刀鍛冶の里編で登場『縁壱零式』を徹底解説!入っていた刀は誰のもの?

継国縁壱(つぎくに よりいち)

刀鍛冶の里は、その名のとおり「刀鍛冶」たちが住んでいる里。

そしてそこには、鬼殺隊士の訓練用として使われてきた絡繰(からくり)人形があります。

その名も『縁壱零式(よりいち・ぜろしき)』

今回は、この『縁壱零式』について、詳しく解説いたします。

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刀鍛冶の里にある『縁壱零式』とは?

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

『縁壱零式』、それは刀鍛冶の里にある絡繰人形の名前です。

モデルとなった剣士の動きを忠実に再現させたこの絡繰人形は、人間を凌駕(りょうが)する強さを持っていたため、鬼殺隊士たちの戦闘訓練用として使われてきました

その歴史は戦国時代からと古く、重要キャラクターとの繋がりも深い事が作中で明らかにされています。

ただ、モデルとなった人物のことが詳しくわかるのは、刀鍛冶の里編よりも、もっとずっと後。

そこで、ここでは『縁壱零式』をよりわかりやすく解説するため、時系列ではなく、下記の順で紹介していきます。

  • 『縁壱零式』の特徴
  • モデルとなった剣士「継国縁壱」
  • 『縁壱零式』に隠されていた刀

『縁壱零式』の特徴と作られた時期

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

炭治郎の横にいる天狗のお面をかぶった少年は、名前を「小鉄くん」といいます。

最初に『縁壱零式』を作った人の子孫で、メンテの技術を受け継いでいました。

つまり、現代においてこの絡繰人形にいちばん詳しいのは小鉄くんなのです。

では、その小鉄くんのセリフからわかる『縁壱零式』の特徴を紹介いたします。

『縁壱零式』の特徴

鍵を使って訓練開始

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

『縁壱零式』は、首の後ろにある穴に鍵を入れて回すことで、型を変えられる優れもの。

しかし、絡繰人形を使うには持ち主(この時代では小鉄くん)の許可が必要です。

持ち主から鍵を借りられない場合は、たとえどんなに偉い人でも『縁壱零式』を使うことはできません。

実力がない者、および真剣に訓練する気がない者は耐えられない

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

この『縁壱零式』、単なる絡繰人形と侮るなかれ、信じられないぐらい強いのです。

扱うにふさわしい実力が伴っていなければ、命を落としかねません。

そのため、剣士として相当な実績がない者は、おそらく使わせてもらえないはず。

炭治郎は遊郭で上弦の鬼と戦い、見事に倒していますので、『縁壱零式』を使う資格はあると判断してもらえたのかもしれません。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

いや、この小鉄くんのセリフからすると、そうではないような気もします。

自分では気づかなかった欠点を小鉄くんにズバズバ指摘されて、返す言葉もない炭治郎。

鱗滝さんからも厳しいことは言われていましたが、ここまでではなかったですね。

人間の体力や精神力の限界を知らない小鉄くんのしごきにより、炭治郎は一時「三途の川」を渡りかけましたが、それを乗り越え、またひとつ強くなったのでした。

腕が6本あるのはなぜ?

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

この絡繰人形のモデルとなった剣士は、鬼の始祖である鬼舞辻無惨を死の淵に追い詰めた唯一の人物。

その剣士の動きの早さを忠実に再現するためには、腕が6本必要でした。

実際には2本しかない腕で、6本あるかのような動きをしていた剣士はもちろんすごいのですが、「腕を6本にすることで再現を可能にする」と考えた小鉄くんの祖先にも驚かされます。

108種類もの動きが可能

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

この絡繰人形は、剣士の弱点に合わせた訓練ができるよう、手首と指を回して調整することができ、その数なんと108種類

なお、その調整は持ち主(小鉄くん)にしかできないため、持ち主に嫌われると教えてもらえません。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

無一郎も意味のある訓練にするためには、持ち主に敬意を払うべきでした。

刀鍛冶の里での戦いを終えた後の無一郎だったなら、きっとそれが叶っていたでしょう。

壊れてしまうと直せない

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

この絡繰人形は、高い技術を持った昔の職人によって非常に精巧に作られています。

しかし、今の時代にそこまでの技術を持った職人はいないため、もし壊れてしまったら直すことができません。

分析力に長けている小鉄くんは、自分にその能力がないことを知っていて、剣士たちに使ってもらうよりも「壊さないでおくこと」の方が重要と考えていたのです。

「壊れても自分が直す」と決意した小鉄くん

『縁壱零式』が壊されるところを見たくなくて逃げ出した小鉄くんに対し、炭治郎は年上らしく説得します。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

