鬼滅の刃『遊郭編』において、炭治郎たち若い鬼殺隊士を率いて見事『上弦の陸』を倒した音柱・宇髄天元。
その戦いの中で最も衝撃的だったシーンといえば、宇髄天元の左腕が切断されていたところではないでしょうか
ところで、その「切断された腕」について、こんな噂があることをご存じでしょうか。
「腕を切ったのは宇髄天元本人なのではないか」
今回はその噂の根拠と、更に「弟が下弦の鬼の中にいた説」まで検証したいと思います。
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宇髄天元の腕を切ったのは妓夫太郎ではない?
なぜ「切ったのは妓夫太郎ではない」という発想になるのか?
普通に考えれば、宇髄の腕を切ったのは、戦っていた相手である上弦の陸・妓夫太郎ということになるでしょう。
妓夫太郎ほどの強い鬼であれば、宇髄のような柱の腕を切断することも十分可能だったと思われるからです。
ではなぜ「妓夫太郎ではなく宇髄本人が切った」という噂が出てくるのでしょうか?
そこには、こんな根拠があるのです。
妓夫太郎に切られていた場合の不自然な点
宇髄天元の腕が切断されていたこのシーン、よく見てください。
切断された左腕は、宇髄のすぐ後ろに落ちていますね。
しかし、もしも戦いの最中に妓夫太郎の鎌で切られていたとしたら、もっと遠くに吹っ飛ばされていたのではないでしょうか。
こんなに本体の近くに落ちる可能性、それはかなり低いと思われます
ただし、「2本の日輪刀が鎖で繋がっていたため、遠くへ吹っ飛ばなかった」という可能性はありますね。
「本人が切った」という説は宇髄が『忍(しのび)』だから
宇髄天元は『忍』の家系であり、己の命を顧みない戦い方が「常」でした。
もちろん他の鬼殺隊員たちも命をかけて戦っていますが、それはほとんどが「鬼殺隊に入ってから」の話ですよね。
しかし、宇髄は生まれたときから「それが当たり前」でした。
そんな『忍』の戦い方の中に「自分の身を大きく傷付けて相手を油断させる」というものがあります。
今回のこのシーンは正にこれに当てはまり、それを知ったファンの間で「自分で切ったのでは?」という噂が出てきたのでした。
では、その戦い方について、詳しく解説いたします。
噂の根拠は『忍』の戦い方にあり
自分の身を大きく傷付けるのは強敵に勝つため
「腕を切断する」ということは、その後の戦いにおいて圧倒的に不利になることは必至で、結果的に自分の首を絞めることにもなりかねない大博打です。
しかし、まともに戦っていては勝てない相手、つまり自分よりも明らかに強い相手に遭遇した場合は、その決断を下さなければなりませんでした。
そして宇髄は、このとき戦っていた妓夫太郎に対し「そうしなければならないほどの強敵」と認めたことになりますね。
その戦い方(術)の名は『病葉(わくらば)』
宇髄天元は、遊郭においてまず堕姫の頸をあっさり斬り落としますが、自分の探っていた上弦の鬼はこの堕姫ではないことを見抜きました。
そして堕姫の体から現れた妓夫太郎の動きや雰囲気から「本体はこっちだ」と確信。
戦いが進むにつれ、その強さが想像以上であることを知った宇髄は「このままでは全員やられる」と感じ、ある捨て身の戦法に出ます。
それが『忍』独特の戦法である『病葉(わくらば)の術』というものでした。
『病葉』とは?
まず「病葉」とは、写真のように病気や虫により変色した葉のことを意味します。
そして忍が使う「病葉の術」とは、端的に言えば「死体に化ける術」。
変色して枯れ行く葉に例えるほどですので、その「化け様(ざま)」の徹底ぶりが伺えますね。
今回の宇髄がこの『病葉の術』をかけていた時間はおそらく数分だったと思われますが、場合によっては数時間、数日ということもあり得る、本当に捨て身の術なのです。
具体的にはどのような『術』なのか?
