蟲柱・胡蝶しのぶの姉である「胡蝶カナエ」は、作中ではすでに亡くなっている人物です。
生前は花柱として鬼殺隊を支えていましたが、任務中に命を落としてしまい、主要キャラの回想シーンの中でしか登場していません。
今回は、登場場面は少ないものの、その主要キャラたちに関わる重要人物だった胡蝶カナエの死亡の理由と、その時期について解説&考察していきます。
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胡蝶カナエの「死亡の理由」と「時期」
胡蝶カナエは、『上弦の弐・童磨』と戦って命を落としています。
そして、カナエが亡くなったのは17歳、そのとき妹のしのぶは14歳でした。
では、胡蝶カナエ&しのぶ姉妹が鬼殺隊に入った経緯と、カナエが亡くなったときの状況について詳しく見ていきましょう。
胡蝶カナエ&しのぶ姉妹が鬼殺隊士になった理由
両親を鬼に殺された
子供の頃の胡蝶姉妹は、両親とともに4人で幸せに暮らしていました。
両親は薬の調合をする仕事をしており、しのぶはその影響で薬に詳しくなったようです。
そして家の中の状況や着ているものを見る限り、そこそこ裕福な暮らしだったのではないかと思われます。
ところがある日、突然鬼に襲われ、両親が殺されてしまいました。
しかし胡蝶姉妹は生き残っていますね、それはなぜだったのでしょう?
悲鳴嶼行冥に助けられて誓ったこと
カナエとしのぶが無事だったのは、悲鳴嶼行冥が助けてくれたからでした。
果敢に鬼に立ち向かう悲鳴嶼行冥の姿を見た二人は、他の人が自分たちと同じ悲しい思いをしなくてすむよう、自分たちも強くなって鬼を倒そうと誓ったのです。
胡蝶カナエを殺したのは『上弦の弐・童磨』
胡蝶カナエが鬼に殺されていたことは、序盤の蝶屋敷で胡蝶しのぶにより語られています。
しかし、なんという鬼だったのかは、終盤の無限城まで明かされていませんでした。
カナエが死の間際、しのぶに伝えたその鬼の特徴とは、
にこにこと屈託なく笑う
穏やかに優しくしゃべる
鋭い対の扇(おうぎ)
©吾峠呼世晴/集英社 コミック第16巻
そして最終決戦地の無限城でしのぶが最初に遭遇した鬼、それこそが、最愛の姉の仇である『上弦の弐・童磨』だったのです。
女を好んで食べていた鬼・童磨
女を喰うことへの執着心を持っていた童磨にとって、鬼殺隊の最高位『柱』であり、なおかつ『女』でもあったカナエは、格好の相手だったでしょう。
童磨が女を好んで食べていた理由は「女は腹の中で赤ん坊を育てられるほど栄養を持っている=女を食べれば早く強くなれる」と思っていたからです。
本当に「女」を食べると強くなれる?
