煉獄さんと共に無限列車で闘った4ヶ月ほど後、炭治郎たちは音柱・宇髓天元に駆り出されて遊郭へ向かいます。
そこで宇髄が炭治郎・善逸・伊之助に課した任務は、「遊郭に潜入してから消息が途絶えた俺の嫁を探すこと」。
そしてその嫁が「三人いる」と聞いた時の善逸のリアクションがこちら。

無限列車での任務の後、文句を言わずに単独任務をこなすようになった善逸でしたが、女性が絡むと相変わらずのようです。
が、善逸の言っていることは(表現の仕方はともかく)至極真っ当だと思うのです。
そこで、まずは「そもそも」なところから書いていきたいと思います。
素朴な疑問
そもそも、なぜ嫁が三人もいるの?
宇髄天元は元・忍(しのび)。「15歳になると一族の長が選んだ三人の女性を妻にする」という掟に従い、三人を娶っています。
また、彼女たちも忍で(女性なので「くノ一」ですね)、宇髄の妻であると同時に部下でもあり、夫を家で支えるだけではなく、危険な任務に出ることもあるのです。
なぜ「忍」をやめたの?
宇髄は9人姉弟でしたが、15歳になるまでに7人が亡くなり、生き残ったのは宇髄と2つ下の弟だけでした。
しかし、父親と同じ価値観を持つその弟は・・・

掟どおり妻を三人娶ったものの、部下や妻に対する一族のこの考え方は、宇髄には受け入れ難いものでした。
そして三人の嫁とともに一族を抜け、独自の道を歩むことになるのです。
嫁同士は嫉妬しないの?
どこからどう見ても、嫁たちはお互いに嫉妬していません。
また、宇髄も三人の嫁を分け隔てなく本当に大切にしており、嫁たちもそれぞれに宇髄を慕っています。
くノ一という過酷な環境に生まれ育ってきた彼女たちは「みんなで助け合って生きていこう」という思いが強いのかも知れません。
宇髄天元の三人の嫁を、順に紹介

須磨(すま)

宇髄は「俺の嫁は三人共、優秀な女忍者くの一」と言っていますが、他の二人に比べると、須磨はちょっと頼りなく見えます。
「アタシあんまり戦えないですから、期待しないでくださいね」
ジャンプコミックス『鬼滅の刃』第9巻
「まきをさん、私が味噌っかすなの知ってますよね?! すぐ(鬼に)捕まったし」
「あたし一番に死にそうですもん」
とは言いながら、逃げずに戦っているところは、さすがくノ一です。
かと思えば、上弦の陸(ろく)との戦いのあと、死を確信した宇髄が最後に何か言い残そうとしていたとき、ピーピーギャーギャー騒いでその声を遮る失態も。
一方、潜入した店で花魁になったのは三人の中で須磨のみ。
同じ『ときと屋』の鯉夏花魁という良き先輩に恵まれたおかげもあるのでしょうが、ちょっと頼りない須磨ならではの魅力もあったのでしょう。
まきを

同じ「嫁」という立場ではあっても、まきをは正に須磨の姉のような存在です。
戦いの中、怖がってピーピー騒ぐ須磨に対し、「弱気なことを言うんじゃない!」と一喝したり、
死にそうな宇髄の横でギャアギャア泣いているときには「ちょっと黙んなさいよ、天元様が喋ってるでしょうが!」と怒ったり。
ただ、その怒った声も宇髄の声の邪魔になっていて、「二人とも静かにして」と雛鶴に言われています。
まきをも鬼に捕まってしまったのですが、同じ『荻野屋』に潜入していた伊之助が助け出してくれます(須磨も一緒に)。
そして須磨と共に、鬼に捕らえられていた人を助けたり、遊郭の人たちを建物の外に逃がしたりするなど、大事な役割を果たすのでした。
雛鶴(ひなつる)

三人の中でいちばんのしっかり者。
遊郭に潜んでいた鬼が、自分の潜入した『京極屋』の蕨姫(わらびひめ)花魁だと気付くも、それを鬼側にも気付かれ、身動きがとれなくなってしまいます。
宇髄が雛鶴を見つけたときは、怪我と毒でかなり弱っていました(毒は、鬼の目から逃れるために、店から追い出されることを狙ってわざと自分で飲んだ)。
宇髄からは「解毒薬が効いたら吉原を出ろ」と言われますが、そうはせず、毒を塗ったクナイ(忍者が使用する武器のひとつ)を鬼に打ち込んで攻撃したり、鬼に気付かれないよう炭治郎にこっそりとクナイを渡したりして、三人の中でいちばん戦い慣れていることを感じさせます。
鬼殺隊の柱であっても、いちばん大事なのは「自分の嫁三人」

大事にされるには、わけがある
三人とも「忍」という立場で宇髄の嫁になりましたが、遊郭編での彼女たちは立派な柱の嫁として、たくさんの人の命を守りました。
宇髄に大切にされている嫁たちは、宇髄が大切にしたいと思うに足る素敵な女性たちだったんですね。
戦いのその後
遊郭での壮絶な戦いの末、左目と左腕を失った宇髓は鬼殺隊を引退しました。
その後も「元柱」として鬼殺隊と関わることはありましたが、第一線は退いています。
三人の嫁はそんな宇髄を支え続け、最後にこんな素敵な笑顔で登場してくれたのでした。

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