鬼の始祖であり、全ての鬼はその血で鬼となる『鬼の起源』でもある鬼舞辻無惨。
生きることへの執念から太陽の光という最大の弱点を克服するため、無惨は鬼を作り続けてきました。
そんな時、炭治郎の家族が無惨に襲われるという悲劇がおこります。
この時なぜ、鬼撫辻無惨は竈門家を襲ったのでしょうか。
今回は、物語の大元である疑問、なぜ竈門家が無惨に襲われたのかについて考察していきたいと思います。
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竈門家が鬼舞辻無惨に襲われた理由
鬼舞辻無惨の生への渇望
人間として生まれ堕ちる際、無惨は心臓が母親のお腹の中で何度も止まり、生まれた際も、呼吸も脈もなかった為、死産とされていました。
荼毘に付される間際に産声を上げましたが、二十歳になる前に死ぬと言われ育ちます。
そんな無惨を何とか生き永らえようと苦心した医者の処方により、強靭な肉体を手に入れます。
しかし、医者の処方した薬が効かないと早合点した無惨は、医者を自ら手にかけてしまい、薬の処方は永遠に闇の中へ…。
生まれつき体が弱く、辛い病状を抱えていた無惨はとにかく生への強い執着と渇望を抱えることとなりました。
無惨最大の弱点
無惨唯一で最大の弱点は、「日の光の下を歩けない」こと。
そこから、無惨の生への渇望が、日の光でも死なない体になりたいという新たな欲望を駆り立てました。
無惨は、昼間に行動が制限されることに対し屈辱と怒りを抱きます。
太陽を克服する薬
”青い彼岸花”という薬の作り方はわからなかった
その薬は実際に青色の彼岸花が使用されているようだったが
その青色の彼岸花がどこに生息しているのかそれとも栽培できるのか
知っていたのは殺した医者のみ
日本中どこを探しても見つからない
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第15巻 第127話
無惨が生涯追い求めていた薬の名は”青い彼岸花”で、その薬を処方し、無惨に懸命に治療をしていた医者を、効果が表れないと殺したのは無惨本人です。
医者を殺してから、その薬の効果がわかりましたが、時すでに遅し、自業自得です。
薬の作り方やその薬には実際に青色の彼岸花が使われていたようですが、どこに生息しているのかさえわからない状態になりました。
不死身の体を追い求めた無惨
無惨は完全な不死身となる為 青い彼岸花と太陽を克服できる体質の者を探すことの二つを最優先としてきた
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第15巻 第127話
無惨は、薬の効果を感じてからはずっと、青い彼岸花の捜索と、太陽を克服できる体質の者を探すことに注力してきました。
上弦の肆・半天狗との戦いの後、鬼となった炭治郎の妹・禰豆子が太陽を克服すると、禰豆子ごと吸収すれば自分も太陽を克服できると狂喜乱舞します。
”よくやった”と半天狗を褒めている無惨の様子は、禰豆子を含む竈門家に元々その素質を感じていたのではなく、偶然の産物として長年の願いが叶ったような反応です。
無惨が鬼を作る理由
無惨が鬼を作る理由
●太陽を克服する体質の人間を探すこと
●上弦の鬼を作ること
特に上弦の鬼は簡単に作れない。
無惨の血の量が多いと殆どの場合細胞が壊れて死ぬ為である。
上弦の鬼が人間を勧誘する時、自身の力を与えるが、上弦の血自体には鬼を増やす効力はなく、無惨に鬼を増やしたい意を送り、無惨が了承すれば鬼になる血に変化する。
勧誘を認められているのは上弦のみ。
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第22巻 第195話 巻末ページ
