全ての鬼の始祖である鬼舞辻無惨。
他の鬼たちにとって、無惨は絶対服従の存在であり、もし反逆したり、そのような意図がなくとも無惨の気に障ることを言ったりしてしまうと、その場で始末されてしまいます。
特に、離れた場所から始末される(殺される)ことを「呪い」と呼んでおり、鬼たちが無惨に対して絶対服従であることが、彼らの言動からもはっきりとわかります。
そこで今回は、その「呪い」について詳しく解説をしていきます。
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鬼舞辻無惨の「呪い」、それは「血(細胞)」の操作によって行われる
この「呪い」は、一種の「支配」とも言えます。
それを可能にしているのが、全ての鬼の体に流れている「鬼舞辻無惨の血」です。
自分の血(細胞)を与えて人間を鬼にする
鬼舞辻無惨は全ての鬼の始祖、つまり、全ての鬼が無惨によって作られています。
そして、無惨は鬼たちの中にある自身の血(細胞)を使い、彼らを支配しているのです。
自分で支配を外した唯一の鬼・珠世
医者である珠世は、自分の体をいじって無惨の「呪い(支配)」を外すことに成功しました。
また、珠世の手によって鬼となった愈史郎と猫の茶々丸も、無惨の支配からは外れています。
無惨の細胞が持つ機能は「GPS」「無線機」「時限爆弾」
無惨の細胞はさまざまな機能を持っています。
GPS
無惨は鬼たちの位置を把握することができます。
下弦の壱・魘夢(えんむ)が鬼殺隊に倒されたことで気分を害したのか、その後始末を、そのとき近くにいた上弦の参・猗窩座に命じています。
無惨は禰豆子の位置は把握できてなかったようで、もしかするとそれは、禰豆子が人間を食べないこととかかわっていたのかも知れません。禰豆子は最初から特殊な鬼だったんですね。
無線機
無惨は離れたところにいる鬼たちへ指令を出したり、鬼たちから情報を得たりすることができます。
これは、上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)の髪を食べて鬼化が進行した不死川玄弥が、黒死牟の細胞を通して無惨の声を聞いている場面です。
無惨はこんな風にして鬼たちに指令を出していたのですね。
これは珠世の細胞から得た情報です。
珠世は無惨の支配が及ばないように自分の体をいじっていたので、無惨は珠世と離れているときは細胞の操作ができませんでした。
しかしこのときの無惨は珠世の細胞を自分の体内に取り込んでおり、直接そこから情報を得ることができたのです。
ただし、胡蝶しのぶに対する「童磨が喰った毒使い」という情報は、珠世ではなく童磨からのものになりますね。
時限爆弾
無惨は細胞を操作して鬼たちを殺すことができます。
これが「支配」の中でもいちばん恐ろしい「呪い」です。
では、その「呪い」が発動する条件と、実際に発動した場面はどこだったのでしょうか。
「呪い」が発動する条件と発動場面
発動条件は「鬼舞辻無惨」の名前を口にしてしまうこと
「鬼舞辻無惨」とフルネームではなくとも、「鬼舞辻様」あるいは「無惨様」と、明らかに無惨本人を指している名前を発すると、それが発動スイッチになってしまうようです。
このときの朱紗丸は、自白を促される珠世の血鬼術にかかってしまっていたために、「鬼舞辻様」という名前を口にしてしまったのでした。
発動回数は1回のみ
実際に無惨の呪いが発動したのは、この朱紗丸を破壊した場面だけです。
また、朱紗丸は自分の意志とは関係なく無惨の名前を「言わされた」状態でした。
つまり、自分の意志で無惨の名を口にした鬼はいなかった、ということになりますね。
朱紗丸が破壊された浅草よりも前の場面、この沼の鬼が頑なに無惨のことを口にするのを拒んでいたときは、「どっちにしても殺されるんだから同じなのに」と思っていました。
しかし、後に朱紗丸の身に起こったことを見ますと、「炭治郎に殺される方がマシだったのかも」と思い直しました。
