愈史郎(ゆしろう)が鬼になった理由と鬼殺隊への尽力を解説。一途な青年鬼が選んだ道とは?

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©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』では、さまざまなタイプの鬼が登場しますが、その中でも、竈門禰豆子(かまどねずこ)に次いで特異な鬼が、鬼舞辻無惨を抹殺したいと思っている「珠世(たまよ)」です。

そしてその珠世によって鬼となった唯一の個体、それが愈史郎(ゆしろう)です。

医者でもある珠世は、自分の体をいじって鬼舞辻の支配から逃れていますが、そのような知識と技術を持ちながらも、自らの手によって鬼に出来たのは愈史郎ただひとりでした。

しかし、その「ただひとり」の存在が、珠世自身だけではなく、鬼殺隊全体の助けとなっていったのです。

「愈史郎がいなければ鬼殺隊は全滅していた」、そう言っても過言ではないほどの活躍を見せた愈史郎について解説していきます。

愈史郎(ゆしろう)が鬼になった理由

自らの意志で鬼になることを選んだ者は、主に以下のどちらかの理由にあてはまります。

  • もっと強くなるため:上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)、獪岳(かいがく)など
  • 生き長らえるため:上弦の肆・半天狗、上弦の陸・妓夫太郎(ぎゅうたろう)、下弦の伍・累、珠世など

そして愈史郎は後者でした。

長く生きるため

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人間の頃、愈史郎は病に倒れて余命いくばくもない状態でした。

まだ若かった愈史郎が、そのような状況で「もっと生きていたい」と思うのは当然のことだったかも知れません。

珠世から問われた「鬼になる覚悟」

そのとき愈史郎を治療していた珠世は、愈史郎にこう尋ねています。

「生きたいと思いますか? 本当に人でなくなっても生きたいと? このまま・・・あなたは病で命を落とすでしょう。ですが人でなくなることは、つらく・・・苦しい

コミック第3巻

珠世自身、病で余命僅かだった状態から「もっと生きていたい」と望んで鬼になりました。

しかしその結果、夫と子供を自分が食べて殺してしまうことになったのです。

もっと生きていたいと願う人に手を差し伸べたい一方で、鬼として生きることの悲しさも知っている珠世。

だからこそ、本人の意志を確認し、人でなくなることのつらさも説いているのです。

ずっと珠世のそばにいるため

珠世から覚悟を聞かれ、その上で鬼になることを選んだ愈史郎。

愈史郎には家族がいなかったのか、珠世以外の人に思いを馳せている場面はありませんでした。

長く生きることを望んだのは、何よりも「この人(珠世)のそばで生きていたい」と思ったからなのではないでしょうか

愈史郎の特徴

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他の鬼との相違点

鬼舞辻無惨ではなく珠世の手によって鬼となった愈史郎には、他の鬼との相違点があります。

鬼舞辻無惨の呪い(支配)から外れている

珠世は自身で鬼舞辻の呪いを外していますが、愈史郎も鬼舞辻の支配からは外れています。

鬼舞辻の支配が及ばない鬼は、珠世と愈史郎の他には禰豆子しかいません。

人間を食べなくても生きていける

これも、珠世は自身の力で「人間の血を飲むだけで生きていける」ように操作していて、愈史郎は「更に少量の血で生きていける」ようにしています。

人間に負担をかけないようにするのがいちばんの目的だと思われますが、愈史郎自身に対しても、少しでも「鬼らしさから遠ざけ、人間に近い状態で」との思いからでしょう。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第2巻

ここは禰豆子とも違う点で、禰豆子は人の血肉を全く口にすることなく、代わりに眠ることで体力を回復させていますね。

他の鬼との共通点

「他の鬼とは違う」とはいえ、それでもやはり「鬼」ですので、共通点もあります。

怪我を負っても再生する

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朱紗丸(すさまる)の鞠によって頭部を破壊されたときも、わりとすぐに再生しています。

血鬼術が使える

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炭治郎がおでこに貼っているのは、「紙眼(しがん)」という愈史郎の血鬼術です。

