この記事では、我妻善逸の「恋のライバル」、そして「剣士としてのライバル」を検証します。
善逸は、主人公の竈門炭治郎と鬼殺隊同期で、雷の呼吸を使う剣士ですが、「眠っているときにだけ覚醒する」という変な子です。
しかし、ひとたび覚醒したなら、その実力は、十二鬼月の下弦の壱・魘夢(えんむ)からも「あいつも(動きが)速かった」と認められたほど。
一方で、女性に対してはめっぽう弱く、たくさんの女の子から騙されて痛い目に遭ってきた、という過去も持っています。
そんな善逸にとっての「ライバル」とは、一体誰だったのでしょうか。
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我妻善逸のライバル候補3人
ここでは、善逸のライバル候補として、この3人を挙げたいと思います。
- 嘴平伊之助
- 風柱・不死川実弥
- 兄弟子・獪岳
それぞれ、善逸にとってはどんな存在だったのか、順番に見ていきましょう。
我妻善逸の「恋のライバル」
善逸の恋のライバルとなりますと、「禰豆子を巡ってのライバル」ということになりますね。
「善逸以外で、禰豆子に熱を上げていたキャラなんていたっけ?」などと言わず、お付き合いください。
嘴平伊之助
善逸は、同期の炭治郎と伊之助と3人で行動を共にしていることが多いです。
禰豆子の兄である炭治郎はライバルにはなり得ませんので、警戒すべき相手は必然的に伊之助ということになりますね。
しかし、作中で伊之助が禰豆子にそういう気持ちがあることは微塵も描かれておらず、実際、本当にそのような感情はなかったと思われます。
ですので、おそらく善逸もそんな心配はしていなかったでしょう、途中までは。
善逸と禰豆子、これが初めての会話だったのに・・・
これは禰豆子が『刀鍛冶の里編』で太陽を克服し、言葉も話せるようになった後に、善逸と初めて顔を合わせた場面です。
口の竹も外し、しゃべっている禰豆子の可愛さに驚き喜ぶ善逸。
しかし、禰豆子が次に発した言葉を聞いて、その喜びはゼロ、いや、マイナスになります。
実は、言葉を話すようになった禰豆子とは、善逸より伊之助が先に対面していました。
そのときに伊之助から繰り返し名前を覚えさせられたため、その名前が出てきてしまったのです。
もちろん禰豆子に他意はなく、どちらの方が好きとか、そういうことは全く関係ありませんでした。
しかし、自分ではなく他の男、それもよりによって(?)自分にいちばん近い仲間「伊之助」の名前だったことで、天国から地獄へ叩き落とされたような感覚に見舞われた善逸。
「名前ぐらいでそんな・・・」と思いますが、善逸にとっては、笑って許せるような事態ではなかったのでしょう。
母性本能をくすぐるタイプの伊之助
女性から見て、炭治郎・善逸・伊之助の3人の中で、いちばん母性本能をくすぐられるタイプなのは伊之助ではないでしょうか。
美少年だからとか、そういうことではなく、ふとした仕草や言葉、そういうところから自然と感じるものです。
そしてこれは本人が意識してどうこうなるものではないので、残念ながら善逸がどんなに知恵を絞り出して対抗しようとも無駄。
しかし、禰豆子を取られたくない善逸は、そんな論理的な判断はできなかったようです。
伊之助は無邪気に甘える
これは、鬼を滅殺し、平和な世の中なってからみんなで竈門家に帰って来た直後の場面です。
柱の傷が「家族の身長を測ったもの」だということを炭治郎に教えてもらった伊之助が、自分も測ってほしいとワガママを言っているところです。
伊之助に下心は全くなく、単純に「発想がお子様」なだけなのですが、善逸は禰豆子に優しくしてもらっている伊之助が気に入らない様子。
伊之助は無邪気に禰豆子を守っている
こちらは「平和な世になった一年後」という設定で、ファンブックに描かれていた場面です。
相変わらず伊之助は禰豆子になついており、禰豆子も変わらず優しく接しています。
尚、この場面を語っているのは炭治郎で、二人の様子を「お母さんと子供みたい」だと言っていますね。
そのことに対し、善逸の心の中は嫉妬の嵐でした。
無邪気に甘える伊之助とは対照的に、下心見え見えで甘えようとする善逸、炭治郎が注意したくなったのは当然ですね。
風柱・不死川実弥
実は善逸の「恋のライバル」として危なかったのは、伊之助よりも不死川実弥の方です。
これは最終決戦後のことで、最後の柱合会議に参加するために産屋敷邸に来た不死川実弥が、そのついでに蝶屋敷を訪れていた場面です。
かつては本気で鬼の禰豆子を殺そうとしていた実弥でしたが、禰豆子が人間に戻り、元気に生きていてくれることを心から嬉しく思っているのが伝わってきますね。
このときの実弥は、禰豆子と弟の玄弥の姿を重ねていましたので、禰豆子を見る目は「妹」に対するようなものだったと思います。
しかし、禰豆子の方はドキドキしていますので、これは穏やかではありません、善逸がここで「はぁー!?」となるのはわかります。
ただ、もしももしも実弥の方に「その気」があったとしたら、残念ながら善逸に勝ち目はなかったかも???