鬼舞辻無惨のことを呼んでも「呪い」が発動しない場面と理由
実は、鬼たちが無惨を名前で呼んでいるシーンは、朱紗丸以外にもいくつかあるのですが、それらには「呪い」が発動しなかった明確な理由が3つあります。
- 鬼舞辻無惨本人の前で名前を呼んでいる
- 具体的な名前ではなく「あの方」または「あのお方」と呼んでいる
- 心の中のセリフである(実際には口に出していない)
では、それらは実際にどんなシーンだったのか、序列に従って見ていきましょう。
上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)
呼吸を使う鬼殺隊士・獪岳(かいがく)に命乞いをされ、鬼に誘っている場面で黒死牟が発した「あの方」。
獪岳は我妻善逸の兄弟子で、雷の呼吸の継承者でしたが、生き延びるために鬼になることを選んだのでした。
尚、獪岳につきましてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
無限城で、黒死牟に最初に遭遇した鬼殺隊士が霞柱・時透無一郎でした。
そのとき黒死牟は、無一郎が自分の子孫であることを感じ取ります。
そして無一郎の剣技の高さ、精神力の強さを知った黒死牟は「あの方」に頼んで鬼にしようと思っているのです。
上弦の弐・童磨
このときの童磨は、まだ「上弦の陸」でした。
後に上弦の陸となる妓夫太郎(ぎゅうたろう)と梅(後の堕姫)が行き倒れになっていたとき「二人とも助けてやろう、鬼にしてやろう」と誘ったのです。
このときに童磨が発した言葉も「あの方」でした。
上弦の参・猗窩座(あかざ)
猗窩座が無限列車編でのことを無惨に報告に行った場面です。
見た目が子供ではありますが、これは無惨お得意の擬態。
本人に対して「無惨様」と言っているので、問題なしのようですね。
上弦の肆・半天狗
半天狗は上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)が見つけた刀鍛冶の里へ、玉壺と一緒に飛ばされました。
無惨から直々に指令を受けた半天狗が「早く皆殺しにしなければ」と怯えている場面で発した「あのお方」です。
無惨の細胞を通して見えた剣士
こちらは、赤く染まった赫刀を持っている炭治郎の姿に対して体の中にある無惨の細胞が反応し、かつて無惨を死の淵にまで追い詰めた剣士・継国縁壱(つぎくによりいち)とダブらせている場面です。
ここでの「無惨様」は心の中のセリフなので、呪いは発動していません。
尚、無惨の細胞レベルにまでその恐怖が深く刻まれるほどの剣士・継国縁壱につきましては、こちらの記事にて詳しく紹介しています。
上弦の陸・堕姫(だき)
遊郭に突如現れた無惨に、堕姫はびっくりして思わず「無惨様」と名前を呼んでいます。
しかし、本人の前で言っているので、問題ありませんでした。
ここでは「あの方」と呼んでいて、「アンタ」とは、禰豆子のことを指しています。
私の支配から逃れた鬼がいる、珠世のように。見つけて始末してくれ。お前にしか頼めない。麻の葉文様の着物に市松柄の帯の娘だ 。
無惨が堕姫の前に突然姿を現したのは、このことを伝えるためでした。
そして堕姫は禰豆子を見て、無惨から言われたことを思い出したのです。
炭治郎の耳飾りとセリフが無惨の細胞を刺激
ここは半天狗と同じく、堕姫の中にある無惨の細胞が継国縁壱を思い出して反応し、心の中で堕姫が「無惨様」と言っている場面です。
下弦の壱・魘夢(えんむ)
耳に花札のような飾りをつけた鬼狩りを殺せば、もっと血を分けてやる
無惨にこう言われていた魘夢が、炭治郎の耳飾りを見て、その鬼狩りだと気付いた場面です。
心の中で言った「無惨様」なので、呪いとは関係ありません。
ところがこのセリフ、劇場版では口に出して言ってたんですよね、「無惨様」と。ただ、独り言でしたので、セーフだったということにしておいてください。
尚、なぜ無惨が炭治郎の耳飾りを気にしているのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
