蛇柱・伊黒小芭内は「こんな男性に愛されたら、女性はきっと幸せだ」と思わずにはいられないキャラクター。
ですが、本編の序盤・中盤では登場機会が極端に少なく、ネチネチしたイメージが長くつきまとってしまう損なキャラでもあります。
今回は、そんな伊黒小芭内が見せた恋柱・甘露寺蜜璃への愛の形について解説いたします。
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伊黒小芭内と甘露寺蜜璃の関係

伊黒は蜜璃に好意を持っていましたが、自分の生い立ちへの嫌悪から、気持ちを伝えることはしないと決めていました。
一方蜜璃の方は、何人かの男性にキュンとしてしまう癖があったものの、自分にとても親切で文通もしてくれている伊黒のことを好きだと思うようになります。
ただ、他の女の子にも親切にしているのではないかと思っていて、なかなか気持ちを伝えることができませんでした。

しかし命尽きる直前、蜜璃はついにその想いを伝えています。
伊黒からしてみれば、蜜璃の方から告白されるとは思っていなかったでしょう。
自分は、ただ愛しい人を守り続けていただけで、見返りなどなにも求めていなかったのですから。
それでも、その一途で温かいまなざしは、愛しい人にちゃんと届いていたのです。
つまり2人は「両思い」だったわけですね。
では、伊黒の一途な想いは、どういった状況から生まれたものだったのか、まずは過去から見ていきましょう。
伊黒小芭内の過去
伊黒の過去は、他のキャラクターたちと比べてかなり異質なものでした。
生みの母が同じ屋敷にいるにもかかわらず、生まれたときから座敷牢に入れられていたのです。
それは、その屋敷の「主」の命令によるものでした。
生まれた屋敷の主は「鬼」

伊黒の一族は、この蛇鬼が殺した人間の金品を奪うことで生計を立てていました。
その代わり、子供が生まれると、蛇鬼の大好物の赤ん坊を生け贄として蛇鬼に与えていたのです。
そんな中、伊黒が生かされて座敷牢に入れられていたのには、2つの理由がありました。
それは「一族で370年ぶりに生まれた男児だったこと」、そして「左右の目の色が違っていたこと」で、いずれも珍しさから蛇鬼に大層気に入られていたのです。
しかし、それは「生け贄にされない」ということではなく、「体が大きくなって食える量が増えるまで生かされていた」だけでした。
座敷牢にいる間も、この蛇鬼は夜中にこっそり伊黒の様子を伺いにくるほどご執心だったようです。
12歳の時に全てを知り、牢から脱走

蛇鬼の存在や自分が座敷牢に入れられている理由を伊黒自身が知ったのは、12歳のときでした。
そのとき初めて座敷牢から出され(解放されたわけではない)、蛇鬼の前に連れて行かれた伊黒は、「まだ小さい(食える量が少ない)」という理由でまた牢に戻されることになります。
しかし、このままではいずれ生け贄にされることは避けられず、また「蛇鬼と同じ口の形にするため口を切り裂かれる」という狂気にさらされたこともあり、逃げることを決意したのでした。

このとき俺のいた座敷牢に迷い込んできたのが、蛇の鏑丸(かぶらまる)だった。
盗んだ「かんざし」で牢の格子を少しずつ削り、やがて脱走に成功した伊黒。
途中、蛇鬼に追いつかれて殺されそうになりますが、当時の炎柱(煉獄槇寿郎)に助けられ、生き延びています。
鬼殺隊に入ったのは「汚れた一族の血を浄化するため」

伊黒が逃げたあと、一族はみな蛇鬼に殺されています。
1人だけ生き残った従姉妹には罵倒され、その言葉に深く心をえぐられた伊黒は、やり場のない思いをすべて鬼に向けるようになりました。
そして人を助けることで、少しだけ自分も救われていたようですが、それでも心の奥底ではいつまでも「汚れた血」が自分に流れていると思い、ずっとそのことを背負って生きてきたのです。
甘露寺蜜璃への想い

伊黒と蜜璃が出会ったのは産屋敷邸、つまりお互いが『柱』になった後でした。
蜜璃が産屋敷邸で迷ってしまったところを伊黒が助けていますので、柱になったのは、おそらく伊黒の方が先だったのでしょう。
そして伊黒は、このときの蜜璃の無邪気な明るさに、自分の方が救われたと語っています。
第一印象は「こんな女は見たことない」

伊黒は女ばかりの屋敷に生まれ、しかも嫌な思いしかしていませんでしたので、女性が苦手でした。
鬼殺隊に入ってからは、屋敷の女どもとは違う女性を見てきましたが、鬼殺隊の女性は、辛い過去や、それに立ち向かう相当な覚悟を持って入隊してきている人がほとんどで、それが痛々しく、違う意味で苦手だったそうです。

ところが、蜜璃はそんな痛々しさは全く感じさせず、その裏のない明るさや素直さは、伊黒には眩しく映ったのでした。
甘露寺に近づく者は許さない、人でも鬼でも

馴れ馴れしく甘露寺と喋るな。甘露寺に近づくな。
口数の少ない(冨岡義勇の次ぐらい?)伊黒独特の言い回しです。
炭治郎に対するセリフ

蜜璃は、刀鍛冶の里で炭治郎たちと一緒に上弦の鬼と戦っています。
そのこともあり、炭治郎とはかなり親しく話すようになっていて、それが伊黒には面白くなかったのでしょうね。
なお、不死川玄弥も一緒に戦っていますが、玄弥の場合は女の子の前だと緊張してしまうので、炭治郎のように打ち解けることはできなかったようです。
雑魚鬼に対するセリフ