このことに対する答えは、童磨と猗窩座を比べると出てくるようです。
猗窩座は、鬼になってからも強さを求め続け、高みを目指して日々鍛錬に明け暮れていました。
なんと言っても趣味が「鍛錬」ですからね。
ちなみに童磨の趣味は「酒風呂」。
人間のときはお酒が好きだったそうですが、鬼になって飲めなくなったので、代わりに酒風呂を楽しんでいたようです。
そしてこの二人の序列は、同じ上弦でも童磨の方が上ですよね。(童磨が『弐』、猗窩座が『参』)
女を決して食べず(殺すこともせず)ストイックに鍛錬を重ねていた猗窩座よりも、女を食べることに執着し、酒風呂を楽しんでいた童磨の方が上なのです。
これは、上弦の壱・黒死牟が猗窩座に対し「童磨が気に入らぬのなら入れ替わりの決戦を申し込むことだ」と言ったことを受け、童磨が猗窩座をかばっている場面です。
もちろん「かばってやった」と思っているのは童磨だけで、猗窩座は触れて欲しくないところに触れられてイラつき、黒死牟は童磨のセリフなど全く聞く耳を持っていませんでした。
女を好んで食べていたことだけが童磨の勝因だったとは限りませんが、実際に童磨の戦いぶりを見てみると、そのヘラヘラ感からは想像もつかないような的確な状況把握を瞬時にしていることがわかります。
また、体に毒を打ち込まれても短時間で分解していることからもわかるように、上弦の上位にふさわしい強さを持っていたことは確かでした。
「女から高い栄養を取れば、効率よく早く強くなれる」という考えは、あながち間違っていなかったのかも知れません。
童磨の独特な価値観と戦いぶりにつきましては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。
童磨に同情していた胡蝶カナエ
カナエの望みは、鬼の滅殺を目指していた他の柱たちとは違い、鬼と共存することでした。
そして自分を死に至らしめた童磨にさえ同情の気持ちを持っていたことを、妹のしのぶによって明かされています。
「私の姉も、君(炭治郎)のように優しい人だった。鬼に同情していた。自分が死ぬ間際ですら、鬼を哀れんでいました。私はそんなふうに思えなかった。人を殺しておいて可哀想?そんな馬鹿な話はないです」
コミック第6巻
鬼殺隊に限らず、通常の人間の感情であれば、しのぶのように「そんなふうに思えない」と感じるのが普通だと思います。
しかし、カナエは「鬼にもそれぞれ哀しい事情があった」ということを理解し、やみくもに殺すだけではなく、なんとか共存できる方法はないかと考えていたのです。
確かにその考えは、炭治郎に近いものがあるかも知れません。
炭治郎は「鬼との共存」までは考えていなかったと思いますが、鬼たちが最期に放つ哀しい匂いを感じ取り、かつては自分と同じ人間だった彼らに対して、いくらか同情の気持ちを持っていたことは事実でした。
そしてしのぶは、姉と同じような優しさを持つ炭治郎と、鬼であっても人間を襲わない禰豆子を見て、彼らの願いが叶うことを心から願うようになったのです。
胡蝶カナエの死亡時期
カナエが亡くなったのは17歳のときでした。
ではそれは、物語の中でどのあたりの時期だったのでしょうか?
柱たちの場面から考察
冨岡義勇が竈門炭治郎と出会った時期は?
『鬼滅の刃』は、主人公の竈門炭治郎&鬼にされた妹の禰豆子と、鬼殺隊の水柱・冨岡義勇が出会うところから始まります。
それは、義勇が水柱になって間もない頃のことでした。
そして炭治郎はそこから鱗滝さんの下で2年間修行し(後半の1年は独自の修行でしたが)鬼殺隊に入隊しています。
同じ時期の『柱』の顔ぶれは?
