気が強く、勝気な印象の強い、鬼殺隊士・神崎アオイ。
蝶屋敷で隊士たちの治療などを取り仕切るアオイですが、心の奥に、ある不安と葛藤を抱えています。
そして、竈門炭治郎と接するうちに、炭治郎に言われた言葉によって、アオイ自身にも心境の変化が現れます。
今回は、アオイにとっての炭治郎の存在や、アオイのその後の様子について、ご紹介していきたいと思います。
【竈門炭治郎とアオイ】事の始まり
下弦の伍・累の討伐後、蝶屋敷で体を休めるなどしていた炭治郎がようやく回復し、戦いに向かう前にアオイに挨拶をしに行くところから始まります。
炭治郎:忙しい中 俺たちの面倒みてくれて本当にありがとう
おかげでまた戦いに行けるよ
アオイ:あなたたちに比べたら私なんて大したことはないのでお礼など結構です
選別でも運よく生き残っただけ その後は恐ろしくて戦いに行けなくなった腰抜けなので
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第7巻 第53話
屈託のない笑顔で感謝を述べる炭治郎に対し、とげとげしい言葉で受け応えるアオイ。
自分の不甲斐なさを恥じる故、自分を卑下し蔑んでいる様子です。
すると、自分を卑下するアオイに、炭治郎はアオイの気持ちにすぐさま寄り添い、優しい言葉をかけました。
アオイは、自分の心の奥の深い傷を、ふわっと包んで寄り添ってくれた炭治郎の言葉に動揺し、呆然と立ち尽くしました。
思ってもみなかった炭治郎の優しい励ましに、頑なに閉じていたアオイの心は我を忘れるほど動かされた様子です。
アオイはこの時の心情を、『小説版鬼滅の刃 しあわせの花・アオイとカナヲ』の中で吐露しています。
こんな役立たずを自分の一部だと、この行き場のない想いを戦いの場へ連れていってくれるとー。
何の衒(てら)いも躊躇いもなく。
お日さまのような笑顔で、その人は言ってくれた。
だから、頑張ろうと思った。自分に出来る精一杯のことをやろうと……。
©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 鬼滅の刃 しあわせの花
鬼を殺せない自分のような隊士に存在価値があるのかと思い詰め、自分のことが嫌いになる一方だったアオイ。
アオイは、この事がきっかけとなり、炭治郎の言葉に勇気をもらい、前へ進む決意をしたのでした。
【竈門炭治郎とアオイ】再会
無限列車での戦いの後、回復した炭治郎が鬼の討伐から、蝶屋敷へ戻ると、中からアオイの悲鳴が…。
すると、音柱・宇髄天元がアオイとなほを両腕に抱え、連れ出そうとしていました。
炭治郎が二人の解放を求めると、天元は任務で女の隊員がいるから連れて行くのだと答えました。
なほは隊員ではないことがわかり、解放されますが、アオイは隊服を着用しているため、天元は「役に立ちそうもねぇがこんなのでも一応隊員だしな」と言って連れて行こうとします。
炭治郎:人には人の事情があるんだから 無神経に色々つつき回さないでいただきたい!!
アオイさんを返せ!!
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第8巻 第70話
アオイの心情を慮り、すぐさま擁護する発言をした炭治郎に、天元はぬるいと一喝します。
そして、炭治郎は”アオイの代わりに自分たちが行く”と、同じく任務から戻ってきた善逸と伊之助と共に天元の行く先、遊郭へと向かうのでした。
炭治郎は、鬼への恐怖心がトラウマとなっているアオイを庇うように、自らが任務を申し出ることでアオイを解放してもらいます。
この時の心情も、『小説版鬼滅の刃 しあわせの花・アオイとカナヲ』の中で吐露されています。
そうだ。彼らは自分の代わりに行ってくれたのだ。(私が情けないから……)
そっと唇を噛みしめる。どうか危険な任務でないといい。
だが、それは虫のいい願いだ。柱が動くほどの任務であれば、雑魚鬼退治程度であるはずがない。
無限列車という列車に潜む鬼を退治に行った時にも、彼らは満身創痍で戻ってきた。
心も身体も傷ついて、痛ましいほどボロボロになって……
しかも、今回は自分のせいなのだ。
©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 鬼滅の刃 しあわせの花
自分を責め続けるアオイは、この時も自分の不甲斐なさを恥じ、心を痛めていました。
しかし、炭治郎の優しい援護によって、彼女のつらい胸の内も癒されたと思います。
アオイは炭治郎たちに助けてもらっただけでなく、自分の代わりに任務へ向かわせてしまったと申し訳ない思いを持っていたことがわかります。
【竈門炭治郎とアオイ】その後の思い
宇髄天元に連れて行かれそうになった時に、手を握ってくれたカナヲに素直にお礼を言ったアオイはカナヲに、いつから銅貨を投げずに決められるようになったのか尋ねると…。
カナヲは、”炭治郎に心のまま生きろ”と言われたからと頬を赤らめました。
アオイを劣等感や罪悪感から解放した炭治郎は、カナヲにも同様に言葉をかけていました。
泣きたいくらいあたたかな気持ちと、少年の言葉が自分だけに向けられたわけではないのだとわかったことへのかすかな淋しさ。
©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 鬼滅の刃 しあわせの花
アオイにとって、炭治郎は恋愛感情を持つ相手ではなかったものの、自分だけに向けられた言葉ではなかったことに淋しさは感じていたことがわかりました。
(私だって鬼殺隊の一員なんだから)
ぐっと拳を握り締める。
そんな風に思える自分に驚いた。こんな晴れやかな気分になれたのは、選抜を生き残って以来、初めてかもしれない。
いつか、生き残ったことへの負い目を抱かず、胸を張って生きられるようになるだろうか。
自分を自分のまま好きになれるだろうか……?
きっと、大丈夫だと、言ってくれる声がした。
誰の声なのかー炭治郎のような気もしたし、しのぶのような気もしたし、カナヲのような気もした。
©吾峠呼世晴・矢島綾/集英社 鬼滅の刃 しあわせの花
その後、劣等感や罪悪感から解放されたアオイは鬼の討伐ではない、自分なりの鬼殺隊の一員としての役割を見出し、前を向いて進んでいくのでした。
アオイにとって、炭治郎は、背中を押してくれる同志や仲間としての存在が強く、心の支えとなっているのでしょう。
まとめ
今回は、アオイにとっての炭治郎の存在や、アオイのその後の様子について、ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
まとめると
- 自分を卑下するアオイに、炭治郎はその気持ちにすぐさま寄り添い、優しい言葉をかけた
- アオイは、炭治郎の言葉に勇気をもらい、前へ進む決意をした
- 炭治郎は、鬼への恐怖心がトラウマとなっているアオイを庇うように、自らが任務を申し出ることでアオイを解放した
- アオイにとって、炭治郎は恋愛感情を持つ相手ではなかったが、自分だけに向けられた言葉ではなかったことには淋しさを感じていた
- 劣等感や罪悪感から解放されたアオイは鬼の討伐ではない、自分なりの鬼殺隊の一員としての役割を見出し、前を向いて進んでいった
炭治郎とアオイに恋愛感情はなかったですが、アオイは、鬼殺隊の仲間としてふるまう炭治郎に安心感をもち、前に進んでいく勇気をもらいました。
現実世界でも、過酷な環境であっても、わかってくれる仲間や友達に救われる思いをすることは多々ありますね。
アオイのように、劣等感に苛まれる中で、手を差し伸べ、明るい言葉を投げかけてくれる存在はとても大きいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続き鬼滅の刃をお楽しみください。
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