無限城では、伊黒と蜜璃は常に行動を共にしていました。
最初に遭遇した雑魚鬼たち(といっても下弦の鬼程度の力はあったらしい)を伊黒がひとりで退治し、そのときのセリフがこれです。
下弦の鬼程度の力ならば、蜜璃でも十分対処できたはずですが、この子は「不意打ち」にちょっと弱いようで、伊黒はそこもお見通しだったのでしょうね。

その後、上弦の肆・鳴女に対していきなり攻撃を仕掛け、お約束通り失敗した蜜璃に対し、伊黒が(ちょっと呆れながらも)優しくアドバイスしている場面です。
伊黒は腕力には恵まれませんでしたが、その分、戦況を冷静に分析する能力には長けていました。
腕力はあるけれどおっちょこちょいの蜜璃とは、正反対のタイプだったわけですね。
ありのままの君が好き

伊黒から見た蜜璃は「可愛くて明るくて、素直で優しい子」でした。
他の鬼殺隊員の女の子たちと明らかに違う雰囲気を醸し出していたのは、鬼殺隊に入った理由が、他の子たちと明らかに違っていたからだと思われます。
蜜璃はなぜ鬼殺隊に入ったのか?
蜜璃は「家族や近しい人を鬼によって失った」という過去は持っていません。
また、煉獄さんや宇髄のように「戦うことが使命だった家系」というわけでもなく、伊之助のように好戦的だったわけでもありませんでした。
では、なぜ鬼殺隊員になったのかというと、

突拍子過ぎてどこまで信じて良いのかわかりませんが、おそらく本当のことなのでしょう。
普通の男性には理解してもらえなかった過去

蜜璃は、筋肉量が普通の人の8倍もあるという特異体質でした。
そのため、食べる量がものすごく多く、更に筋力があって力も強いため、男性から敬遠されてしまっていたのです。
自分を偽って男性とお付き合いしようと思った時期もあったようですが、やはり本当の自分を隠したまま生きていくのは嫌だった蜜璃。
どういった経緯で鬼殺隊のことを知ったかは定かではありませんが、「鬼殺隊なら私よりもっと強い殿方がいる」と思ったのでしょう。
強い自分を認めてもらえた場所、それが鬼殺隊

しかし鬼殺隊に入隊すると、強い自分を周りが認めてくれて、鬼から助けた人には感謝されるようになります。
それまで自分の強さをどこか恥じ、隠しがちになっていた蜜璃にとって、ありのままでいられる鬼殺隊は、大事な「自分の居場所」となったのでした。
そして、そのありのままの自分を好きになってくれたのが伊黒だったのです。
「好き」アピールはしない、ただ見守るスタンス

人並み外れた食欲があろうが、髪の毛の色が変わっていようが、伊黒にとってそんなのはどうでもいいことでした。
自分の前でご飯をおいしそうに食べて、楽しそうにおしゃべりをしてくれる、そんな人のそばにいると自分も楽しい、こう思える人と出会えて、とても幸せだったと思います。
そしてその気持ちは、蜜璃をも幸せにしていたのでした。

伊黒も、汚れた一族の生まれである自分は、蜜璃にはふさわしくないと思っていたものの、その純粋な想いが届いたことは、やはり素直に嬉しいと思ったに違いありません。
最期に交わした約束
伊黒小芭内と甘露寺蜜璃は、ともに鬼舞辻無惨戦で命を落とすことになります。
しかし戦いのあと、2人は最期の約束を交わしました。

どちらも致命傷を負っていましたが、そんな中でも、伊黒は蜜璃に自分の羽織をかけてあげていますね。
できれば現世で結ばれて欲しかった2人ですが、伊黒にそのつもりはなく、その決意は固いものでした。
そんな伊黒の決意を蜜璃は知らなかったと思いますが、ここでは「もしまた人間に生まれ変われたら」という来世の話をしていますので、伊黒も素直に「絶対に君を幸せにする」と誓ってくれていますね。
まとめ
伊黒小芭内は甘露寺蜜璃に対して明らかに特別扱いをしていて、そのあたりは鬼殺隊の『柱』ではあっても「普通の青年」でした。
危なっかしい蜜璃に対し、ハラハラしながらも温かく見守るさまは、恋人というより兄のような感じです。
でも蜜璃は、男性に守ってもらいたいタイプの女の子でしたから、むしろそんな「兄」のように見守ってくれる伊黒を好きになったのは、当然の流れだったのかもしれません。
また、伊黒は同じ『柱』として、そこに到達するまでの厳しさを知っているからこそ、その苦労を微塵も感じさせない蜜璃を尊敬もしていたと思います。
愛する人へ尊敬の念を抱きながら、最期の瞬間まで見守り続けた伊黒小芭内。
最後に2人が交わした約束が来世で果たされたことを知ったとき、ファンはみな安堵し、2人を祝福したのでした。
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