それは炭治郎自身にも重なる状況でした。

「自分は妹の禰豆子を人間に戻すために戦っているけれど、志半ばで命を落とすかもしれない、それでも絶対に誰かがこの思いを繋いでくれる」と。

そんな炭治郎の言葉は小鉄くんの心に響き、壊されることを恐れず、炭治郎の訓練に力を貸すことにしたのでした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

壊れることを恐れるあまり、剣士の訓練に使わせないのは「宝の持ち腐れ」で、この絡繰人形を作った祖先にも失礼なことだと考え直した小鉄くん。

大事なのは、縁壱零式を壊さずに維持し続けることではなく、剣士の訓練相手としての役目を立派に果たしてもらうことだと気づいたのでした。

作られたのは戦国時代?

『縁壱零式』は戦国時代に実在した剣士・継国縁壱をモデルとして作られています。

ということは、この絡繰人形を作った人は、継国縁壱の動きを実際に見ていたに違いありません。

また、小鉄くんも父親から「実在した剣士は戦国の世の人だった」と聞いていました。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

つまり、『縁壱零式』が作られたのは、モデルとなった継国縁壱が生きていた戦国時代ということになりますね。

継国縁壱が戦国時代の人だと断定するもう一つの根拠

縁壱が戦国時代の人であることは、兄・黒死牟のセリフからも判明しています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第20巻

このとき黒死牟の視線の先にいたのは、弟の継国縁壱でした。

黒死牟がこのセリフを言っているのは大正時代(『鬼滅の刃』は大正時代の物語)であり、今から100年程前のこと。

そしてそこから更に400年前のこととなると、今から見て500年程前の出来事だということになりますね。

「戦国時代」が具体的に何年から何年までを指すのかは、いろいろな説があるようですが、ざっくり「西暦1500年の少し前~1600年頃まで」と考えられています。

そして今から500年前は1500年代の前半となり、戦国時代に当てはまるのです。

『縁壱零式』のモデルとなった剣士・継国縁壱

鬼舞辻無惨が唯一恐れた剣士

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

鬼の始祖・鬼舞辻無惨を死の淵にまで追い詰めた唯一の剣士、それが継国縁壱です。

遊郭編で、上弦の陸・堕姫が無惨の細胞を通してこの縁壱を見ていましたが、大正時代になっても「縁壱の脅威は無惨の記憶に深く刻まれたままだった」ということがよくわかるシーンでしたね。

兄は『上弦の壱・黒死牟』

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第20巻

継国縁壱は双子で、「巌勝(みちかつ)」という兄がいました。

武士の家系に生まれた二人は、双子でありながら「長男と次男」という立場の違いから、着るもの・教育・食事にいたるまで差をつけられて育ちます。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第20巻

ところが、哀れだと思っていた弟の縁壱に天才的な剣の才能があることがわかり、それまで修行に励んできた兄の巌勝は弟に嫉妬

それでも、縁壱の失踪により、巌勝は平穏な日々を取り戻すことになります。

しかし、大人になって鬼に襲われたところを弟に助けられたことで、また状況は一変。

子供の頃とは比べものにならないその剣技を見せつけられた兄は、自身も負けまいと鬼狩りの道へ進みます。

それでもどうしても弟には追いつけず、口惜しい思いをしていたところを鬼舞辻無惨からスカウトされ、鬼に堕ちてしまったのでした。

炭治郎の先祖『炭吉』との交流

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

継国縁壱は、竈門炭治郎の先祖にあたる「炭吉(すみよし)」という人物と交流がありました。

炭吉と妻・すや子が鬼に襲われていたところを助けた縁で、時々、炭吉たちのところを訪れていたのです。

過去に妻を鬼に殺され、その後に鬼狩りとなっていた縁壱は、その剣の腕でたくさんの人を救ってきました。

しかし、兄が鬼になったことと、鬼舞辻無惨と遭遇しながらとどめを刺せなかったことを他の鬼殺隊士たちに咎められ、鬼殺隊を追われてしまいます。

そんなときに出会ったのが炭吉たちでした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第22巻

炭吉やその家族との温かい交流は、孤独だった縁壱にとって、とても救いになっていたようです。

しかしある日、子供の頃からずっとつけていた耳飾りを炭吉に託すと、そのまま姿を消してしまったのでした。

80歳を過ぎてから兄と再会

それから60年余り過ぎた頃、縁壱は鬼になった兄(黒死牟)と再会します。

人間の縁壱は既に80歳を超えており、黒死牟は「この老いぼれた弟になら勝てる」と思ったようでした。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第20巻

