「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の来場者特典第3弾「来場御礼スペシャルブック」は、2020年12月12日から全国75万人に配布されています。
劇場版公開時の「煉獄零巻」が450万人分だったことを考えますと、かなり数が限られていますね。
劇場版『鬼滅の刃』来場者特典第3弾の内容
A4サイズの全24ページ(表紙含む)で、内訳は以下になります。
- メインキャラクターの声優5人による座談会・12ページ
キャラクター | キャスト(声優)※敬称略 |
竈門炭治郎(かまどたんじろう) | 花江夏樹(はなえなつき) |
竈門禰豆子(かまどねずこ) | 鬼頭明里(きとうあかり) |
我妻善逸(あがづまぜんいつ) | 下野 紘(しものひろ) |
嘴平伊之助(はしびらいのすけ) | 松岡禎丞(まつおかよしつぐ) |
下弦の壱(いち)・魘夢(えんむ) | 平川大輔(ひらかわだいすけ) |
- 「煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)役・日野聡(ひのさとし)さん」と「上弦の参(さん)猗窩座(あかざ)役・石田彰(いしだあきら)さん」の対談・6ページ
- キャラクターデザイン・松島晃氏による総作画監督修正集・4ページ(竈門炭治郎、猗窩座、煉獄杏寿郎)
声優さんたちのお話は「5人の座談会」と「2人の対談」に別れていますが、共通のシーンを語っているところも多数ありますので、ここでは座談会と対談の棲み分けはせず、ストーリーに沿って皆さんが語る「印象的なシーン」を紹介していきます。
劇場版『鬼滅の刃』は、プロの声優さんたちも驚くクオリティ
全編を通して、とにかく背景が綺麗
まず冒頭のお館様のお墓参りのシーンに皆さん驚いたそうです。
あまりの描写の繊細さ、美しさ(=実写のようなクオリティ)に「これアニメ映画だよね?」と。
炭治郎の夢に出てきた雪山、善逸の夢に出てきた風景、最後の朝日、とにかく背景の綺麗さが印象に残ったとのこと。
【前半】下弦の壱(いち)・魘夢(えんむ)戦
炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)と合流するシーン
炭治郎たちが列車内で最初に煉獄さんに会ったときは、ひたすら「うまい!」を連呼(17回)しながら『牛鍋弁当』を食べていましたね。
これが「本当においしそうだった」という声が多数で「そりゃ煉獄さんも『うまい!』を連呼するよな」と。
また、煉獄役の日野さんいわく、頼もしく戦っているときより、日常の台詞(「うまい!」も含め)の方が難しかったそうです。
俺は産屋敷(うぶやしき)邸で煉獄さんと一度会っていましたが、会話はおろか、じっくり顔を合わせることもないままでした。ですので、無限列車が実質的な「出会い」と言えるでしょうね。
煉獄杏寿郎というキャラクター
「最初はちょっと変な人な感じで出てくるのに、二時間後には皆の心を掴んで感動させている」(花江さん)
「この人についていきたいと思わせるカリスマ性がある」(松岡さん)
また、煉獄さんの『炎の呼吸』のシーンの演出にも皆さん驚いたとのこと。
花江さんは、ヒノカミ神楽と炎の呼吸の違いをどう描写されるのかを楽しみにしていたそうで、最初の『炎の呼吸・壱ノ型・不知火(しらぬい)』がカッコよすぎて泣いてしまったそうです。
煉獄さんが戦うときに流れる音楽もカッコいいですよね。
魘夢というキャラクター
平川さんいわく「自分の快楽や任務のためなら、努力を惜しまない。鬼殺隊は基本的にチームで戦うので、眠らせてそれぞれ絆を分断する魘夢の戦い方は、もっとも効率的だと思います」。
さすが深い考察ですね。
他のみなさんは「用意周到で怖い鬼だった」(花江さん)、「本当に卑怯なヤツ」(下野さん)と言っています。
キャラクターそれぞれの『夢』と『無意識領域』
我妻善逸の『夢』
これはテレビなどでも語られていましたが、テレビアニメの善逸役のオーディションは、この無限列車の夢の中で、善逸が禰豆子の手をとって駆けていくシーンの台詞だったそうです。
テレビアニメではそこまでたどり着かずに終わっていますので、善逸役の下野さんは「今回、劇場版でようやくやれたことが感慨深いです」と。
また、鬼になってからの禰豆子は喋るシーンがほとんどないため、この善逸の夢の中で喋る禰豆子が「めちゃくちゃ可愛かった」というのが皆さん共通の声でした。
「『無限列車編』はずっと重くてシリアスな話なんですけど、善逸の『夢』は本当に幸せな空間だったなと思います」(鬼頭さん)
嘴平伊之助の『夢』
実は伊之助の夢の中でのムカデ汽車のイビキ声は、魘夢(えんむ)役の平川さんが担当していたそうです。