「目くらまし」をかけたり、実際には見えないものを可視化したりと、なかなか知的な血鬼術なのです。

そしてもうひとつ、この紙を付けている者同士で「視覚が共有できる」という力もあり、この能力が、最後の無限城と無惨戦では欠かせないものとなりました。

太陽の光に当たれない

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第23巻

無敵に見える愈史郎ですが、残念ながら太陽の光には抗(あらが)えないようです。

そしてこれは珠世も同じでした。

太陽の克服を自らの力で、それもたった数年ほどで成し遂げた禰豆子は、本当に「すごい鬼」だったんですね。

口が悪い

愈史郎が敬語を使うのは珠世に対してのみで、鬼殺隊の『柱』に対しても、炭治郎としゃべっているときのような(偉そうな)言葉遣いをしています。

鬼である愈史郎には、『柱』を敬う理由などないからです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

でも愈史郎くんの作戦はほんとにすごくて、その通りにしなくちゃ!って思って頑張ったわ。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

悲鳴嶼(ひめじま)さんを呼び捨てにするなんて誰だ?! と思ったら愈史郎でした。

『柱』に対してもこんな状態ですので、それより下の階級の隊員たち(村田さんとか竹内とか)に「超偉そう」なのは当然ですね。

愈史郎の価値基準は「珠世」、ただそれだけ

愈史郎が鬼舞辻無惨を倒すために戦ったのは、それが珠世の望みだったからに他なりません。

極端に言えば、珠世が「鬼舞辻からはひたすら逃げましょう」と言えば、愈史郎はそれに従ったのではないでしょうか。

珠世には誰も近づかせたくない

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炭治郎と禰豆子が愈史郎に連れられて珠世の家に行ったとき、珠世に対する炭治郎の言動が気にくわない愈史郎は、炭治郎を殴ったり投げ飛ばしたりして珠世に叱られています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第13巻

禰豆子が珠世に抱きついたときもこの表情。

相手が誰であっても、とにかく「珠代様に近づくな」と思っているのですね。

珠世を守ることより、珠世の望みを優先

愈史郎の望みは、「珠世様と二人で静かに暮らしたい」でした。

しかし珠世の願いは「鬼舞辻無惨を抹殺して、鬼のいない平和な世にしたい」だったのです。

そしてそのためには珠世自身の命も賭ける覚悟でした。

愈史郎はそんな珠世に対し、内心は穏やかではなかったと思いますが、最後の無限城でも「珠代様がそう望むなら」との思いで、珠世の指示に従っています。

珠世の最期も感じ取った

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

鬼舞辻無惨が珠世の頭部を握りつぶした瞬間、愈史郎に異変が起こりました。

珠世の力によって鬼になった愈史郎には、珠世の気配を感じ取る力があったのです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

見た目は人間と変わらない愈史郎ですが、このときだけ、文字通り「鬼のような顔」になっています。

珠世の存在が全てだった愈史郎にとって、この瞬間は悪夢以外のなにものでもありませんでした。

そして珠世の死により、愈史郎の覚悟(無惨討伐のために尽くす)も完全に決まったのです。

最終決戦地『無限城』での愈史郎の使命は2つ

①鬼殺隊の後方支援

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

最後の無限城で、珠世は自分と胡蝶しのぶとで作った薬を鬼舞辻無惨に直接打ち込むために、鬼舞辻に接触しています。

しかし、このとき愈史郎は珠世のそばにはいませんでした。

愈史郎は、負傷した隊員たちを治療するよう、珠世に言われていたからです。

鬼殺隊士たちと行動を共にする(ただし最前線部隊ではなく村田さんたちと)

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

愈史郎に『血気止め』という「血鬼術の進行を止める薬」で最初に治療をしてもらったのが善逸です。

口の悪い愈史郎に村田さんは怒り心頭でしたが、珠世仕込みの治療技術はさすがでした。

このとき生死の境をさまよっていた善逸は、完治とはいかないまでも、愈史郎のおかげで最後の無惨戦に参戦できるほどに快復しています。

愈史郎さんは、俺が兄弟子の獪岳(かいがく)と戦ったとき、かなりの高さから落下しそうだったところを助けてくれたんだ。愈史郎さんがいなければ、そのまま墜落しちゃってただろうね。