無惨は、太陽を克服する体質の人間を探すことと、上弦の鬼を作るため、鬼を作り続けてきました。
禰豆子が太陽を克服したことで、無惨の目的は達成されたことになります。
また、禰豆子は無惨の血の量に耐えた鬼という意味で、すでに上弦の鬼同等の存在でもあったということにもなりますね。
禰豆子が無惨に襲われた時の記憶
炭治郎が無惨と戦う中、炭治郎の元へ向かう禰豆子が、無惨が竈門家を襲った際の記憶を取り戻すシーンが描かれております。
無惨の伸び縮みする腕が弟たちや家族を襲い、さらに禰豆子に自分の血を注入しました。
無惨の血の量が多いと、殆どの場合、細胞が壊れて死ぬ為、禰豆子も無惨の血に耐えられず死んだと思っていました。
禰豆子に対し、”太陽を克服する鬼などそうそう作れたものでない”などと捨て台詞を吐いています。
このシーンでわかることは、無惨は竈門家を何か特別な目的があって狙ったのではなく、太陽を克服する鬼を探している中で偶発的に襲ったということです。
恐ろしい冷酷さと身勝手な目的の為に人を惨殺することに何も感じない無惨の様子に、人間でも鬼の心を持った者が身勝手な冷酷さを露わにする時と同じ嫌悪感に襲われます。
炭治郎と初めて遭遇した時の無惨の様子
鎹鴉の指示で浅草に赴いた炭治郎は、家に残っていた匂いと同じ匂いから、人間になりすまし、父親として普通に暮らしている無惨を暴き出しました。
無惨の肩を掴む炭治郎に対し、無惨は人違いだと素知らぬふりをしながら、通りすがりの男性を斬りつけ、鬼にした騒ぎにかこつけて、その場から逃げようとします。
逃げようとする無惨を名指しにし、”絶対にお前を許さない”と叫ぶ炭治郎の姿を見た無惨は、炭治郎の耳飾りに胸騒ぎを覚えていました。
炭治郎に会った無惨の無防備な反応と、耳飾りを炭治郎がしていることへの初見と思える反応から、無惨は炭治郎のことを以前から認識していた可能性は低いと思われます。
無惨が耳飾りに異様な反応をする理由
無惨は一度、ある鬼狩りに斬られた際、肉体が再生せず、斬られた頸も繋がらない負傷を負ったことがありました。
その鬼狩りこそ、始まりの呼吸の剣士であり、日の呼吸の使い手でもある継国縁壱です。
”耳に花札の様な飾りを付けた鬼狩り”、その剣士こそが縁壱でした。
無惨は縁壱に治癒できない傷をつけられ、頸を刎ねられ切り刻まれた恐怖が再燃し、同じ耳飾りをつけた炭治郎に対し、鬼を放ちました。
上弦の壱・黒死牟と共に日の呼吸の型を知る剣士も縁壱の死後、徹底的に殺し尽くしてきた無惨でしたが、炭治郎に脅威を感じた予感は後に的中することになります。
※炭治郎の元に縁壱の耳飾りが渡る経緯や、炭治郎が後に日の呼吸を会得する経緯はぜひ原作コミックにてお楽しみ下さい。
まとめ
今回の内容をまとめると
- 無惨が竈門家を襲ったのは、青い彼岸花の捜索、太陽を克服できる体質の者を探す途中、偶発的に襲った可能性が高い
- 禰豆子に血を注入したのも、太陽を克服する鬼を探す一環で行った、無惨のきまぐれだった可能性が高い
- 浅草で炭治郎に遭遇し耳飾りを見るまで、炭治郎の存在すら認識していなかった
つまり鬼撫辻無惨は狙って竈門家を襲ったのではななく、まったくの偶然で襲ったであろうと考察されます。
年の瀬に家族みんなにお腹いっぱい食べさせたいと炭を売りに行った炭治郎が三郎爺さんに引き留められて、翌日家に戻った時のあの衝撃的なシーン。
それが、無惨の身勝手で自己中心的な理由で為されたなんて、本当にやるせない思いがします。
ここから、鬼にされた禰豆子を人間に戻す為、炭治郎の長い長い鬼殺隊士としての戦いが始まるのでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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