鬼の始祖・鬼舞辻無惨を討伐し、鬼のいない世界になった後、蝶屋敷の桜の木の下で話す竈門炭治郎と栗花落カナヲ。
カナヲは、会話の中で、風柱の不死川実弥から、亡くなった蛇柱・伊黒小芭内と共に戦っていた蛇の鏑丸をもらったと話しました。
なぜ不死川実弥はカナヲに鏑丸を託したのでしょうか。
今回は、風柱・不死川実弥が小芭内の相棒である鏑丸を栗花落カナヲに託した理由について、考察していきたいと思います。
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不死川実弥が鏑丸をカナヲに託した理由
実弥が鏑丸をカナヲに託した理由を考える時、作中では特別な接点が見つからない実弥とカナヲと鏑丸。
無惨討伐の為に必死に戦ったという共通点はありますが、この3者がどのように繋がり、それを実弥がどのように解釈し、繋げていったのかを紐解いていきたいと思います。
カナヲの視力のサポートをするため
不死川実弥が鏑丸をカナヲに託した理由の一つとして、「カナヲの視力をサポートするためだった」事が考えられます。
では、まずはじめに、
- 鏑丸が伊黒小芭内に対して担ってきた役割
- カナヲの目の状態
この点について解説します。
鏑丸が元の相方・伊黒小芭内に対して担ってきた役割
ほとんど見えない右目を庇うかのように、幼少期から共にいる白蛇の鏑丸。
最終決戦でも見事な連携を見せた。
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐
鏑丸は、伊黒小芭内の右目役として、幼少期から一緒に暮らしてきた仲間でした。
蛇柱・伊黒小芭内が自分たちの一族を養っていた蛇鬼に座敷牢に閉じ込められていた頃、その座敷牢に鏑丸が迷い込んできて以来、ずっと小芭内に寄り添って行動を共にしてきました。
元々、小芭内の眼は、右目は金色・左目は深緑色のオッドアイで、右目は弱視でほとんど見えなかったそうです。
無惨との最終決戦でも、両目を傷つけられた小芭内は、愈史郎の血鬼術・紙眼(しがん)により、鏑丸と視覚を共有し戦いました。
鏑丸は長年、小芭内の右目役を担っており、その能力は、鬼と共闘できるほどのレベルまで磨き上げられていたと言えますね!
カナヲの眼の状態
無惨討伐に安堵する鬼殺隊一同の前で、炭治郎が鬼化するという最悪の事態が起きてしまいます。
カナヲは鬼になった炭治郎を救う為、自分の視力を失う危険を顧みず、花の呼吸・終ノ型・彼岸朱眼を繰り出し、しのぶから預かった鬼を人間に戻す薬を炭治郎に打ちました。
先に戦った上弦の弐・童磨戦で、終ノ型・彼岸朱眼を使ったカナヲは童磨の討伐に成功するも、右目の視力を失っていました。
無惨を討伐し、鬼のいない世界になり、蝶屋敷の桜の木の下で穏やかに話す、カナヲと炭治郎。
カナヲの眼や体を気遣う炭治郎にカナヲは失明したのではなく、(右目はほとんど見えないが左目は)全く見えないわけではないと話しました。
※ちなみに炭治郎も右目の視力を失っていますが、元々並外れた嗅覚を持っており、匂いから相手が次に狙ってくる場所を瞬時に把握する動作予知能力も会得しています。
しのぶに彼岸朱眼を使うと失明する危険性があることを心配されていたカナヲでしたが、失明は免れたものの、右目の視力を失っており、炭治郎も心配する状態でした。
実弥は、鏑丸が小芭内の元で担っていた、人間の視力のサポートができる能力が、戦いで右目の視力を失ったカナヲの傍で生かされると考えたのでしょう。
お互いに心身ともに支え合う新しい相棒となるため
次に、カナヲも鏑丸も大切な存在を失っており、ある意味天涯孤独のような、想像を絶する悲しみを抱えている共通点を持っております。
この問題についても、きっと優しい実弥は考慮していたと考えられます。
カナヲは、家族同然の胡蝶カナヲ・しのぶ姉妹を上弦の弐・童磨に殺されました。
しのぶに至っては、事前に聞いていたとはいえ、目の前でしのぶが童磨の体に吸収されていく様を為す術もなく見届けるというとても過酷な状況です。
鏑丸も長い時間、常時行動を共にしてきた小芭内を共闘した末、壮絶な戦いによって失ってしまいました。
言葉の達者ではないカナヲと言葉の話せない鏑丸ですが、大切な家族を失うという同じ強い悲しみに襲われており、お互いに、話さずとも寄り添い合える心の支えを必要としていました。
実弥は、カナヲにとっても鏑丸にとっても、互いに共に過ごしていくことで、失った大きな喪失を補い合い、心身共に支え合うことができると考えたのでしょう。
カナヲであれば鏑丸の能力を生かせると判断したから
実弥と小芭内は共に『気が合う』仲で、柱合会議では、威勢よく炭治郎を挑発する実弥に、小芭内がすぐさま加勢する様子も見られました。
他のメンバーには痛烈なコメントを書く二人(特に義勇に対して)ですが、互いに気が合うと記していました。
また、実弥は母を鬼にされ、小芭内は一族が鬼に支配されるなど、鬼に対する強い敵意は同等なほど持ち合わせていた二人。
無惨討伐を成し遂げることはできましたが、実弥にとって、その引き換えに気の合う友である小芭内を失ったことは辛い現実でもあったことでしょう。
そして、言葉は話せなくとも、長年小芭内と共に過ごしてきた鏑丸も同様です。
元々生き物に優しい一面を持つ実弥は友の大切にしていた鏑丸を預りながら、鏑丸を必要としている、よりふさわしい居場所を探していたのでしょう。
小芭内と同じく視力のサポートを必要とするカナヲの元へ託すことで、親友の忘れ形見の鏑丸が、能力を生かせる居場所がカナヲの元が最適であると判断したと考えられます。
まとめ
不死川実弥が鏑丸をカナヲに託した理由は
- 小芭内の援護をしてきた鏑丸ならカナヲの援護もできると考えた
- 互いに心の支えとなることで悲しみからも立ち直れると考えた
- 親友の忘れ形見の鏑丸の能力を生かす場がカナヲの元だと判断した
最終話の炭治郎・カナヲ・鏑丸と炭治郎とカナヲの鎹鴉たちが笑顔で寄り添う様子を見ると、壮絶な戦いがあったとは考えられないような幸せそうな表情をしていますね。
不器用ながらも本来は誰よりも優しい実弥の心がもたらした、素晴らしく素敵な選択でした。
実弥が鏑丸をカナヲに託した時に想像した未来が現実になっているのではないでしょうか。
実弥の優しさと悲しい現実、そしてそれぞれが悲しみを胸に、その悲しみを乗り越えた先に見えた笑顔、色々な思いが集められたシーンですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続き鬼滅の刃をお楽しみください。
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