愈史郎の力はすぐ鬼殺隊に認められた

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

炭治郎も含めた鬼殺隊士をできるだけたくさん助けるためには、まず愈史郎を助けるべきと、竹内は言っているのです。

そして竹内の言うとおり、愈史郎はその後に炭治郎を治療しています。

②『上弦の肆・鳴女(なきめ)』の支配を解く

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

無限城での戦いのときには、今の柱たちが尊敬してやまなかったお館様・産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)はすでに亡く、代わって息子の産屋敷輝利哉(うぶやしき きりや)が当主となり、指揮をとっています。

お館様の判断「鳴女に対抗させるには愈史郎が最適」

琵琶を弾く度に無限城内のレイアウトが変わる鳴女の血鬼術のせいで、鬼殺隊士は自分たちがどこにいるのか、どこに向かうべきなのかを把握するのが困難な状況でした。

しかし、以前に炭治郎が浅草でも使っていた『紙眼(しがん)』という愈史郎の血鬼術「視覚共有」により、お館様たち産屋敷一族は鬼殺隊士たちの居場所を的確に把握

そこからどう動けば良いのか、同じく『紙眼』を与えられた鎹烏(かすがいがらす)たちを通して指示を出していたのです。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第17巻

そしてお館様(=輝利哉様)もまた、無限城を実際に飛び回っている鎹烏たちによって、城内の様子を知ることができました。

更に鳴女の視覚を操り、皆を無限城の外に出す

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第21巻

愈史郎は鳴女の視覚を操り、鬼舞辻無惨に「鬼殺隊の柱が死んだ」というウソの情報を流すことに成功しています。

しかし、愈史郎が鳴女を完全に支配する前に、鬼舞辻にそのことを気づかれてしまいました。

自身が鬼殺隊に支配される前に、鬼舞辻は鳴女の頭部を破壊して殺しています

無惨に気づかれたのは愈史郎くんのせいじゃなく、私のせい。。私は無惨の中ではすでに死んでいる存在(←ウソの情報)だったのに、冨岡さんたちが危なかったので、つい出て行ってしまって。。

それでも愈史郎は、鳴女の体が完全に消滅するまでの限られた時間で、無限城に落とされていた隊員たちを城の外に出すことに成功しました。

そして同時に鬼舞辻無惨も地上に輩出しています。

鳴女の消滅と共に無限城は崩れ落ち、愈史郎さんは、がれきの下敷きになってしまいました。竹内さんが村田さんに「愈史郎が下敷きになっている」と言っていたのはこのときです。

鬼舞辻無惨は頸を斬っても死なないので、その身を消滅させるには太陽の光に当てるしかありませんでした。

そのためにはとにかく「外に出す」ことが重要で、愈史郎はそれを成功させたのです。

そして珠世の思いを叶えた愈史郎と鬼殺隊

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第23巻

珠世の思いが叶ったのは、「鬼舞辻無惨の消滅時」ではなく、「鬼舞辻に鬼にされてしまった炭治郎が人間に戻ったとき」でした。

このとき、太陽の下に出られない愈史郎はもどかしい思いをしていましたが、しのぶの作った『人間に戻す薬』をカナヲが打ち込んだことで、すべてが終わったのです。

まとめ

いずれ寿命が尽きる炭次郎たち人間とは違い、珠世の亡き後もひとりで生き続けなければならない愈史郎のために、珠世は猫の茶々丸を鬼にしました

そして鬼のいない世の中を作ることに多大な貢献をした愈史郎は、茶々丸と共に平和な世に生き続けています。

©吾峠呼世晴/集英社 コミック第23巻

そして珠世も、愈史郎の心の中でずっと生き続けています。

たったひとつ、珠世と交わした約束「生まれ変わったら夫婦になってほしい」、愈史郎の珠世への想いも永遠なのでしょうね。

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