伊之助は、魘夢が「列車と同化していた」ということをまだ知らないはずですが、伊之助独特の勘がすでに働いていたのでしょうか。
また、夢から爆裂覚醒したあとも自分のことを「親分」と言っていることから、伊之助役の松岡さんは「あの子は夢から覚めても、まだ『夢』が現実だと思っているところがある」と言っています。
煉獄杏寿郎の『夢』
「柱になったことを父に報告に行ったけれど喜んでもらえなかった」、「酒浸りになってしまった父を見るのは辛いが、弟の千寿郎は母親の記憶もほとんどないのだから、もっと可哀想だ」、そんな夢でした。
「魘夢は幸せな『夢』を見せようとしているのに、あれが幸せな『夢』だと思うと……」(平川さん)
「あれが煉獄さんの幸せな『夢』だと思うと、彼はどんな人生を生きてきたんだろうと思ってしまいます」(松岡さん)
また、煉獄さんの無意識領域は真っ赤な焼け野原みたいになっていて、「きっと熱い思いと共に、辛く苦しいことも経験してきたのかなと」(下野さん)
竈門炭治郎の『夢』
家族と幸せだった頃の『夢』
テレビシリーズの第1話を見ているような雪山の場面から始まります。
「炭治郎の弟や妹が『兄ちゃん』って言うところでもう、ここからドバッと泣いてしまいました」(下野さん)
また「音楽がなくなる演出が印象的だった」と、炭治郎役の花江さんは言っています。
炭治郎が途中で「自分は夢を見ている」ということに気づき、鬼を倒すために外へ飛び出して行くシーンでは、「家族を背に、振り返らずに走り続けるところが、僕の心にめっちゃきました」(松岡さん)
そして「炭治郎の無意識領域は本当に綺麗でした。想像以上に美しくて、広くて大きい。炭治郎は本当にどこまで優しいんだろうと」(下野さん)
『夢』からの覚醒
炭治郎が夢から覚醒するきっかけは禰豆子でした。
「あそこの禰豆子はもうホントに可愛くて。そして頭突きしたあと、あんなに血が流れるんだってびっくりしました」(鬼頭さん)
禰豆子の血鬼術で血が燃えていた現実の世界、それが炭治郎の夢にも現れるシーンも印象的でした。
繰り返す覚醒と偽物の『夢』
最初の夢から覚醒し、魘夢と対峙する炭治郎ですが、その後も魘夢の術に何度もかかっていて、そのたびに覚醒を繰り返しています。
そして、幸せな夢ではなく家族から責められる夢(父親にお椀を投げつけられたり、母親に「お前が死ねば良かったのに」と言われたり)も見せられるのですが、そのシーンは、花江さんだけでなく他のキャストも辛かったと話しています。
同時に、花江さんは「(言うはずが無いだろうそんなことを、俺の家族が!のところは)炭治郎の信頼や絆が感じられるシーンなので、悲しいですけど、すごく好きなシーンです」とも。
善逸のアクションシーン
『無限列車編』は、炭治郎、伊之助、そして煉獄さんがメインで戦っていきますが、善逸と禰豆子も印象に残る戦い方をしていて、下野さんも「善逸をここまでカッコよく描いてくださって、本当にありがとうございます!」と感激していました。
「音楽がすっと消えて、ビートだけになって、そこから善逸のアクションに合わせて激しくなっていく。あのシーンでまた泣いちゃった、カッコよ!って」(花江さん)
最初のビートが印象的ですが、よく聴いていきますと、メロディーは那田蜘蛛山のときと同じなんですよね。
魘夢の最期
『無限列車編』のアフレコは、1日目に冒頭から列車のアクション序盤あたりまで、そして2日目(一週間後)にそこから最後まで、と、大きく2日間に分けて収録したそうです。
平川さんは頸を斬られるシーンまで一週間おあずけをくらっていた形になり、頸を斬られる痛みや、頸を落とされる気持ちはどんなものだろうと、一週間ずっと考えていたとのこと。
そうやって最後にたどり着いたのが魘夢の絶叫だったそうで、他のキャストからも「あれは凄かった。鳥肌が立った!」と絶賛されていました。
「そこまで魘夢はずっと余裕があって、綺麗な喋り方をしていただけに、最後の絶叫が際立ちますよね」(鬼頭さん)
平川さんいわく、魘夢の最期は「まさに因果応報だ」と。
作戦を綿密に立てて、絶対にうまくいくと余裕を持っていたのに、炭治郎たちによって作戦にズレが生じ、最終的に自分がやられてしまって「何という惨めな悪夢だ」と言いながら消えていくことになる。
来場御礼スペシャルブック
また、この魘夢の最期の台詞は(テストアフレコのときに「もう少し押さえてほしい」とのディレクションをいただいて)、彼の悔しさを感情的に訴えすぎるのではなくて、彼は起こっている現実が信じられない、認めたくないと思っているうちに死んでいくんだなと。
来場御礼スペシャルブック
【後半】上弦の参(さん)・猗窩座(あかざ)戦
登場シーンの衝撃と絶望感
猗窩座の登場シーンは衝撃と絶望で始まります。
魘夢を倒し、乗客・乗員、そして鬼殺隊の仲間も命に別状はなく、大団円かと思っていたときに、また敵が現れたという衝撃。
