十二鬼月で最も強い鬼である上弦の壱を座を誰にも渡したことがない、最強の鬼である黒死牟。
鬼になる前は鬼殺隊の剣士でしたが、無惨からの鬼になるように誘われ、鬼となりました。
黒死牟の双子の弟である縁壱は、人間でありながらも圧倒的な力を持っており、黒死牟は縁壱よりも強くなりたいという想いから鬼になる道を選んだのです。
そんな縁壱に対して、強い嫉妬や憎悪を抱いていた黒死牟でしたが、彼が最期に見たのは縁壱の幻影でした。
今回の記事では、黒死牟が最期に大嫌いであったはずの縁壱の姿を見た理由について考察していこうと思います。
- 黒死牟の最期とは?
- なぜ最期に黒死牟は縁壱の幻影を見た?
- 黒死牟の最期が意味していたものとは?
などが気になった人は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
黒死牟とは

上弦の壱であり、無惨から最も信頼されているとも言える黒死牟。
人間だった時から破格の強さであり、鬼殺隊にいた時には全集中の呼吸を極めた人にしか発現しない痣を出すことにも成功しています。
痣の寿命から逃れるため、黒死牟は鬼となり剣技を極める道を選びました。
黒死牟の過去
武士の家に双子の兄として生まれ、跡取りとして育てられました。
子供の時から弟・縁壱の境遇を憐れんでいましたが、縁壱には自分が最も欲していた剣技の才能があることが分かり、黒死牟は縁壱に激しい嫉妬と憎悪を抱くようになります。
母の死をきっかけに縁壱が家を出ていったことで縁壱に対する感情が消えかかっていましたが、黒死牟が戦場で鬼に襲われた際に縁壱が現れ、再び黒死牟は縁壱に対して嫉妬を抱くように。
縁壱と同じように強くなりたいと思った黒死牟は、妻子を捨て鬼殺隊に入隊します。
しかしそれでも縁壱を越えることはできず、さらに痣を発現させたことでもう自分には剣技を極めることができないと黒死牟は絶望。
そんな中、黒死牟の前に無惨が現れ鬼にならないかと誘いを受けたのです。
黒死牟は無惨の誘いを受け鬼となり、当時の鬼殺隊の当主を殺害し、首を献上して無惨への忠誠心を見せています。
400年間上弦の壱を守り続ける
黒死牟の強さは上弦の鬼の中でも別格で、一度も壱の座を渡したことがありません。
鬼殺隊だった頃に会得した月の呼吸を鬼となってからも使っており、血鬼術で強化させています。
他の隊士たちは呼吸を使う際にエフェクトが発生していますが、これは攻撃には関係なく、見ている人がそう感じる、そう見えるといったものです。(呼吸をいかに極めているかによって変化)
一方で黒死牟の月の呼吸で発生する三日月のエフェクトはそうではなく、血鬼術で強化させた影響なのか、斬撃を飛ばすといった攻撃を可能としています。
これにより広範囲の攻撃が可能となり、刀が苦手とする遠距離戦でも不利になることはありません。
黒死牟の最期
そんな最強の鬼である黒死牟ですが、無限城での戦いで悲鳴嶼、実弥、無一郎、玄弥と交戦して敗北しています。
黒死牟の最期について見ていきましょう。
首の弱点を克服
無一郎や玄弥をすぐに重傷を負わせたものの、その後現れた実弥や悲鳴嶼によって一進一退の戦いが続きます。
しかしすでに戦闘不能と思われていた無一郎や玄弥が戦線に復帰し、黒死牟は徐々に追い詰められていきました。
勝利のために黒死牟は体中から刃を突き出し、さらに斬撃も飛ばして鬼殺隊を追い詰めましたが、一瞬の隙をつかれて悲鳴嶼と実弥によって首を斬られてしまいます。
それでも黒死牟は負けを認めず、執念から首の弱点を克服したのです。
変わり果てた姿に絶望

首の弱点を克服した黒死牟は、ようやく自分が目指していた最強になれたことに歓喜します。
圧倒的な力で悲鳴嶼と実弥を追い詰めますが、実弥の日輪刀に写った自分の姿に絶望したのです。
何だこの醜い姿は…
©吾峠呼世晴/集英社 コミック20巻
侍の姿か?これが…
これが本当に俺の望みだったのか?
今までは人の姿をした鬼でしたが、首の弱点を克服した後の黒死牟は完全に鬼の姿になっていました。
自分の姿を見て動揺した黒死牟は徐々に体の回復が遅くなり、悲鳴嶼と実弥の猛攻に耐えられなくなり少しずつ体が崩壊していきます。
そして最期に自分が本当になりたかったものは「縁壱」であったということに気付き、縁壱の幻影を見て消滅しました。
なぜ黒死牟は縁壱の幻影を見た?
あんなに縁壱のことを憎んでいた黒死牟でしたが、最期に見たのは縁壱の幻影でした。
その理由について考察していきます。
縁壱との差を思い知る
考えられる1つ目の理由は、縁壱との差を思い知ったからです。
黒死牟も鬼殺隊の時から柱に近い実力を持っていましたが、縁壱には遠く及びませんでした。
2人の間には以下のような差があります。
黒死牟 | 縁壱 |
努力の末に痣を発現させ、透き通る世界は鬼になってから見えるようになったと考えられる | 生まれつき痣を発現させていて、透き通る世界も見えていた |
月の呼吸を使えるようになったが、日の呼吸を会得することはできなかった | 日の呼吸を生まれながらに使っており、日輪刀を赫刀することもできた |
痣の寿命を克服できないため、鬼となる | 痣を発現させていても80歳を超えても生き続けていた |
強くなりたいという思いから鬼になった黒死牟でしたが、それからどんなに鍛錬に励んでも縁壱の実力に追いつくことは最期までできませんでした。
全て捨てて強さだけを求めても届かなかったと、改めて縁壱と自分の差を痛感したからこそ最期に縁壱の幻影が見えたのかもしれません。
自分の本心に気付いた