列車の上で戦っていた炭治郎に向かって言っているので「あの方」となっています。
最初は無惨の命令なので従おうとしていただけだったのでしょうが、実際に戦ってみて、「存在自体が癪(しゃく)に触る」と言っているので、魘夢自身が炭治郎を殺したいと感じた場面でもありました。
十二鬼月でも特例は「なし」
こう見てきますと、鬼たちは序列にかかわらず、本人の前以外で「鬼舞辻無惨」の名前を口にすることはないということがわかります。
代わりに口に出すのは「あの方」という言葉、そこは徹底していますね。
すなわち「十二鬼月ならば、上弦ならば、許される」などという特例はないということになります。
例外の無限城
どちらも、上弦の陸が倒された後に、他の上弦の鬼が招集された無限城での場面です。
実際に口に出して名前を言っていて、また、これは無惨本人に言っているわけではないので、ここまで考えてきたセーフ(呪いが発動しない)条件からは外れていますね。
しかし、実際は何もお咎めはありませんでした。
これは「彼らが上弦の鬼だから」ではなく、「無限城」という特殊な空間にいたことが理由だと思われます。
猗窩座も黒死牟も、そこはちゃんとわかった上で「無惨様」と言っているのでしょう。
消滅の間際なら呪いは発動しない?
日輪刀で頸を斬られ、死ぬ間際に心の中で「無惨様」というセリフを言っている鬼もいます。
上弦の弐・童磨
これは頸を斬られた直後の場面で、童磨はこのときよりも前に、無惨が頸を斬られても死ななかったことを知っていました。
更に猗窩座も頸を斬られてもすぐには死なず、それどころか頭を再生しかけていたことを知っていて、自分も再生できるかも、と、ちょっと期待したところです。
しかし結局、童磨は再生できずにこのまま消滅しました。
下弦の壱・魘夢
炭治郎に頸を斬られた魘夢が、消滅する前にご丁寧に皆の活躍を語ってくれているところです。
無惨はこれまで、禰豆子が自分の支配から外れていることを認識していませんでした。だから禰豆子が俺と一緒に鬼殺隊本部へ連行されたときも、無惨に産屋敷邸の場所を悟られずにすんでいたんです。そしてお館様もそのことを把握していたのでしょうね。しかし遊郭で堕姫に禰豆子の始末を頼んでいることから、おそらくこの無限列車での魘夢戦を経て、禰豆子が自分の支配から外れていることを知ったのだと思います。
下弦の伍・累
那田蜘蛛山で水柱・冨岡義勇に頸を斬られ、消滅するまでの僅かな間に思い出した記憶、それを自分の心の中で語る場面です。
ここで声を発していたらどうなっていたか?
これらはすべて心の中の声ですが、仮にここで声に出して発していたとしたら、どうなっていたんでしょうね。
すでに消滅間際ですので、呪いは発動しなかったのではないかと想像しますが。
というか、そもそも、頸を斬られたらもうしゃべれないんじゃないの?
いやいや、鼓の屋敷の鬼・響凱(きょうがい)や、上弦の陸・妓夫太郎と堕姫は、頸を斬られてからも声を出してしゃべってたよ。
上弦の伍・玉壺も、いつまでもしぶとくしゃべってたな。
あ、そういえば獪岳もそうだったっけ!
まとめ
鬼舞辻無惨が常に鬼たちの位置を把握し、支配していたのは、ただただ自分の保身のためでした。
自分を脅かすような言動をとった鬼がいた場合、容赦なく切り捨てるために。
とは言っても、実際は、無惨の呪いを自分の手で外した珠世と、その珠世の術にかかってしまった朱紗丸を除き、無惨を裏切った鬼は1体もいませんでした。
しかしそれは鬼たちの「無惨への忠誠心によるもの」というよりも、「洗脳とパワハラによるもの」だと言って良いでしょう。
また、魘夢のときように、原作では「心の中のセリフ」でも、アニメーションでは口に出す場面が今後も出てくるかも知れませんね。
もしそうであれば、再検証が必要になるかも知れません。
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