【嘴平伊之助と栗花落カナヲ】童磨戦の後の二人の様子について

嘴平伊之助(はしびら いのすけ)

蟲柱・胡蝶しのぶの緻密な計画の元、無限城において上弦の弐・童磨を共闘して討伐した伊之助とカナヲ。

今回は小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣に描かれた討伐後の二人の様子をご紹介していきたいと思います。

【嘴平伊之助と栗花落カナヲ】童磨戦の後の二人の様子について

討伐直後の様子

©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第19巻 第164話

「伊之助。肩、つかまって」

カナヲが伊之助の体の下に自分の体を入れ、その場に立たせる。

筋肉質でがっちりとした伊之助の体は想像していたよりもずっと重く、自身も負傷しているカナヲはぐらりとよろけた。

両足に力を入れなんとか踏みとどまる。

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣

上弦の弐・童磨との戦闘で、伊之助もカナヲもかなりの負傷を負っていましたが、体の負傷以上に精神的に打ちのめされていました

伊之助は自分は実母の琴葉には捨てられたと思っており、育ててくれた猪を母親のように思っていました。

しかし、琴葉は実は伊之助の命を童磨から守るために殺されたことを童磨の口から明かされ、衝撃を受けます。

そして、カナヲは戦いに入る前に、家族同然に育ててくれたしのぶの悲しくも緻密な計画を事前に知らされてはいました。

しかし、目の前で大切な家族が鬼に吸収され殺されていくという残酷な状況を受け止められません。

二人は生きて童磨を倒せたものの、伊之助は母を、カナヲは姉を感じていた存在のしのぶという大きな犠牲を払ったことに打ちのめされています。

伊之助にとってのしのぶの存在

©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第18話 第159話

「初めて会った時に、しのぶと前にどこかで会ったことがあると思ったんだ」

でも、違った、と伊之助が言う。

「しのぶは……母ちゃんに似てたんだ」

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣

戦闘で傷ついて帰ってくる伊之助に、いつもしのぶは優しく寄り添い、そして傷に触れないことを約束する時に伊之助と指切りげんまんをしました。

”指切りげんまん”、これが伊之助がしのぶに昔会ったことがあるような不思議な感覚を感じさせるのには理由がありました。

©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第18巻 第160話

ゆびきり げんまん 

お守りしましょう 約束しましょう

あなたが大きくなるまでは 母さんひとりで守りましょう

©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第18巻 第160話

琴葉が幼い伊之助の子守歌で歌っていた歌の歌詞。

しのぶに感じていた懐かしいような感覚は、伊之助の覚えていた微かな幼き日の母・琴葉との記憶だったのです。

※伊之助の過去や琴葉についてはこちらの記事にまとめておりますので、参照ください。

伊之助は、琴葉の思いを知り、さらに家族のような優しい目線で接してくれたしのぶを失い、失意のどん底で、無防備に泣きじゃくっていました。

カナヲのしのぶに対する願い

©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第19巻 第162話

しのぶから事前に、自分の命を懸けた緻密な計画を聞いていたカナヲ。

自分も藤の花の毒をと志願するも、しのぶに今からでは間に合わないと言われ、自分が毒で鬼を弱らせるから、カナヲが頸を斬ってととどめを刺すことを委ねられました。

さらに、優しいしのぶは、自分の命を失うことは厭わず、カナヲの最後の施策である技での目へのダメージを心配します。

家族のようにいつも温かい眼差しで気遣ってくれたしのぶ。

カナヲはこの戦闘が終わって、また再び一緒に蝶屋敷へ、家族同然の皆のいる場所へしのぶと帰りたかったと願っていました。

カナヲ達蝶屋敷の家族たちは元より、鬼に襲われる人を断絶するために自らの命を懸ける覚悟のしのぶ、伊之助の命を守るために亡くなった琴葉とも共通しています。

涙でぼろぼろの二人

ポロポロポロポロ、涙があとからあとからこぼれてくる。

「泣くんじゃねえよ」

「伊之助こそ、泣かないでよ」

そう言うと、意地っ張りの少年は、

「俺は泣いてねえ!!」と怒ったように言い返してきた。

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣

カナエが亡くなった時には泣くことができなかったカナヲ。

カナヲは、泣くと蹴とばされたり、当たり所が悪い兄弟は翌日冷たくなっているような過酷な家庭環境で幼少期を過ごしています。

そして、親に売られた時に、そこから救い出してくれたのが、カナエとしのぶの姉妹でした。

泣かないように努めていたから、カナエの時は泣くことができなかったカナヲが、しのぶの死を受け止め、涙を流せるようになったのもまた胡蝶姉妹の存在があったからでした。