『病葉の術』を使う目的は、戦いの相手に「こいつは死んだ」と信じ込ませて油断させ、そこを突いて最後に勝つこと。
つまり、以下の3つが重要になります。
- 重傷を負わなければならない(死なないギリギリの程度に)
- 心臓を一時的に止めておかなければならない
- 相手に反撃するチャンスが来るまで動いてはならない
いずれも、宇髄が妓夫太郎との戦いの中で実践したことです。
「左腕を切って重傷を負い」「筋肉で心臓を止め」「後輩たちが戦っている間も微動だにしなかった」。
とはいっても、宇髄はただじっとしていただけではなく、頭の中では妓夫太郎と戦うための譜面を作り、完成させています。
今回の宇髄天元にとっては、その「譜面を完成させる」ところまでが作戦のうちだったわけですね。
効果的だった宇髄の『病葉の術』
もし宇髄が生きていることを妓夫太郎に察知されていたなら、炭治郎はもっと早くにとどめを刺されていたでしょう。
しかし『病葉の術』にまんまとはまった妓夫太郎は、のらりくらりと炭治郎を追い詰めています。
明らかに油断していて、そのことを後で妹の堕姫にも責められる場面がありましたね。
それだけに、突如として宇髄が姿を現わした場面では、ものすごく驚いていました。
ただ、そこで一気にやられるのではなく反撃に転じているところは、さすがに『上弦の陸』です。
それでも、宇髄の作った譜面によってそれまでよりも追い込まれた形になっていた妓夫太郎は、堕姫を操作するのも自分が攻撃をしかけるのも間に合わず、自身は炭治郎に、そして堕姫は善逸と伊之助によって頸を斬り落とされたのでした。
アニメオリジナルのシーン
宇髄が嫁3人を連れてお墓参りをしているこのシーンは、原作にはないアニメオリジナルです。
その中でも、雛鶴の髪についた桜の花びらを宇髄が取ってあげるシーンは印象的でした。
そっと花びらを取ったのは、後に上弦の陸との戦いで失うことになる「左手」。
切ったのが宇髄本人でも妓夫太郎でも、どちらにしても、もう戻らない部分でした。
下弦の鬼の中に宇髄天元の弟がいた?
これも宇髄天元にまつわる噂のひとつ。
無限城に呼び寄せられたこの5体の中に「宇髄天元の弟ではないか?」と噂されている鬼がいます。
そもそも、なぜ「腕を切ったのは宇髄天元本人ではないか?」という記事に下弦の鬼の話を出したのかと言いますと、「死体に化ける術」である『病葉』という名前が関係しているからです。
『下弦の参』の名前が『病葉(わくらば)』
この鬼が『下弦の参・病葉』です。
目の前で粛清された『下弦の陸』と『下弦の肆』を見て自分の身を案じ、逃走を図るものの、あっさり鬼舞辻無惨に捕まって、やはり粛清されてしまった鬼です。
『病葉』という名前から、元忍ではないかという想像はできますが、やはり『鬼滅の刃』という作品の奥深さを考えると、作中のどこかで関連性を持たせているのではないか、という思いも持ってしまいますね。
そして『忍』といえば宇髄天元、結びつくのはそこしかありません。
さらに「宇髄天元の弟ではないか?」という噂が立ったもうひとつの理由として、この病葉が耳に付けているピアスがあげられます。
宇髄天元と同じピアスをしている?
病葉が耳につけているピアス、確かに宇髄天元がつけているものとよく似ていて、数も両耳に2個ずつです。
ただ、もし病葉が宇髄の弟だとすると、鬼になってから長くても数年しか経っていないはず。
「元忍」ならば普通の人間よりも強く、鬼になってからも強かったのだろうと思いますが、病葉本人の「せっかく十二鬼月になれたのに」というセリフから、ここまで来るにはそれなりの期間を要していたと考えられます。
そうなると、この「下弦の参・病葉は宇髄の弟」という説は、ちょっと説得力に欠けるかもしれません。
なお、この「病葉が宇髄天元の弟説」についての根拠と矛盾点は、こちらの考察動画を参考にさせていただきました。
まとめ
今回、噂の根拠となった『病葉の術』を調べてみて、「宇髄天元の左腕は、妓夫太郎ではなく宇髄本人が切った」という説はかなり説得力があり、可能性は高いのではないかと思いました。
鬼殺隊、特に柱たちは、自分の命を顧みずに戦っていますが、今回紹介した『病葉』という「死んだフリをして相手を油断させる」という戦い方は、忍だった宇髄ならではのものです。
ただ、この術を遊郭編のあの場面で使うことは、自分の命をかけるのと同時に、炭治郎たち後輩の命をも危険にさらすことになるものでした。
しかしそれでも宇髄がこの術を使った背景には「コイツらなら持ちこたえてくれる」という後輩たちへの信頼もあったものと思います。
そして『病葉の術』は、一度使ってしまうと己の身の損傷が激しくなるため、その戦いが「事実上の最後の戦い」となり、実際に宇髄もこの戦いで鬼殺の剣士としては引退をしています。
それでも「元柱」として鬼殺隊には貢献し続けてくれるので、今後も元気な姿を何度か拝める機会があるのは、ファンとしては嬉しい限りですね。
100年以上も顔ぶれが変わらなかった上弦の鬼を倒した宇髄天元たちのその功績は、お館様の言う通り、やがて鬼舞辻無惨へ繋がっていく大きな一歩となったのでした。
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