獪岳は我妻善逸と共に元鳴柱・桑島慈悟郎の元で雷の呼吸を学び、その継承権を所有するまでの実力を持っていた元鬼殺隊士です。
上弦の壱・黒死牟に遭遇した際、死ぬまでは負けじゃないと、自ら跪(ひざまず)き、鬼となる選択をしました。
今回はそんな獪岳の最期について、鬼となった理由などにも触れながらご紹介していきたいと思います。
上弦の陸・獪岳の最期
プロローグ
無限城での戦いにおいて、一人前進する善逸はある部屋に向かって行き、その中にいる人物に声をかけると、そこから獪岳が憎まれ口を叩きながら善逸の前に現れました。
善逸を蔑み、馬鹿にする発言を繰り返す獪岳に対し、善逸も静かに痛烈な一言を浴びせました。
善逸:適当な穴埋めで上弦の下っぱに入れたのが随分嬉しいようだな
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第17巻 第144話
そして、雷の呼吸の継承権を持つ獪岳が鬼になったことで、責任を感じた師範である爺ちゃん(桑島慈悟郎)が介錯なしで切腹したことを告げました。
柱稽古の途中で、炭治郎も感じ取っていた善逸の異変、それは家族のように大切な存在だった爺ちゃんの訃報を受け、自分が獪岳を討伐しなければという決意をしたからでした。
獪岳は桑島が自分を評価しなかったことを責め、”耄碌(もうろく)した爺に用はない”と啖呵を切ります。
さらに、善逸は”俺がカスならアンタはクズだ 壱ノ型しか使えない俺と壱ノ型だけ使えないアンタ 後継に恵まれなかった爺ちゃんが気の毒でならねぇよ”と畳みかけました。
獪岳は”一緒にするな”と怒りを露わにし、雷の呼吸・肆ノ型・遠雷を繰り出しました。
人の心を持たず、鬼の心を丸出しで開き直る獪岳に対し、厳しい鍛錬を重ねてきた善逸は真正面から挑みました。
獪岳が鬼になった理由
圧倒的強者に跪くことは恥じゃない
生きてさえいれば何とかなる 死ぬまでは負けじゃない
地面に頭をこすりつけようが 家が無かろうが泥水をすすろうが
金を盗んだことを罵られようが
生きてさえいれば いつか勝てる 勝ってみせる そう信じて 進んできたんだ
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第17巻 第145話
上弦の壱・黒死牟に遭遇し、その圧倒的な強さに屈服し、鬼殺隊士としてのプライドをかなぐり捨て、地面に頭をこすりつけ跪き、鬼になりたいと請う獪岳。
それに対し、同じく、鬼になってまで、強さや永遠の命などを望む狂った考えを持つ黒死牟はすぐに受け入れ、血を分け与えました。
自分も元鬼殺隊士であり、さらなる強さを求め鬼となった黒死牟は、獪岳に対し、同志のような感覚を持ち、すんなりと鬼になるよう導きました。
獪岳と善逸の兄弟弟子対決
善逸のことをベソベソ泣くカスと罵り、桑島に対しても、善逸と自分が二人で後継だと言ったことに激しい怒りを露わにする獪岳。
そして、二人とも死んで当然と、鬼の形相で善逸に向け、技を繰り出しました。
獪岳は、雷の呼吸・弐ノ型・稲魂(いなだま)、参ノ型・聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)、伍ノ型・熱界雷と続けざまに技を繰り出し、善逸に斬撃を続けました。
鬼なのですから当然のことですが、獪岳は自己中心的で、自分を低く評価するものは悪だとする異常な言動に取り憑かれ、心まですっかり鬼そのものと化していました。
人間時代の獪岳
獪岳が俺のことを嫌っていたのは十分わかっていたし 俺だって獪岳が嫌いだった
でも尊敬してたよ 心から アンタは努力してたしひたむきだった
いつも俺はアンタの背中を見てた 特別だったよアンタは
爺ちゃんや俺にとって特別で大切な人だったよ
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第17巻 第145話
獪岳の斬撃を冷静に分析しつつ、受け止め続ける善逸は、かつての獪岳のことを想っていました。
上の階級の隊士が獪岳を悪く言うのを聞き捨てならなかった善逸が、その隊士らを殴ったこともありました。
善逸の真意に獪岳が気付くことはなかったですが、秘かに善逸は獪岳を尊敬し、大切に想っていたのでした。
耳の良い善逸にはいつも獪岳から不満の音がしていて、獪岳の心の中の幸せを入れる箱に穴が空いていて、満たされることがないことをわかっていました。
エピローグ
獪岳からの攻撃を受け止め続けていた善逸は、”ごめん 兄貴”と心の中で呟くと、雷の呼吸・漆ノ型・火雷神(ほのいかづちのかみ)を繰り出し、一撃で獪岳の頸を刎ね飛ばしました。
善逸によって、まさかの一撃で頸を斬られた獪岳。
善逸が自分の知らない技を繰り出したことで、桑島に対し、”贔屓をしやがった”などと悪態をつきます。
違う 爺ちゃんはそんな人じゃない
これは俺の型だよ 俺が考えた俺だけの型 この技で いつかアンタと肩を並べて戦いたかった…
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第17巻 第145話
獪岳と共に鬼殺隊士として肩を並べて戦いたかったと悲しげに言う善逸に対し、自分がカスとまで思っていた奴に負けた事を認められず悪あがきする獪岳。
共に無限城に落下していく中で、獪岳は、自分も善逸も死ぬと言うことで負けじゃないなどと考えますが、善逸を助けに来た鬼の愈史郎に一喝されます。
人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる
欲しがるばかりの奴は結局 何も持ってないのと同じ
自分では何も生み出せないから
©吾峠呼世晴/集英社 鬼滅の刃 第17巻 第146話
愈史郎は獪岳に、”一人で死ぬのは惨めだな”と言うと、善逸を抱きかかえ、無限城の上の方へ駆けあがって行きました。
人の心を顧みず、最後の最後まで、自分が自分がと考える獪岳の最期は惨めで悲惨なとても哀れな死に様でした。
まとめ
上弦の陸となった、かつては善逸の兄弟子でもあった獪岳の最期について、ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
まとめると
- 無限城での戦いで、善逸が向かった部屋にいたのが鬼となった獪岳だった
- 善逸は家族のように大切な存在だった爺ちゃんの訃報を受け、自分が獪岳を討伐しようと決意していた
- 獪岳が鬼になったのは、上弦の壱・黒死牟に遭遇した際、その圧倒的な強さに屈服し、鬼になりたいと請うことで負けることを回避しようとしたから
- 獪岳の人間時代に、善逸は秘かに獪岳を尊敬し、大切に想っていた
- 獪岳は善逸の雷の呼吸・漆ノ型・火雷神(ほのいかづちのかみ)の一撃で頸を刎ねられた
- 自分が自分がと考える獪岳の最期は惨めで悲惨なとても哀れな死に様だった
獪岳がここまで自分のことだけを考えてしまうのには生い立ちなどが起因するとは思います。
自信過剰で人を顧みない性格は人間時代にも見受けられました。
醜い性格を持っていたものの、ひたむきに努力を重ねる真面目な所もあった獪岳が鬼への選択をし、さらに増長していったのは愚の骨頂ですね。
現代においても、自分が自分がと自分たちの幸せばかりを考えるあまり、いつの間にか心に鬼を持ってしまうというのを目にすることがあります。
獪岳の醜い性格は、人間の醜い部分を強調しているとは思いますが、加減次第では紙一重でもあると思うので、気を付けていきたいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続き鬼滅の刃をお楽しみください。
関連記事