです。
それでも攻撃をやめない煉獄さん
ところが、猗窩座のあては外れました。
煉獄さんは、たとえ死ぬことになっても最後まで戦い続けることを選んだのです。
いや、「選んだ」というのは違いますね、煉獄さんには最初から「鬼になる」などという選択肢はなかったのですから。
他の柱に対する上弦の鬼の本気度は?
煉獄さん以外にも、上弦の鬼にスカウトされた『柱』がいます。
そのときの鬼たちの本気度はどれぐらいだったのでしょうか?
そしてそのとき、柱たちはどのような断り方をしていたのでしょうか?
【上弦の参・猗窩座】水柱・冨岡義勇への本気度:70~80%
だから、そんな誘い方で成功するわけがないのに・・・懲りないヤツですね。
このときの猗窩座の本気度は「70~80%ぐらい」でしょうか。
そして義勇はこの誘いに対し、何も答えていません。
つまり「完全スルー」です。
【上弦の壱・黒死牟】霞柱・時透無一郎への本気度:90%
さすが上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)、誘い方にも品があります。
いや、これは「誘っている」というより「勝手に決めている」というべきでしょうか。
黒死牟が言っているとおり、無一郎は黒死牟の末裔であり、剣技も精神力も申し分ないことをすでに確認済みでしたので、この時の本気度はかなり高め、「90%ほど」ではないでしょうか。
しかしこの誘いに対する無一郎の反応も「完全スルー」でした。
【上弦の陸・妓夫太郎】(柱じゃないけど)竈門炭治郎への本気度:50%
これはあまり本気度を感じませんので「50%」といったところでしょうかね。
遊郭で戦った上弦の陸・妓夫太郎(ぎゅうたろう)は、炭治郎と同じ「妹を守っている兄」でした。
妹を守れていない弱い炭治郎をバカにして、そのついでに思いついたことを口にしているだけかもしれませんが、たとえそうであっても「鬼になったら助けてやる」というセリフは「妹を持つ兄」だった妓夫太郎ならではのものだったと思います。
そして炭治郎はこの妓夫太郎の誘いを「完全スルー」しています。
きちんとお断りしたのは煉獄杏寿郎だけ
冨岡義勇も時透無一郎も竈門炭治郎も、みんな上弦の鬼の誘いを「完全スルー」でした。
それはつまり「答えるまでもない、鬼になどならない」ということなのですが、
こうやってはっきりと口に出して断っている煉獄さんは、鬼に対してもとても律儀だったのですね。
特別感がある、アニメーションでの猗窩座の描かれ方
猗窩座が煉獄さんと戦っている場面には、原作にはないセリフや、アニメーションでしか表現できない美しいシーンがありました。
原作にはなかったセリフ「1年後、2年後には・・・」
煉獄さんを誘っているときに、猗窩座が言ったセリフです。
ここで殺すには惜しい。まだお前は肉体の全盛期ではない。1年後、2年後にはさらに技も研磨され、精度も上がるだろう。
そしてこのセリフは、猗窩座が狛治(はくじ)という人間だった頃、後に婚約者となる恋雪(こゆき)に言った言葉が基になっていると思われます。
実は、猗窩座は自分の言ったこのセリフを、人間だった頃にすでに忘れてしまっていました。
それは、「恋雪に気を遣い考えて口にした言葉」ではなく「サラッと自然に出た言葉」だったからです。
狛治が何気なく口にしたこの言葉が、恋雪の心には深く刺さったのでした。
そしてこのときの恋雪の言葉が狛治の心にも深く刻まれ、猗窩座という鬼になってからも、心の奥底にあったのだと思います。
術式展開の羅針盤
恋雪がつけている「雪の結晶の髪飾り」がモチーフとなった「術式展開」の羅針盤は、本当に美しく表現されていました。
アニメーションでの猗窩座には、後に語られる過去を彷彿とさせる演出が散りばめられていたのですね。
その猗窩座の過去につきましては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
まとめ
猗窩座の「お前も鬼にならないか?」は、確かに下手な誘い方ではありましたが、本気度が上がるにつれて説得力も増していきます。
猗窩座役の石田彰さんは「猗窩座は陽光が差し込むギリギリまで煉獄を鬼になるように誘っている、そこにはある種の『愛』を感じる」と言っていました。
確かに、悲鳴にも近い猗窩座のこの叫びには「愛」を感じます。
それでも猗窩座の想いが煉獄さんに届くことはなく、鬼へのスカウトに関しては最初から「負け戦」だったのでした。
尚、猗窩座とは反対に、そこに『愛』は全くないけれど、人の心につけ込むことに長けている鬼舞辻無惨のスカウト術につきましては、こちらの記事で紹介しています。
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