それでも最後には成就した善逸の恋
禰豆子に対する善逸の恋は、善逸の一方的なものだと思われましたが、奇跡的に(?)最後には「結婚」までたどり着き、子孫も残しています。
それは「禰豆子が善逸の気持ちに応えた」という形ではあったようですが、実は禰豆子の方も、鬼時代から無意識に善逸に対して良い感情を持っていて、それがこの場面からだったことがファンブックで明かされています。
そういえばここは、それまでギャアギャアうるさくて弱虫なキャラだと思っていた善逸(間違いではないけれど)が、一気に「何だ、コイツこんなに優しくていいヤツだったのか」と、急にファンを増やすことになった場面でもありましたね。
二人がどうやって結婚までたどり着いたかにつきましては、こちらの記事で詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
我妻善逸の「剣士としてのライバル」
炭治郎と伊之助はライバルではない
善逸の剣士としての実力は、おそらく同期の炭治郎や伊之助と同じぐらいだったと思われます。
というのも、鬼殺隊での最後の階級は、3人とも同じ「丙(ひのえ)」。
誰かが抜きん出ていたわけではなかった、ということですよね。
「丙」は、「甲(きのえ)」「乙(きのと)」に継ぐ上から3番目の階級です。
また、鬼殺隊同士で戦うことはなく、お互いに「敵」になることも競うこともないため「100%仲間」で、お互いに切磋琢磨していても、剣士として「ライバル」というのはちょっと違うような気がします。
でも鼓の屋敷で伊之助が俺の肋骨を折ったことは、いくら仲間でもまだ許してないからな。
ちなみに、彼らと同期の栗花落カナヲと不死川玄弥の最後の階級は、3人よりもひとつ下の「丁(ひのと)」でした。
兄弟子・獪岳(かいがく)
善逸には「獪岳」という兄弟子がいます。
師匠の桑島慈悟郎が「雷の呼吸の継承者」として認めていたのは、その獪岳と善逸の二人だけ。
しかし、獪岳は弱虫の善逸と自分が同等に扱われていることを不満に思っており、善逸も自分を責め立てる獪岳のことを嫌っていました。
それでも、ひたむきに努力していた獪岳のことを剣士としては尊敬していて、獪岳のことを悪く言っていた隊員たちに対し、自分よりも階級が上の人だったにもかかわらず、善逸が殴りかかっていったほどでした。
二人が戦うことになった理由
尊敬していた兄弟子の獪岳は、鬼になってしまっていたのです。
善逸のこの表情は、鬼に成り下がった獪岳に対する軽蔑もあったと思いますが、それよりも、「弟子から鬼を出してしまった」という責任を取り、師匠の桑島慈悟郎が介錯も付けずに割腹自殺をしてしまったことに対する怒りからきたものでした。
戦いの結末
雷の呼吸は「陸ノ型」までしかありませんでした。
しかし、基本の「壱ノ型」を極めた善逸は、自分だけの「漆ノ型」を編み出し、兄弟子・獪岳との戦いに勝利。
ただ、善逸もかなりの重傷を負っていて、愈史郎の手当てがなければ、おそらく快復は難しかったのではないかと思われます。
元々、剣士として実力のあった獪岳は、鬼になったことで更に強さを増していたのは間違いありません。
強い剣士だったから鬼になれた獪岳
無限列車編で、猗窩座が煉獄さんに対してこんなことを言っていましたね。
選ばれた者しか鬼にはなれないというのに。
これはどういう意味かと言いますと、「上弦の鬼が、鬼にスカウトする人材」というのは、「強い鬼になれる素質のある人間」で、煉獄さんにはその資格があった、ということです。
獪岳に関しては、正確に言うとスカウトされたのではなく「自分から命乞いをした」のですが、それを受け入れて鬼になるチャンスを与えてくれたのが『上弦の壱・黒死牟』でした。
弱い人間なら、そんなチャンスさえ与えられなかったでしょう。
しかし獪岳は黒死牟に認められ、それを鬼舞辻無惨も承知し、無惨の血に順応して鬼になったのでした。
強くなくても(禰豆子のように)鬼にされてしまう人がいますが、これは太陽を克服できる鬼を作るために、鬼舞辻無惨が直接血を注入した人です。ただし、無惨の血に順応できなければ死んでしまいます。
更なる強さを求めて鬼になった獪岳でしたが、結局は散々バカにしてきた弟弟子・善逸に倒されるという屈辱の最期を迎えたのです。
獪岳につきましては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
英語の「ライバル(rival)」という単語の意味は「常に対立し合っている宿敵」を指し、「好敵手」という意味は含まれないそうです。
しかし、日本語で使われる「ライバル」の意味は「好敵手」を指すことも多く、翻訳される時は「好敵手」とした方がしっくりくる場合もあるようです。
これは、相手を「単なる敵」として見るだけではなく、お互いを尊敬し、共に高め合っていける、深いところでは通じ合うものがある、というニュアンスを込めた、平和主義な日本人の感覚によるものなのかもしれません。
そして今回挙げたキャラクターたちを検証した結果、恋のライバルも、剣士としてのライバルも、「本当はいなかった」という結論に至りました。
「つまらない結果だ」とがっかりさせてしまったら申し訳ありません。
それでも、常に命がけで仲間と戦い、仲間とともに、時には自分ひとりでも厳しい修行に耐えてきた善逸は、最後まで戦い抜いたのです。
それは、序盤で禰豆子(の入っている箱)を、自分の意志で守り抜いた姿とどこか重なるような気がします。
そんな善逸を、禰豆子は理屈ではなく本能で選んでくれたんですね。
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