甘露寺蜜璃(かんろじみつり)の刀は実在した?刀の特徴と『恋の呼吸』との関連を詳しく解説

甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

個性的なキャラクターがそろう『鬼滅の刃』では、そのキャラクターたちの扱う日輪刀も個性豊かです。

その中でもひときわ異彩を放つのが、恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)の日輪刀ではないでしょうか。

そして、実はこの刀とそっくりな剣が実在しています。

今回は『恋の呼吸』とも密接に関わる蜜璃の独特な刀について解説いたします。

甘露寺蜜璃(かんろじみつり)の刀の特徴は「極めて薄く柔(やわ)い」

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

この刀は薄くてよく撓(しな)るため、いわば「新体操のリボン」のようなものです(もちろん、リボンほど柔らかいわけではないです、念のため)。

体が柔らかく、しなやかな動きができる蜜璃だからこそ扱える刀だということですね。

それを裏付ける証言を、「武術の専門家が解説している記事」から一部抜粋してご紹介いたします。

武術の専門家・横山氏:これ(甘露寺蜜璃の刀)はインドのWhip swordが近いです。鉄で出来たムチのような剣で、先がしなるので、敵にバーンと当てて攻撃できます。

――甘露寺さんは体が柔らかいのでこのムチのような剣が使えると言われているんですが、実際「ムチの剣」でも体の柔らかさは重要なのですか?

横山氏:重要です。そもそも鉄鞭は生まれつき体が柔らかくないと使いこなすのが難しく、100人がこれを習ったとして、モノにできるのは1人か2人という世界です。

――なぜそんなに体の柔らかさが必要なのでしょうか?

横山氏:体が柔らかくないと、ムチが思うように動いてくれないからです。鉄鞭は体の動きに合わせてムチを振るうように動かすのですが、固いとその操作ができないんですね。

出典『鬼滅の刃』日輪刀について武術の専門家に聞いたら最強武器が意外すぎた

蜜璃の刀に似た「実在するインドの武器」とは?

『Whip sword(鉄鞭)』の基となった武器は古代インド発祥

実物の写真を探そうと、武術の専門家のお話に出てきた「Whip sword」で検索をかけてみましたら、他の漫画やゲームの中ですでに登場している武器のようで、「Whip swordを実際に作ってみた」的な画像がたくさんかかってきました。

いや、そういう「実物」が見たかったわけではないんですけどね・・・・・・

そしてもう少し探してみましたところ、「Urumi(ウルミ)」という武器に行き当たりました。

蜜璃の刀と古代インドの武器『ウルミ(Urumi)』との類似点

こちらのページ『世界で最も致命的な剣の魅力的な物語』で詳しく紹介されていますが、自動翻訳された文章のようで、タイトルも含めてヘンテコな日本語のため、ここでも一部抜粋して、更に蜜璃の刀の特徴と重なるところに画像を入れて紹介いたします。

急速に巻き上がって回転する危険な武器

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

ウルミは紀元前300年の古代インドの時代から使用されていた柔軟な鞭(むち)のような剣で、最も殺傷力の高い剣と考えられています。「鞭」と「刀」の両方の特性を持ち、攻撃する側とされる側、双方にとって非常に危険な武器のため、扱うには超人的な身体能力を必要とし、習得には12年もかかると言われています。

出典:世界で最も致命的な剣の魅力的な物語

自分を傷付けない技術が必要

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

ウルミの扱いを学ぶときは、まず一枚の布を使って練習し、次にココナッツファイバー、そしてスチールへとステップアップしていきます。ウルミの複雑な回転と制御方法を段階的に学んでいくことで、自傷リスクを最小限に抑えます

出典:世界で最も致命的な剣の魅力的な物語

一度に広範囲への攻撃が可能

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

剣にはバリエーション(複数の刃が付いていたり)がありますが、通常ウルミの刃の長さは1.2〜1.7m、刃幅は約2.5cm。中には「3m~5mもの長い剣を扱う人もいた」という説もあります。肩の上で弧を描いて振り回すことで、連続的な斬撃動作を生成します

出典:世界で最も致命的な剣の魅力的な物語

蜜璃の刀と『ウルミ』の大きく違う点は2つ

片刃と両刃

蜜璃の刀は「片刃」、ウルミは「諸刃(もろは=両刃)」です。

ちなみに鬼殺隊で諸刃の刀を使う剣士といえば、蛇柱・伊黒小芭内(いぐろおばない)ですね。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第16巻

収納(持ち運び)方法

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第13巻

蜜璃は刀を鞘(さや)に収めていますが、ウルミは刃のところを腰に巻いて持ち運びます。

では、蜜璃はあの長く柔い刃をどうやって鞘に収めているのかと言いますと、

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

なお、「毒じゃがいも」についても調べてみましたが、これは蜜璃にしかわからない謎の呪文のようです。

『ウルミ』は今は武器としては使われていない

紀元前から長い歴史のあるウルミですが、実際に武器として使用されていたのは200年ほど前までで、それ以降はもっぱらデモンストレーション用としてのみ使われているようです。

つまり、『鬼滅の刃』の時代(大正時代)には、もうウルミは武器として使われていなかったことになりますね。

まあそもそも、大正時代に刀を持って歩くこと自体、普通ではなかったわけですけれど。

『恋の呼吸』と刀の形の関連性

『恋の呼吸』誕生のきっかけとなったのは師匠・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)

