猪に育てられ、育手がいないにも関わらず、独学で全集中の呼吸を習得して最終選別を突破することに成功した嘴平伊之助。
他の生き物たちとの力比べが生きがいであり、鬼殺隊に入隊したのもより強い相手を求めたことがきっかけでした。
登場当時は女の子を踏みつけにしたり、無抵抗の善逸に乱暴するなど野性的な面が目立っていましたが、炭治郎たちとの出会いをきっかけに少しずつ人として変わっていきます。
隊士として成長したのはもちろんですが、人間として最も成長したキャラクターでしょう。
そんな伊之助ですが、何がきっかけとなり人として大きく成長することができたのでしょうか?
今回の記事では、伊之助の成長について詳しく解説していこうと思います。
- 伊之助は最初はどんな人物だった?
- 伊之助は何がきっかけで成長した?
- 最終的に伊之助はどんな人物に成長した?
などのことが気になった人は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
登場時の伊之助とは
最終的には人間として大きく成長した伊之助ですが、登場時は野性的という言葉がピッタリな人物でした。
まずは登場時の伊之助はどんな人物だったのか見ていきましょう。
自分より弱い相手にも暴力をふるう
伊之助は他の動物たちとの力比べを生きがいにしています。
野生動物たちと戦うことはもちろん、人間相手に戦いを挑むことも。
鬼殺隊に入る前に、自分の縄張りである山に入ってきた一般隊士を返り討ちにしたということもあり、隊士になる前からかなりの強さがあったことが分かります。
強い相手に戦いを挑むのなら理解できますが、伊之助は自分よりも弱いと感じた相手にも攻撃的でした。
伊之助が禰豆子が入っていた箱を攻撃しようとすると、善逸は自らを犠牲にして箱を伊之助から守るというシーンがあります。
その時に善逸は刀を抜くことはなく、無抵抗の状態でした。
しかしそんな善逸に対して伊之助は攻撃を続け、その結果善逸はあばら骨を2本折るという重傷を負います。
さらに自分よりも小さい女の子を踏み付けにしてもまったく気にしなかったり、人に対して暴力をふるうことに対して何とも思っていませんでした。
「死」の考えが動物的
さらに伊之助は、「死」についての考え方が一般の人とはかなりずれています。
鼓屋敷に潜んでいた鬼に殺された人たちを炭治郎や善逸たちが埋葬しており、伊之助にも埋葬を手伝うようにお願いしましたが、伊之助はそれを断りました。
生き物の死骸なんて埋めて何の意味がある
©吾峠呼世晴/集英社 コミック4巻
やらねぇぜ手伝わねぇぜ!!
そんなことより俺と戦え!!
山育ちだったからなのか、人が亡くなったら埋葬するというのは伊之助にはない価値観だったようで、殺された人たちのことを「死骸」と表現しています。
この言葉を聞いた善逸は価値観の違いに驚いた顔をしていましたが、獣として生きてきた伊之助にとっては埋葬することの意味が理解できず、死に対する考えが動物的でした。
伊之助が成長したきっかけは?
野性的な伊之助でしたが、その後は少しずつ人間として成長していきます。
どんなきっかけがあって伊之助は人として成長していったのでしょうか。
炭治郎や善逸との出会い
一番のきっかけは、炭治郎や善逸との出会いでしょう。
伊之助は山育ちで短い間だけ人と関わる機会があり、そのおかげで言葉を話すことができるようになりましたが、長い間人と共に生活することはありませんでした。
ですが鬼殺隊に入り炭治郎と善逸と出会い、共に任務をこなすために人と生活する時間を過ごすようになります。
その中で人としての価値観や、人とのかかわり方を少しずつ学んでいきます。
特に人の優しさに触れた時に、自分の感情が大きく動くことに気付いたのです。
そのことを伊之助自身は「ほわほわする」と表現していました。
自分の感情が揺さぶられると戦いに集中できなくなると思っていた伊之助は、初めはほわほわした直後に怒っていました。
しかし、次第にほわほわは見られなくなり、自分の感情の変化を受け入れていることが分かります。
煉獄杏寿郎の影響
2つ目は、煉獄杏寿郎の生き様をそばで見たことでしょう。
無限列車で魘夢の攻撃を受けた際に伊之助は煉獄から指示を受け不満をあらわにしていましたが、煉獄の凄さを感じ、指示通りに魘夢を倒すことに成功します。
そしてしばらくすると上弦の猗窩座が現れ、煉獄が立ち向かいます。
伊之助や炭治郎も助太刀しようと思いますが、煉獄から待機するように言われ素直に従いました。
猗窩座との激闘の末、煉獄は重傷を負ってしまいましたが、残された時間で伊之助たちに激励を送ります。
そして煉獄は乗客や伊之助たちを守り切り、亡くなりました。
煉獄が亡くなったことで炭治郎は心が折れそうになりましたが、伊之助は違いました。
なれるかなれねぇかなんてくだらねぇこと言うんじゃねぇ!!
©吾峠呼世晴/集英社 コミック8巻
信じると言われたならそれに応えること以外考えんじゃねぇ!!
