蟲柱・胡蝶しのぶは、穏やかな笑みをたたえ、柔らかな口調で話すのが特徴です。
しかし、幼い頃に鬼に両親を殺され、その後、鬼を滅殺するために共に戦ってきた姉の胡蝶カナエまでが殺されるという、とても悲しい過去を持っています。
そして毒を使う独自の『悪鬼滅殺』の道を切り開いてきた胡蝶しのぶの集大成が、上弦の弐・童磨との戦いでした。
果たしてその小さな体(151cm、37kg)でどうやって上弦の鬼と戦ったのでしょうか。
薬学に精通していた胡蝶しのぶにしか出来なかったであろう緻密かつ壮大な計画が実行された、その童磨戦を解説いたします。
なお、しのぶに続いて童磨と戦うことになった「カナヲ&伊之助 vs 童磨」につきましては、こちらの記事をご覧ください。
また、彼らが戦った『上弦の弐・童磨』については、こちらで詳しく紹介しています。
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上弦の弐・童磨は、胡蝶しのぶの姉・カナエの仇
胡蝶しのぶの姉・胡蝶カナエは、華奢な体ながら鬼殺隊の『花柱』として鬼と戦ってきました。
しかし、上弦の弐・童磨との戦いで、その命を落としてしまいます。
カナエが妹・しのぶへ伝えた想い
しのぶが駆けつけると、すでにカナエは手の施しようがない状態でした。
そしてこのとき、カナエはしのぶの志を知りながらも、「鬼殺隊を辞めて普通の女の子の幸せを掴んでほしい」と言っています。
実際に戦ってみて、童磨の想像を超える強さを痛感したカナエは、「その鬼と大事な妹を戦わせたくない=妹まで死なせたくない」と思ったのでしょう。
しのぶは仇討ちを誓う
しかし、しのぶは絶対に姉の仇を討つと心に決め、カナエをこんな目に遭わせた鬼の特徴を聞き出します。
- 頭から血をかぶったような鬼
- にこにこと屈託なく笑う、穏やかに優しく喋る
- 武器は、鋭い対の扇
姉の仇に遭遇したのは、最終決戦地の無限城
物語の最終決戦地となった「無限城」は、いわば「鬼の総本山」。
どこかに建っているのではなく「異空間」のため、血鬼術で落とされない限りは入れない場所といって良いでしょう。
その場所に、柱を始めとする鬼殺隊士たちがみな落とされ、散り散りになって城内をさまようことになります。
そして胡蝶しのぶがそこで最初に出会った鬼、それこそが、姉・胡蝶カナエの仇である上弦の弐・童磨でした。
姉の仇の特徴に合致していた童磨
しのぶは、姉の死の間際に聞いたその鬼の特徴を思い出します。
頭から血をかぶったような鬼で、にこにこと屈託なく笑い、穏やかに喋り、鋭い対の扇を持っている。
そして今、自分の目の前にいる鬼が「姉の仇」なのだと理解します。
更に、童磨の常軌を逸した言動を目の当たりにし、ついに激高。
これまでのしのぶからは考えられないほどの表情とセリフですが、同時に、しのぶはそれほど強い怒りを内に秘めていた、ということがわかりますね。
しのぶの唯一にして最大の武器は『毒』
しのぶは力が弱くて鬼の頸を切ることができないのですが、薬学の知識を生かし、毒を使って鬼を殺す方法を編みだしています。
素早い「突き」は上弦にも通用
毒は日輪刀の先から打たれることになり、それには「突きの早さ」がとても重要なのですが、しのぶの突きの早さは、上弦の鬼でさえも避けられないほどのものでした。
そして目を突かれた童磨は、すぐに毒に冒され始めますが・・・
毒の分解スピードが早い上弦の鬼
童磨に打ったのは、かつて那田蜘蛛山で使ったものよりも強力な毒だったのですが、童磨はそれを短時間で分解。
しかも、毒を打たれる度に耐性が増し、どんどん毒が効かなくなってしまいます。
また、動きの早さについては「今まで会った柱の中で一番かも」と称賛されますが、それでも童磨と互角にやり合うことはできませんでした。
「対(つい)の扇」で致命傷を負わされる
この攻撃で、しのぶは肺までざっくりと切られ、重傷を負わされてしまいます。
常人であれば数分ほどで死んでしまうほどの大怪我で、さすがのしのぶも、もう戦うのは無理だと諦めかけます。
しかし、そこでしのぶを叱咤したのは、姉のカナエでした。
しのぶの最後の戦い
最後の「突き」
しのぶはあれだけの重傷を負いながらも、渾身の力とスピードで攻撃し、急所である頸を狙って童磨を天井まで突き上げました。
これにはさすがの童磨も一瞬面食らいますが、それはあくまで「一瞬」でした。
俺は感動したよ! こんな弱い女の子がここまでやれるなんて。今まで死ななかったことが奇跡だ!