ここで、原作のカットをひとつご紹介します。
これは、不死川実弥が柱になってから「初めての柱合会議」に参加した直後の場面で、お館様にこんな暴言を吐いた実弥が、先輩の柱たちに怒られているところです。
いいご身分だなァ、おいテメェ、産屋敷様よォ
お館様は、あえて実弥の言いたいことを言わせていたので、他の柱たちもその場では何も言いませんでしたが、さすがにそのまま見過ごすわけにはいかなかったみたいですね。
そしてこの「実弥が初めて参加した柱合会議」の場に、胡蝶カナエと冨岡義勇がいたことが大きなポイントとなります。
おそらくこのメンバーで柱になった順番は、悲鳴嶼行冥、宇髄天元、胡蝶カナエ、そして冨岡義勇でしょう。
そこから不死川実弥が柱になるまでの期間は不明ですが、この時点の義勇は、すでに炭治郎たちに出会っていた可能性が高いと思われます。
それはつまり、禰豆子が鬼になった時期は、胡蝶カナエがまだ生きていた頃、ということになりますね。
炭治郎とカナヲが入隊した時期から考察
竈門炭治郎と栗花落カナヲは鬼殺隊の同期ですので、二人の経緯を見ていくと、そこにもヒントがありそうです。
まず炭治郎は、冨岡義勇と出会った直後に鱗滝さんに弟子入りして、2年後に鬼殺隊に入隊しています。
そしてカナヲについては、こちらの原作カットをご覧ください。
これはカナエが亡くなった直後、蝶屋敷のメンバーがカナエのお墓参りをしているシーンです。
みんなと少し離れ、一人で後ろに立っているカナヲは、まだ隊服を着ていませんね。
つまり、このときのカナヲはまだ鬼殺隊への入隊前で、当然、炭治郎もまだ鬼殺隊員にはなっていなかった、ということになります。
カナエが亡くなったのは、炭治郎が狭霧山にいた頃
ここまでを整理してみます。
- 冨岡義勇が竈門炭治郎と出会った頃、カナエはまだ生きていた
- 炭治郎とカナヲは同じ年に最終選別を受け、同時に鬼殺隊に入隊している
- カナエが亡くなったとき、カナヲはまだ鬼殺隊員ではなかった
以上のことから、カナエが亡くなった時期は、炭治郎が義勇と出会ってから鬼殺隊士になるまでの間、つまり、師匠の鱗滝さんの下、狭霧山で修行していた頃(錆兎たちに指導してもらっていた期間も含め)、ということになります。
そう考えると「意外に最近」という感じがしますね。
カナエさんが亡くなったとき、しのぶさんは14歳だったそうです。そして現在のしのぶさんの年齢設定は18歳。単純に計算すると「カナエさんが亡くなったのは今から4年前」ということになるのですが、そうなると、ちょっと計算が合いませんね・・・聞かなかったことにしておいてください。
胡蝶カナエの優しさに救われたもの
鬼を倒すべく鬼殺隊に入隊し、柱にまでなったカナエですが、鬼を憎む心と同時に、最後まで優しく接する心を持った人でもありました。
もう一人の「妹」
縄に繋がれて歩いていたカナヲを見かけたこの場面、おそらく、カナエの心にあったのは「この子を救ってあげたい」という優しい気持ちだけだったでしょう。
カナヲを引き取った当時、しのぶは意志表示をしないカナヲにイライラさせられっぱなしでしたが、カナエはカナヲを急かすことなく、心を開くときを待ってくれていました。
やがてカナヲは「仲間」となった炭治郎たちによって心を開くようになり、最後は、その仲間の一人である伊之助と共に、「姉」の仇・童磨を倒したのです。
伊之助&カナヲによる童磨戦は、こちらの記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。
斬られた鬼たち
これは、公式ファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』で、隠(かくし)の後藤さんが地獄へ行った鬼たちに、各呼吸の斬られ心地を取材している場面です。
作中で「花の呼吸」を使っていたのは胡蝶カナエと栗花落カナヲの二人ですが、この鬼たちの反応を見る限り、彼らはカナエに斬られた鬼だと思われます。
カナエの心が伝わったのか、この鬼たちは最後に救われていたように見えますね。
まとめ
目の前で両親を鬼に殺されるという壮絶な過去を持ちながら、鬼に対して同情心を持ち、共存できる道を探していた優しい鬼殺隊員・胡蝶カナエ。
かと言って、『悪鬼滅殺』を唱える他の柱と対立するでもなく、任務は粛々と遂行し、柱として立派に貢献していたと思われます。
「鬼との共存」にいちばん反発しそうな不死川実弥から好意を持たれていたらしい(悲鳴嶼さんの見立てなのでおそらく合っている)のも、ちょっと微笑ましい気がしました。
カナエ自身は志半ばで命を落としてしまいましたが、その「志」は、妹の胡蝶しのぶからもうひとりの妹・栗花落カナヲに受け継がれ、そして平和な世へと繋がっていきましたので、きっと天国で満足してくれていることでしょう。
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