「ほわほわ」、これは『鬼滅の刃』に登場する、猪頭をかぶった人気キャラクター・嘴平伊之助(はしびらいのすけ)が使う表現です。
「ほわほわ」の意味と、具体的にどんなシーンで「ほわほわした」のかを、じっくり見ていきましょう。
▼▼▼動画でもご覧いただけます▼▼▼
そもそも嘴平伊之助の「ほわほわ」って何?
伊之助の独特な感情表現
伊之助は山で動物たちに囲まれて育ったため、人に優しくされた経験がほとんどありません。
そんな伊之助が、他人の優しさに触れて、「なんか嬉しい、なんか心地良い」と感じた気持ちの表現が「ほわほわ」です。
なぜ「ほわほわ」という擬態語を使っているのか?
伊之助は最初のうち、この「ほわほわ」が、自分が心地良く感じている状態だということを理解しておらず、「なんだこの変な感覚は?」ぐらいに思っていたようです。
伊之助がそれまでの生活の中で体験したことのない感覚なので、具体的な言葉では言い表せず、「ほわほわ」という擬態語を使っているのでしょう。
「ほわほわしている状態」はどうやってわかる?
伊之助の後ろに白くて丸いふわふわしたものが飛んで(浮かんで)いるときが「ほわほわしている=なんか心地良いと感じている」ときです。
伊之助(いのすけ)が実際に「ほわほわ」しているシーン
『藤の花の家紋の家』での「ひささん」とのひととき
最初に伊之助が「ほわほわ」としたのは、鼓の屋敷の任務後、鬼殺隊同期の竈門炭治郎(かまどたんじろう)&我妻善逸(あがづまぜんいつ)と共に静養のために訪れた『藤の花の家紋の家』でした 。
隊士たちのお世話をしてくれる老婦人、ひささんとの場面です。
「お召し物がずいぶんと汚れていらっしゃいますね。洗ってお返しいたしますから、こちらを着てみてくださりませ。肌触りも良くて気持ちがいいですよ」
出典:コミック第4巻
(記念すべき、初「ほわっ」)
「夕飯は天ぷらにしましょうね。そう・・・衣のついたあれでございます」
出典:コミック第4巻
(2回目が「ほわほわ」)
那田蜘蛛山に入った直後、炭治郎にお礼を言われたとき
那田蜘蛛山で恐ろしいことが起きていることを悟ると、さすがの炭治郎も少し怖くなったのですが、それでも山に入っていこうとしました。
すると、負けず嫌いの伊之助が「俺が先に行く!!」と言って前を歩いていき、そんな伊之助に炭治郎はこう言います。
「ありがとう。伊之助も一緒に来ると言ってくれて心強かった。山の中からきた捩(よじ)れたような・・・禍々(まがまが)しい匂いに、俺は少し足が竦(すく)んだんだ。ありがとう」
出典:コミック第4巻
那田蜘蛛山で炭治郎に褒められたとき
鬼殺隊士たちを蜘蛛の糸で操っている鬼を見つけるため、伊之助が呼吸を使って探る場面です。
「獣(けだもの)の呼吸 漆(しち)の型 空間識覚」
通常、獣の呼吸の型は「○ノ牙」と言うけど、この「空間識覚」は刀を使わないから、「牙」じゃなく「型」になっているのさ。
炭治郎 「見つけた?」
伊之助 「おう、あっちだ! 強い気配をビンビン感じるぜ!」
炭治郎 「そうか! すごいぞ、伊之助!」
那田蜘蛛山で炭治郎に助けられたとき
首のない鬼の倒し方を炭治郎が説明しているとき、最後まで聞かずに一人で突進していった伊之助は、鬼に攻撃されて怪我を負わされた上に蜘蛛の糸に固定され、鬼にやられそうになります。
しかし次の瞬間、炭治郎が伊之助の前に飛び出して鬼の攻撃から守り、更に蜘蛛の糸を切って伊之助を助けたときに「ほわっ」としています。
蝶屋敷で、きよちゃんたちに激励されたとき
蝶屋敷での機能回復訓練を終え、無限列車の任務に向かう直前の場面です。
きよ 「皆さん、お達者で」
善逸 「みんな、俺と別れるのが寂しいんだね! 俺だけ残ってもいいよ」
(伊之助はすでに横でほわほわし始めています)
きよ 「善逸さんは、少し女の子に対して気遣いや節度を覚えてくださいね」
善逸 「はい」
善逸がきよちゃんとこんなやりとりをしている横で、伊之助は自分たちと名残を惜しんでくれているこの子たちにずっと「ほわほわ」させられています。
と思いきや、実はよく見ると、伊之助は「おにぎりの入った箱」を持っていますね。
もしかしてこのシーンの「ほわほわ」はそっち???