©平野稜二/©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃『外伝』

煉獄の継子だった蜜璃

『恋の呼吸』は『炎の呼吸』に近いものとされていますが、それは蜜璃が鬼殺隊に入る前から煉獄杏寿郎の下で修行し、鬼殺隊に入ってからも継子として面倒を見てもらっていたため、少なからず影響を受けていたからと考えられます。

甘露寺が鬼殺隊に入った時点では、まだ俺は『柱』ではなかったが、その後すぐに十二鬼月(下弦の弐)を倒し、父に代わって炎柱となっている。そして甘露寺も晴れて俺の「継子」となったわけだ。

柱と継子は必ずしも同じ呼吸を使っているわけではありませんが、蜜璃は煉獄から炎の呼吸を習っていたようです。

しかし、うまく使いこなすことができず、自分は鬼殺隊の剣士に向いていないのではないかと悩むこともありました。

煉獄の助言で必死に考えた『自分に合った呼吸』

©平野稜二/©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃『外伝』

スポーツでも、腕力があると腕の力だけに頼ってしまう場合がよくありますが、それと同じですね。

煉獄さんが言っている「刀は全身で振るうもの」というのは、具体的には「体重移動を使え」ということでしょう。

煉獄「切先(きっさき)まで神経を通わせろ。刀も含めて己の体だ」

出典:鬼滅の刃『外伝』

ついに見つけた『自分の呼吸』

©平野稜二/©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃『外伝』

「恋心がなぜ剣士の呼吸につながるんだろう?」と思うかもしれませんが、かつて俺に全集中の呼吸について教えてくれた、真菰(まこも)の言葉を思い出してみてください。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第1巻

蜜璃にとっては「ドキドキする恋心を感じること」が、「全身の血の巡りと心臓の鼓動を早くする方法」で、これが全集中の呼吸につながったんですね。

尚、これは蜜璃が「自分の呼吸を見つけるきっかけになった」ということであり、「ドキドキと恋心を感じなければ全集中の呼吸ができない」というわけではありません。

『恋の呼吸』を使いこなすために必要なもの

体の柔軟性

©平野稜二/©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃『外伝』

蜜璃が『恋の呼吸』を見つけたときの動きです。

「切先まで神経を集中させる」ためには、必ずしも体や腕を真っすぐ伸ばす必要はなく、体の柔軟さを生かした動きでも十分可能なんですね。

そして蜜璃にとっては、むしろそのバネのような柔軟性を使うことで、より大きな力を発揮できることに気づいたのです。

柔軟な動きに沿う形の刀

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

蜜璃の『恋の呼吸』が生み出すしなやかな体の動きに合わせ、その力を存分に発揮させることができるのが、この長く柔い刀なのです。

『恋の呼吸』を見つけたときより、更に柔らかく生き生きとした動きになっているのは、この刀のおかげもあるでしょう。

確かに、通常使われている長い真っ直ぐな刀では、蜜璃の動きが制限されてしまいそうですよね。

長い刀に力を行き渡らせるだけの筋力

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

刀が長いということは、その先まで力を行き渡らせる筋力も必要ということになります。

全身を使っても、基礎となる筋力がなければ使いこなすことはできません。

蜜璃はそこも含めて、この長く柔い刀を扱う資質が備わっていたということですね。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

筋肉密度が高いということは、それだけ基礎代謝も高いということになりますので、たくさん食べてエネルギーを補給しなければなりません。

しかし、蜜璃は自分の人並外れた旺盛な食欲と怪力を男性に敬遠され、恥ずかしいと思っていた時期がありました。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第14巻

お館様のこの言葉に救われ、蜜璃は鬼殺隊の中で自分らしさを取り戻していきました。

蜜璃の刀を打った刀鍛冶は誰?

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第13巻

刀鍛冶の里の長(おさ)・鉄珍(てっちん)様

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

「刀鍛冶の里」は、剣士たちの刀を打ってくれている刀鍛冶が住んでいるところです。

そこの『長(おさ)』である鉄珍様は、いちばんのベテラン刀鍛冶。

若い娘が大好きで、故に、若い娘の体や能力に合った刀を作るのを得意としています。

私の刀も鉄珍様の作で、鞘の中で毒を配合する仕組みは、鉄珍様と私だけの秘密なんです。

尚、同じ「変わり種の刀」でも、伊黒さんの刀は自分の息子・願鉄(がんてつ)に打たせています。

長(おさ)らしく厳しい一面も

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

「あの子」とは、炭治郎が鬼殺隊に入ったときから、ずっと炭治郎の刀を担当してくれている刀鍛冶の鋼鐵塚(はがねづか)さんのこと。

炭治郎が遊郭の任務のときに刀を刃こぼれさせてしまい、それが鋼鐵塚さんのご機嫌を損ねてしまったのではと思っていたときに、鉄珍様が言ったセリフです。

刀鍛冶がどれほど剣士のことを思って刀を打ってくれているのかを、このとき炭治郎は初めて知ったのでした。

まとめ

甘露寺蜜璃が物語の中で初めて活躍するのは、この鉄珍様たちのいる刀鍛冶の里が上弦の鬼2体(上弦の『肆(し)』と『伍』)の襲撃を受けたときです。

自分の居場所を作ってくれた鬼殺隊、そして鬼殺隊士のための日輪刀を作ってもらっている大事な場所『刀鍛冶の里』、彼らを守るために柱として命がけで戦い、皆の力で上弦の鬼を倒しました。

鉄珍様が自分の技術と思いを詰め込んだ唯一無二の蜜璃の日輪刀は、彼女の身体能力と身体的特徴を最大限に生かせる傑作品と言えるでしょうね。

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