鼓屋敷で人が殺された時も、那田蜘蛛山で目の前で隊士たちが殺されても動じなかった伊之助ですが、煉獄の戦いや生き様を傍で見て、大粒の涙を流していました。
人としての強さを煉獄で感じた伊之助は、人は死んだら土に還ってしまうからこそ、生き残った自分たちがその想いを繋げるべきという想いを抱くようになります。
胡蝶しのぶとの交流
煉獄の死を悲しんでいた伊之助でしたが、この時は煉獄を殺した猗窩座に対する怒りというよりかは、自分自身の弱さを悔やんでいるように見えます。
しかし無限城での童磨戦では、胡蝶しのぶが童磨に殺されたことを知り、怒りを露わにしていました。
伊之助はしのぶに「どこかで会ったことがある」と感じていたようです。
伊之助としのぶがどんな関係性であったかは詳しくは書かれていませんが、伊之助はしのぶに叱られることが多く、伊之助が反省するとしのぶは笑って許してくれていました。
そんなしのぶを赤ん坊のころの記憶にある母の姿を重ね、伊之助はしのぶに対しては母のように思っていたのです。
そんなしのぶが殺され、伊之助は悲しむのではなく、童磨に対して強い殺意を抱きました。
伊之助が人を大切に思えるようになったことがはっきりと分かりますね。
炭治郎や善逸の名前を間違えたり、柱のことをあだ名で呼んでいる伊之助ですが、しのぶのことだけは呼び間違えたことがありません。もしかしたら変なあだ名でしのぶのことを呼んで、そのことを叱られたから間違えずに呼べるようになったのかもしれませんね。
伊之助はどんな人物になった?
では人間として成長をしていった伊之助は、どんな人物になったのでしょうか?
伊之助が成長したと感じるシーンを見ていきましょう。
仲間と共闘できるようになる
まず1つは、仲間たちと共闘できるようになったことです。
鼓屋敷編では勝負を楽しみたいという想いが強く、元十二鬼月である響凱がいるというにも関わらず、誰彼構わず勝負を挑んでいました。
しかし那田蜘蛛山編では、文句を言いつつも炭治郎と共闘できるように。
無限列車編では煉獄の指示に従い、魘夢の攻撃から炭治郎を助けるシーンもありましたね。
そして遊郭編では善逸とも共闘し、帯鬼との戦闘では捕まった人たちを庇いながら戦う場面も。
無限城編ではカナヲと協力して童磨を倒し、最終決戦では柱たちの戦いに息を合わせることも可能にしていました!
1人で戦う事しか頭になかった伊之助でしたが、多くの戦いを経験して確実に成長していっているのが分かります。
仲間の死に涙する
はじめは伊之助は、隊士たちが目の前で鬼に殺されても特に何とも感じていませんでした。
ですが、徐々に隊士たちに対して仲間意識が芽生え始めていきます。
最終決戦では他の隊士たちを庇って柱が重傷を負ったり、多くの隊士たちが無惨によって殺されたのを目の前で見てきました。
俺たちを庇って数珠のオッサンの足と半々羽織りの腕が千切れた
©吾峠呼世晴/集英社 コミック23巻
あっちこっちに転がっている死体は一緒に飯を食った仲間だ
返せよ 足も手も命も全部返せ
それができないなら百万回死んで償え!!
炭治郎たちと出会ったばかりの時の伊之助は、「誰かとご飯を食べるともっとご飯が美味しくなる」と言われてもそんなことはないと否定していました。
しかし柱稽古でたくさんの仲間たちと一緒に食事を共にしたことで、あまり話したことない隊士たちであっても仲間であると思うようになっていたのです。
無惨に怒りをぶつける伊之助の瞳からは、大粒の涙があふれていました。
鬼となった炭治郎を殺せない
最も伊之助が変わったと感じたのは、鬼になった炭治郎を斬ることができなかった場面です。
炭治郎、善逸、伊之助は柱稽古の中で、もし誰かが道を踏み外しそうになったら、どんなに苦しくても、正しい道を歩くためにみんなで止めようという話をしていました。
そして最後の戦いで、無惨によって炭治郎は鬼にされてしまいます。
炭治郎は仲間たちのことを覚えておらず、ついに伊之助に襲い掛かりました。
伊之助は柱稽古でした約束を思い出し、炭治郎に人を襲わさないために斬ろうとします。
しかし、自分に優しくしてくれた炭治郎のことを思い出し、斬ることはできませんでした。
おそらく前の伊之助のままだったら炭治郎を斬ることに躊躇することはなかったでしょう。
人としての感情が生まれ育ったばかりの伊之助だからこそ、炭治郎を斬ることができませんでした。
伊之助は人間として大きく成長していますが、まだ大人にはなり切れていない部分が多くありました。それがはっきりと分かる場面であり、すでに成熟していた義勇は真っ先に炭治郎を人として死なせてあげるために、日光で殺そうと動いています。
まとめ
伊之助が成長したきっかけや、成長が分かるシーンについて解説しました。まとめると…
☆成長したきっかけ
・炭治郎や善逸との出会いで、仲間という存在を知っていく
・煉獄の生き様を見て、強さとは何かを学ぶ
・しのぶが殺され、大切な人を殺した鬼に怒りを抱くようになる
☆成長が分かるシーン
・戦いを経験していくうちに、仲間と共闘できるようになる
・共に戦う人を仲間を思えるようになり、仲間の死を悲しむようになった
・仲間を大切に思えるようになったからこそ、初めてできた仲間である炭治郎を殺せなかった
だんだんと仲間意識が芽生えた伊之助が、鬼になった炭治郎を斬れないと思ったシーンは本当に伊之助が人として変わったことが伝わってきました。
刀鍛冶の里では登場しなかった伊之助が、続く柱稽古編のアニメで大きく成長していく姿に注目したいですね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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