「突き」での毒はもう効かず、しのぶには打つ手がなくなってしまいます。
とどめを刺される直前にカナヲが到着
栗花落カナヲが到着したのを知ったしのぶは、最後の力を振り絞り、カナヲに指文字で何かを伝えました。
そしてそれを童磨に気づかれ、ついにとどめを刺されてしまったのです。
最期は童磨に吸収された
しのぶを慕うカナヲの目の前で、童磨はしのぶを殺し、吸収を始めます。
怒りを爆発させたカナヲは、その途中で童磨を攻撃しますが、軽くよけられてしまいます。
その後も童磨はカナヲへの挑発を続けるものの、なぜかカナヲはやみくもな攻撃は避けていたようでした。
実はそれにはちゃんとした理由があり、それこそが、しのぶが童磨撃破のための切り札として考えていた作戦(計画)だったのです。
「しのぶの計画」本番はここから
しのぶが童磨に吸収されたことで、鬼殺隊には「しのぶ死亡」の一報が伝えられました。
しかし、ひとりだけ、しのぶの攻撃がまだ終わっていないことを知っていた人物がいたのです。
それが、目の前でしのぶが殺されたところを見ていた栗花落カナヲでした。
童磨に取り込まれるのは計画の一部
かつて、カナヲにだけ語ったしのぶの計画です。
この計画を実行するために、しのぶは1年以上前から準備をしていたのでした。
鬼の体に毒を大量に注ぎ込む方法
しのぶが鬼を攻撃するには、やはり「毒」を使うしかありません。
しかし、どれほどの毒を使えば上弦の鬼に効果があるのかは全くの未知数でした。
そこでしのぶの考えた方法が「自分の体を毒で冒し、体ごと鬼の体内に取り込ませること」、つまり、自分自身が時限爆弾になることだったのです。
童磨の特徴を逆手に取った捨て身の作戦
この計画は、カナエから聞いていた「女を好んで食べる」という童磨の特徴を逆手に取ったものでした。
カナヲはこのことに抵抗し、一緒に戦えば倒せるかも知れないと言いますが、しのぶに「そんな甘い考えは今すぐこの場で捨てなさい」と厳しく言われます。
しのぶの計画におけるカナヲの役目
しのぶの捨て身の作戦は、効果が出るまでの時間が読めないという弱点もありました。
また、自分を取り込んだあと、童磨が毒で弱ってそのまま死ぬかどうかもわかりません。
そこで、この作戦にはもうひとつ必要なピースがあったのです。
それが、しのぶの継子でもある栗花落カナヲでした。
確実なのは、やはり頸を斬ること
いくら大量の毒を取り込ませたところで、上弦の鬼を確実に死に至らしめることができるかどうかは、薬学に精通しているしのぶにもわからないことでした。
しかし、「確実に弱らせることはできる、カナヲにはそこでとどめを刺してもらう」、それがしのぶの描いたシナリオだったのです。
ただし、これを実行するにも、ひとつ厳しい条件がありました。
「毒の効果が表れるまで、カナヲが殺(や)られないこと」です。
現れた救世主(?)伊之助
伊之助は、鎹烏(かすがいがらす)に「いちばん強い鬼のところに案内しろ」と命令し、ここにたどり着きました。
しのぶとカナヲの計画のことなど全く知らず、ただ「やっと強い鬼と戦える」と喜んで飛び込んできたのです。
しかし、カナヲの様子から、しのぶがすでに殺されていたことを察知。
更に、童磨が伊之助の母親を殺していたという事実まで判明し、カナヲと共に「仇討ち」に挑みます。
なお、伊之助の母親と童磨の関係につきましては、こちらの記事で紹介しています。
成就したしのぶの想い
カナヲと伊之助は、童磨との戦いでかなりの苦戦を強いられます。
それでも「カナヲの目の良さ」と「伊之助の肌感覚の鋭さ」で、童磨の攻撃をギリギリでかわし、持ちこたえていました。
そして遂にしのぶの毒が効き始め、二人で一気に童磨を追い込んで頸を斬ることに成功します。
本当は少し悔しかった
実は、最後に童磨の体に行き渡らせた毒は、胡蝶しのぶが独自に開発したものではなく、鬼の珠世の協力によってできたものでした。
それは鬼(=鬼舞辻無惨)側で把握していた事前の情報にはなかったものだったため、さすがの童磨も分解したり危機回避をしたりすることができなかったのだと思われます。
とはいっても、しのぶと珠世が協力して開発していたのはわずかな期間(柱稽古が行われていた間)だけだったはずですので、その毒のほとんどをしのぶが作り出していたことは間違いないでしょう。
カナヲだけでは頸を斬れなかった
また、しのぶの計画であった「最後はカナヲに頸を斬ってもらう」というところにも少し誤算がありました。
結果的には伊之助の力が加わらなければ成し遂げられず、やはり上弦の弐・童磨の強さは計り知れないものだったと言うことになりますね。
まとめ
胡蝶しのぶは、優しかった姉の願い(=鬼と争うのではなく共存すること)を尊重しつつ、それでもやはり人間を殺す鬼を滅殺すべきと、己の知識を最大限に生かして尽力してきました。
童磨戦に伊之助が参戦してきたことはしのぶの想定外でしたが、それも「しのぶの強い想い」が呼び寄せた必然だったのではないかと思います。
この最後の穏やかな表情から、しのぶが本当に満足していることが伺えますね。
尚、今回は童磨撃破の最大の功労者「胡蝶しのぶ」にフォーカスしてみましたが、童磨戦の後半「カナヲと伊之助」の戦いについては、こちらで詳しく紹介しています。
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