いずれにしても、この表情(かぶりものですが)からして、このときはもう「自分が心地良く思っている」という自覚があるように見えます。
『藤の花の家紋の家』、那田蜘蛛山、そして蝶屋敷で、たくさんの人の優しさに触れてきた証拠ですね。
「ほわほわ」な状態を怒っている場面
那田蜘蛛山で首のない鬼と戦っているとき
伊之助が「ほわほわ」しているのは、「なんだか嬉しい、心地良いと思っているとき」なのは間違いないですが、1回だけ怒っている場面があります。
那田蜘蛛山で、首のない鬼から炭治郎に助けられた直後でした。
これは、蜘蛛の糸から伊之助を解放した炭治郎から「伊之助、一緒に戦おう! 力を合わせよう!」と言われたときの反応です。
「俺に指図すんじゃねぇ!」ならわかりますが、「ホワホワさすんじゃねぇ!」とは???
単なる照れ隠しだけでもないような気がします。
このセリフの真意、ヒントは英語版
このコマの英語版がこちらになります。
「勝手に前に飛び出しやがって、何が『力を合わせよう』だ! 助けられてばっかじゃ腹の虫が治まらねえ」という感じでしょうか。
伊之助は決して力を合わせて戦うことを嫌がっているわけではなさそうですが、とにかく究極の負けず嫌いなので、「自分より前に出られてしまうこと」「炭治郎の言うがまま動くこと」が、(勝つためには正しいとはわかっていても)悔しいのでしょうね。
ただ、この戦いの中で伊之助は、実は炭治郎が「自分が前に出たがっているのではなく、戦いの全体を見て行動し、指示を出している」ということを悟ります。
この「首のない鬼」へのとどめを伊之助に刺させた炭治郎に対し、今度は伊之助が、炭治郎を「蜘蛛の糸を操っている鬼」のところへ飛ばす場面があります。
そして、これらの場面が放送されたテレビアニメ第16話(コミックでは4巻の第31話)のタイトルは「自分ではない誰かを前へ」でした。
「ほわほわ」に近い感覚だったシーン
しのぶにも「ほわほわ」させられた?
実際に「ほわほわ」という文字は出てきませんが、蟲柱:胡蝶(こちょう)しのぶとのこの場面では、伊之助がほわほわしているように見えます。
これは無限城でしのぶが殺されたことを知った伊之助が、しのぶを思い出しているシーンです。
この場面での「ほわほわ」が、しのぶに対してではなく「指切りげんまん」の方であったことを、伊之助はまだ知りません。
母親が「指切りげんまん」を歌ってくれていたシーン
伊之助は母親の記憶が全くなかったはずでした。
しかし、伊之助の母を殺していた上弦の弐(に)・童磨(どうま)から、母親が赤ん坊の伊之助に、よく「指切りげんまん」の歌をうたっていたと聞かされると、自分の中にその思い出がわずかに残っていたことに気づきます。
伊之助は、自分の昔の記憶の中で「指切りげんまん」を歌っていたのがしのぶではないかと思っていたのですが、実はそれが母親だったことを知るのです。
つまり、「しのぶの指切りげんまんにほわほわした」のは、母親の記憶と重なっていたからなのでした。
伊之助のお母さんとしのぶを殺した童磨は、しのぶの毒によって弱ったところを、カナヲと伊之助が頸を斬って倒してくれました。
炭治郎が魚をくれたシーン
最終巻での伊之助の回想で、こんなシーンがありました。
これは、鬼になってしまった炭治郎の頸を斬るために向かっていったところで過去を思い出すシーンです。
「友達だからこそ俺が斬る!」と決意をしたはずが、こんなシーンを思い出してしまって、結局斬ることができませんでした。
炭治郎たちと出会った頃の伊之助だったら考えられないことですね。
まとめ
最初は何だかよくわからなかった「ほわほわ」という感覚も、次第に「心地良い、幸せを感じている」と理解できるようになった伊之助。
そしてそれは最後、大事な友の命を守ることにもつながりました。
普段の「負けず嫌いキャラ」とのギャップが大きい伊之助の「ほわほわシーン」は、彼の心の成長にも影響を与えた貴重なシーンだったのですね。
関連記事