しかも『下弦の壱・魘夢』にあれだけ苦戦したのに、その後に現れたのが初めて対峙する上弦の鬼で、それも上位の『参』、「これは勝てないという絶望感がすごかった」(花江さん)
画面の雰囲気も音楽もガラッと変わって、その絶望の空気感が凄かったというのが、声優さんたち皆の共通した感想でした。
猗窩座の技の演出
猗窩座の「術式展開」は、劇場で映える本当に美しい演出でした。
「煉獄さんの『炎の呼吸・玖(く)ノ型・煉獄』と猗窩座の『破壊殺・滅式(はかいさつ・めっしき)』がぶつかるところも素晴らしいですし、本当に何回も映画を見たくなってしまいます」(花江さん)
煉獄さんのテーマと猗窩座のテーマはそれぞれにカッコいいんですが、二人が戦うシーンではこの2つが重なって、それがまたとても素晴らしいんですよね。
煉獄に「鬼になれ」と執拗に誘う猗窩座
煉獄役の日野さんと猗窩座役の石田さん、お二人とも「猗窩座が本気になれば、きっともっと早く煉獄を殺すことができたのではないか」と言っています。
しかし、猗窩座は陽光が差し込むギリギリまで煉獄を鬼になるように誘っている、そこにはある種の『愛』を感じると。
石田さんは、以前のインタビューでも「猗窩座は一本筋が通ったキャラクターだと感じていました」と答えていますね。
猗窩座に「鬼にならないか?」と言われた煉獄は、即座に「ならない」と答えます。
そして猗窩座は「鬼にならないなら殺す」と言っているものの、表情や動きから、石田さんは「だったら体でわからせよう、ここまでやったらわかるだろう?(=鬼になった方がいいだろう?)」と猗窩座が説得しているように見えた、とのことです。
「猗窩座をいくら傷つけても、その傷の再生スピードがとてつもなく速く感じるんです。これは勝てないだろう・・・・・・と思いました」(花江さん)
そのことを、猗窩座は煉獄への説得材料にしている場面がありますね。
煉獄の信念
ところが、そこで煉獄が見せたのは背中越しに闘気がみなぎるシーン。
『俺は俺の責務を全うする!ここにいる者は誰も死なせない!』と煉獄が刀を担ぎ構えるシーンです(日野さん)
また、それに対する「杏寿郎、お前」という猗窩座の台詞には「お前、ここまで言ったのにわからなかったのか」という気持ちが表れていると、石田さんは分析しています。
猗窩座は煉獄との戦いに喜びを感じていた
猗窩座は煉獄との戦いの中、確かに喜んでいるように見える場面が何度かあります。
「ここまで食らいついてくれる人間とやりあえることに、喜びがあるんだろうなと。戦うことに命をかけている者ならば、そういう喜びもあるんじゃないかという気がしました」(石田さん)
来場者御礼スペシャルブック
後輩たちに見せた煉獄の想い
煉獄は最初に猗窩座の拳と刀を交えたとき、恐らく猗窩座には一人では勝てない可能性も考えていたのではないかと。けれどただでは決して負けない、必ず相打ちにはすると。その覚悟の中で、命を賭けたのではないでしょうか。後ろに炭治郎たちがいた、というのも大きいかもしれません。自分が上弦の鬼である猗窩座と戦う姿を見せて、彼らに何かを託す、伝えていくことにも大きな意義があると。(日野さん)
来場御礼スペシャルブック
後輩たちが受け取ったもの
花江さんは、「炭治郎たちにとっては、やっぱり煉獄さんとの出会いや、彼から受け取った言葉は、ずっと心の中にあり続けると思う」と言っています。
また、松岡さんは「伊之助は煉獄さんとたった一度言葉を交わしただけで『なんか凄かった』とわかるんですよね。彼と触れあったのは短い時間でしたけど、伊之助もすごく大きな影響を受けたんだと思います」と。
下野さんは「煉獄さんが亡くなったあとのシーンは喋り出しが善逸だったので、あの空気を壊しちゃいけないな」と考えて緊張していたそうです。
善逸は、煉獄さんの最期のところを見ていないんですよね。
少しおどおどした感じで善逸が喋り始めたのも印象的でした。
また、伊之助が涙でボロボロになっている場面は、初期の頃では絶対に考えられなくて、本当に成長したと、皆さん感じていたそうです。
まとめ
声優さんたちは、「劇伴(劇場で流れる伴奏音楽)や効果音がつくと、作品がひとつ上の次元に行きますよね」と言っています。
アフレコのときはまだそれがついていないので、その違いを私たちよりもずっと大きく感じられているのでしょう。
また、キャラクターに対する考察も本当に深くて、さすがプロ中のプロの声優さんたちだなあと思いました。
最後は、エンドロールで流れるLiSAさんの歌う主題歌『炎』をお聞きください。
またエンドロールで映し出される煉獄さんのイラストについては、こちらの記事で紹介しています。
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