他に考えられる理由は、自分の本心に気付いたという可能性もありそうです。
黒死牟はずっと強さを追い求めていましたが、最期には自分の本当の願いは「縁壱になりたかった」ことだと気づきます。
死にたくなかったのか?
©吾峠呼世晴/集英社 コミック20巻
こんな惨めな生き物に成り下がってまで
違う 私は 私は ただ
縁壱 お前になりたかったのだ
鬼になったきっかけは「痣の代償である寿命の前借り」から逃れるためでした。
しかし本当は心のどこかで縁壱を越えることはできないと諦めていたのか、縁壱になりたかったと最期に自分の本心に気付いたような描写がありました。
子供も妻の顔も覚えていないというのに、縁壱の顔だけははっきりと覚えていたというのも、それほど黒死牟が縁壱になりたいという思いが強かったからではないでしょうか。
黒死牟の最期は何を意味していたのか
黒死牟の最期は、共に無限城戦で死亡した童磨や猗窩座と比べると幸せな最期とは言えませんでした。
最期の消滅するシーンにも何か意味が込められていそうなので、考察してみましょう。
独りで最期を迎える
鬼滅の刃と言えば、鬼の悲しい過去も見どころの1つです。
しかし黒死牟の過去は、弟である縁壱の嫉妬や憎悪であることが多く、人間だった頃は妻や子供がいたにも関わらず、剣技を極めたいという理由で鬼殺の道を選んでいます。
そして縁壱からは仲間であり兄としても慕われていましたが、その信頼を裏切り鬼となりました。
人間であった時は色々な人たちから慕われていましたが、信頼を裏切ったことにより、黒死牟の最期には誰の姿もありません。
自分から信頼関係を壊し、他人のことを思いやる気持ちがないと独りで最期を迎えることになるというメッセージ性も含まれていそうです。

同じく元鬼殺隊で鬼となった獪岳は、愈史郎から「人に与えられない者はいずれ人から何も貰えなくなる」と言われており、黒死牟と同じく独りで最期を迎えました。少しでも人を思いやれる気持ちがあれば変わっていたかもしれません…。
縁壱に対する複雑な心情

黒死牟の最期で最も驚いたと言えるのが、黒死牟が縁壱に過去にプレゼントした笛を持ち歩いていたという事です。
戦国時代には双子は忌み子とされており、生まれつき痣があった縁壱は父親からひどく嫌われ、物置のような部屋で隔離された生活を送っていました。
そんな縁壱を憐れに想った黒死牟は、父親から縁壱と接触することを禁止されていたにも関わらず、自分の力で笛を作り、縁壱にプレゼントしていたのです。
助けて欲しいと思ったら吹け
©吾峠呼世晴/集英社 コミック21巻
すぐに兄さんが助けにくる
そして縁壱はその笛をずっと大切に持ち歩き、死ぬときまで笛を持っていました。
縁壱の亡骸を斬り捨てた黒死牟がその笛を見つけ、持っていたのです。
黒死牟にとっては縁壱は憎い存在となってしまいましたが、縁壱はずっと黒死牟のことを優しい兄と思っており、2人はいかにすれ違っていたのかが分かります。
縁壱に対しては憎しみや嫉妬しか抱いていないと思われていた黒死牟でしたが、心のどこかでは縁壱に対して罪悪感に近い感情を持っていたのかもしれませんね。
まとめ

黒死牟の最期と、なぜ最期に縁壱の幻影を見たのかを考察しました。まとめると…
・首の弱点を克服するが、変わり果てた自分の姿に絶望し、猛追に耐えられる消滅する
・縁壱と自分の差を改めて思い知り、縁壱の幻影を見た
・縁壱になりたかったという自分の本心に気付き、若いころの縁壱の姿が浮かんだ
・鬼の中では珍しく、最期には誰も迎えに来ず独りで消滅した
・縁壱が大切に持っていた笛を持ち歩いており、縁壱に対して複雑な心情を持っていた
最期に縁壱の姿があると思われていましたが、黒死牟の最期には誰も現れませんでした。
黒死牟は最期にようやく自分の気持ちを知ることができたので、鬼殺隊にいたときに自分の気持ちをしっかりと理解できていたならば、もしかしたら鬼になることはなかったかもしれません。
黒死牟の最期は劇場版として描かれる可能性が高いので、大きなスクリーンで見ることができるのが楽しみです!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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