ところが、ひとたび剣を握ると、若かりし頃と変わらぬ動きで圧倒し、黒死牟は次の一手で頸を落とされることを覚悟します。

しかし、その前に縁壱は寿命が尽き、立ったまま絶命していたのでした。

『縁壱零式』は見た目も本人そっくり

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

『縁壱零式』は、実在した「継国縁壱」という剣士に似せて作られています。

それは動きだけではなく、顔もそっくりでした。

炭治郎は、自分の先祖・炭吉の記憶の中にある剣士を夢で見ていて、刀鍛冶の里で見た『縁壱零式』と顔がそっくりだったたため、「この顔を知っている」と感じています。

『縁壱零式』に隠されていた刀

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

刀鍛冶の里に来た直後、炭治郎は恋柱・甘露寺蜜璃から「秘密の武器」の存在を聞かされています。

ただ、蜜璃も「あるらしい」という噂を聞いただけで、実際に何なのかは知りませんでした。

小鉄くんも知らなかった絡繰人形の秘密

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

小鉄くんの猛烈な修行に耐えた炭治郎は、ついに『縁壱零式』を打ち負かします。

すると崩れた本体から古い刀が出現、これには炭治郎だけではなく、持ち主の小鉄くんもびっくり。

そして小鉄くんは炭治郎に、次の刀はこれを使えばいいと言ってくれたのです。

縁壱が使っていた刀だと思われる根拠

「滅」という文字が刻まれている

この刀には「滅」という一文字だけが刻まれているのですが、縁壱が使っていた刀にもこの文字が刻まれていたことが、原作コミック20巻の表紙からわかっています。

そしておそらく、この「滅」が刻まれていたのは縁壱の刀だけだったと思われます

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第15巻

鬼殺の剣士の刀すべてに「滅」という文字が刻まれていたわけではなく、この刀を打った刀鍛冶が独自の思いで刻んだのだと、鋼鐵塚さんは言っているのです。

なお、この刀が打たれた時代のあとに鬼殺隊の階級制度が始まり、柱の刀にのみ「悪鬼滅殺」の4文字が刻まれることになりました。

縁壱さんのいた時代に、すでに柱もいましたけどね。ただ「悪鬼滅殺」の文字はまだ刻まれていなかったかもしれません。

鍔の形状が違うけれど・・・

ひとつだけ気になる点を挙げるとすれば、鍔の形状が違うことです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

絡繰人形の中に入っていた刀の鍔は、このように円形でした。

しかし、縁壱が実際に使っていた刀の鍔は、『縁壱零式』に握らせていた刀の鍔と同じ形状をしています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第12巻

ただ、鍔は付け替えることができるものです。

鍔の形状が縁壱のものと違うからといって、刀も違うということにはなりません。

また、この『縁壱零式』を見る限り、本物の縁壱に似せるための「こだわりの強さ」は相当なものです。

そんなこだわりの絡繰人形の中に、縁壱以外の者の刀を入れていたとは考えにくく、やはりここは素直に「縁壱が実際に使っていた刀」と考えるのが自然でしょう。

まとめ

鬼滅の刃で「縁壱」という名前が初めて出てくるのは、刀鍛冶の里編で小鉄くんが発する「あれが俺の祖先が作った戦闘用絡繰人形『縁壱零式』です」と言う場面でした。

あの鬼舞辻無惨にとって未だ脅威である縁壱のすごさは、まず刀鍛冶の里編での『縁壱零式』で感じることができるかもしれません。

そしてその『縁壱零式』により、炭治郎と小鉄くんの二人は、一回り大きく成長を遂げることになるのです。

小鉄くんと炭治郎の先祖・炭吉については、それぞれ以下の記事で紹介していますので、是非ご覧ください。

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