伊之助は、無限列車で炎柱・煉獄杏寿郎を亡くした時も強がっていました

伊之助は、悲しみに打ちひしがれる炭治郎や善逸を奮起させようと泣くんじゃねえと叫んでいましたが、情に厚いが故、猪頭から溢れるほど泣いていました。

その時も、仲間が悲しみに飲み込まれていかないよう、必死に泣いてないと言い張っていました。

幼い頃から、実母がおらず、悲しみに飲み込まれそうになった時もそうやって自分を奮起させ、何とかやってこれた経験があるからなのかもしれませんね。

生前のしのぶを思い出し奮起する二人

挙句、巻いたばかりの包帯をむしり取ろうとしたので、慌てて止めた。

「取っちゃ、ダメよ!せっかく縫った傷口が、開いちゃうでしょう?」

「こんなもんしてたら感覚が鈍んだよ!」

「しのぶ姉さんも言ってたでしょう?傷口は清潔にしなきゃダメだって―」

しのぶの名を出され、伊之助がひるむ。

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第18巻 第159話

優しく手当をしてくれたしのぶの言葉を思い出し、包帯を取ることを諦める伊之助

すると、伊之助はカナヲに髪飾りを付けるように促しました。

「アレだよ。アレ。ホラ、髪飾り」

「あ……」

ようやく自分がバラバラの髪でいることに気づいた。

二人の姉の髪飾りは隊服の胸元にしまっている。

「最後の鬼狩りだ。お前の家族も連れていってやれ」

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣

伊之助に言われ、蝶屋敷での思い出や、待っている皆の顔を思い浮かべました。

カナヲは命をかけて守りたかったしのぶを思い、さらに今も皆の無事を祈り、待っていてくれる蝶屋敷の皆の元に、しのぶとカナエの髪飾りだけでも持ち帰ろうと心に誓いました

(必ず……)

カナヲは唇をぎゅっとかみしめ、かつてカナエがそうしてくれたように髪を結った。

そこに、姉の形見をつける。

(姉さん、見ててね)必ず、鬼舞辻無惨を倒すから。

こんな悲しい想いをもう誰にもさせないようにするから。

(どうか、そこで見守っていて)

「必ずブッ倒して、アイツらのとこに帰んぞ」

©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣

このお話の前半で髪飾りをただの物じゃないかと言っていた伊之助が、その髪飾りはしのぶの姉・カナエの形見で、家族の証であることを知ります。

※前半のお話に関しては是非、©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣にてお楽しみください。

二人は自然と泣き止み、無事を待っていてくれる皆や仲間のことに思いを馳せました。

そして、しのぶや他の仲間が命を懸けて願っていた鬼のいない世界の為に奮起し、どちらともなく戦闘へと向かい走り出しました

しのぶの死や実母の死の真相のショックから、悲しみに押しつぶされそうになっていた二人が、しのぶの言葉や蝶屋敷の皆の顔を思い、前を向く様子に頭が下がる思いがします。

まとめ

今回は小説版「鬼滅の刃」風の道しるべ・花と獣に描かれた討伐後の二人の様子をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。

まとめると

  • 童磨討伐直後は、伊之助もカナヲも体の負傷以上に精神的に打ちのめされていた
  • 伊之助がしのぶに感じていた懐かしいような感覚は、微かに残っていた幼き日の母・琴葉との記憶だった
  • カナヲはこの戦闘が終わったら、再び一緒に蝶屋敷にしのぶと帰りたいと願っていた
  • カナエの時は泣くことができなかったカナヲは、胡蝶姉妹の存在のおかげで、しのぶの死を受け止め、涙を流せるようになった
  • 伊之助は、無限列車で炎柱・煉獄杏寿郎を亡くした時も強がっていたが、それは悲しみに飲み込まれまいとする伊之助なりの気遣いと対処法だった
  • カナヲは蝶屋敷にしのぶとカナエの髪飾りだけでも持ち帰ろうと心に誓っていた
  • 二人は、しのぶや他の仲間が命を懸けて願っていた鬼のいない世界の為に奮起し、どちらともなく戦闘へと向かって行った

カナヲの元に現れた直後、カナヲがあまりにもボロボロになっていて、しのぶに怒られるぞと言った伊之助に見せたカナヲの表情でしのぶの死を悟るシーンが本当に辛いです。

そこから二人でしのぶの死を無駄にしないよう、決死の覚悟で臨んだ童磨戦。

討伐できたものの、凄まじい虚無感と喪失感に打ちのめされてしまった二人でしたが、お互いの存在のおかげで前を向くことができました。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

引き続き鬼滅の刃をお楽しみください。

この記事を書いた人

知れば知るほど魅力ある「鬼滅の刃」が大好きな1児の母です。
 
煉獄杏寿郎推しですが、他のキャラクタ―も魅力いっぱいなので、色々な角度からご紹介していけたら嬉しいです。

嘴平伊之助(はしびら いのすけ)
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